「NABリアルタイムレポート」
ハードウエア編:VideoToaster[2]が発表、ほか


会期:4月22~26日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
     Sands Expo Center

 NAB2001リアルタイムレポート3日目は、SANDSに展示されているハードウエアベースのノンリニア編集システムを中心にお送りする。今年は、非圧縮、もしくはリアルタイムというキーワードが外せないようだ。


■ Accom、ハードウエアベースのリアルタイム編集システムを発表


落ち着いた雰囲気のAccomブース 強力なスペックなのに本体やコントローラはおしゃれ
 プロ用HDDレコーダや各種コンバータなど、放送周辺機器メーカーとして高い技術力を誇るAccomは、ハードウエアベースのノンリニア編集システム「AFFINITY」を発表した。

 コントローラとしてPowerMac G4を使用し、専用ハードウエアを使ってトランジション、キーイング、タイトル合成、スピード可変などをリアルタイムで行なう。デジタルエフェクトには、数年前にAccomが買収した、Abekasの「DVE Dveous」の技術が盛り込まれている。

 説明パネルのうち、スピードを強調する部分には必ず「Faster than any avid」と書かれており、米国のプロ用ノンリニアで90%を越えるシェアを持つと言われる「Avid」への対抗を打ち出している。

 一方AbekasブランドのDVE Dveousは、HDTVモデル「Dveous/HD」に進化していた。昨年日本で開かれたInterBEE2000でアナウンスだけはされていたが、実機のデモは今回が初めて。

デジタル映像に多大な貢献をしたAbekasの名前はブランド名として残されている HDTV対応のDVEはまだ少ないだけに、貴重な存在となるDveous/HD


■ Matrox、新製品のRT2500をRTMacと同時に展示


昨年の黄色一色のブースに比べてだいぶシンプルになったMatroxブース DVDコンテンツ制作者の間で注目を集めているRT2500
 Matroxのリアルタイムノンリニア編集システム「RTシリーズ」に、新しいラインナップが加わった。従来機種RT2000の次世代モデル「RT2500」だ。Windows 2000とMeに対応し、1枚のPCIカードで、Adobe Premiere上の2つのビデオレイヤーと、1つのグラフィックスレイヤーが、リアルタイムで編集可能。

 また、Appleの「Final Cut Pro 2」用リアルタイムエンジンとして動作する「RTMac」も登場した。


■ FAST、今度は「purple.」

日本でも徐々に認知されはじめたFASTのブース 熱心な質問者が絶えることのない、新製品purple.
 FASTのノンリニア編集システムは、601以降、製品名に色の名前を付けている。「blue.」、「silver.」に続いて今回は「ivory.」、「purple.」が新たにラインナップ。

 ivory.は非圧縮のノンリニアシステムで、当然SDIの入出力が標準となる。一方、展示の中心は報道編集に合いそうなPurple.だ。ビデオサーバーと組み合わせて、複数のpurple.で組織的に作業できる。


NewTekのプレゼンテーションエリア
■ NewTek、VideoToaster[2]を発表


 毎年NABでいきなり新製品を発表するのが恒例になっているNewTekが、今回はVideoToaster[2]を発表した。

 VideoToaster[2]はスイッチャー機能とノンリニア編集機能を合わせもつ製品で、今回新たにDVフォーマットにも対応した。DVの入出力には一般的なIEEE 1394を使用する。

 またキャラクタジェネレータ(文字作成)には、新たにLightWave6.5のエンジンを搭載したLightWave 3D Expressを搭載するなど、Amiga時代のVideoToaster以来伝統のコンビネーションが復活した。


■ Trinityで有名なPlay社、今年2月で既に消滅

Electric Imageは昨年Playより独立している 社名と製品名が変わっており、これが元Triniryだと気が付かない見学者も多かった
 かつてNewTekのAmiga版「VideoToaster」開発チームが独立して設立したPlayが、今年2月に事実上倒産・消滅していることがわかった。Playは、PCユーザーにも簡易キャプチャデバイス「Snappy」で知られており、プロの間ではスイッチャー兼ノンリニア編集マシン「Trinity」で知られていた。

 また、Macintoshベースのプロ用CGアプリケーションで有名なElectric Imageを買収するなど、活発な動きを見せていた。

 その後Electric Imageは、2000年9月に独立会社に戻っており、今回のNABでも自社ブースで出展を行なっている。一方のPlayは2001年2月に、Trinityに関する権利をすべてGlobal Streamに譲渡しており、Triniryは同社の製品「GlobeCaster」へと変わった。現Triniryユーザーのサポートは、Global Streamsが引き継ぐ。

 このニュースは日本ではまったく報道されておらず、日本の関係者でさえもNABへ来て、初めてその事実を知ったという状況だ。


■ ビデオジャーナリストが注目するカノープス


 カノープスは、「DVRex RTPro」および「DV Stream」を中心にデモしており、多くのビデオジャーナリストの注目を集めていた。

 また新製品として、「MediaEdge」を発表した。去年のNABでは「VideoCast」という名前で参考出品されていた、LANベースの4~6Mbpsで配信するMPEG-2ビデオスストリームソリューション。WANで使用するのではなく、狭い地域つまりホテルや駅、空港などのインフォメーションに応用できる。

熱心にプレゼンテーションを見る来場者達 MediaEdgeで使用するセットトップボックス。LAN入力から映像と音声を得る

 NAB2001もいよいよ明日が最終日。明日は主にソフトウエア関係をレポートする。

□NAB2001のホームページ(英文)
http://www.nab.org/conventions/nab2001/attendees/exhibitors.asp

(2001年4月26日)


= 小寺信良 =  無類のハードウエア好きにしてスイッチ・ボタン・キーボードの類を見たら必ず押してみないと気が済まない男。こいつを軍の自動報復システムの前に座らせると世界中がかなりマズいことに。普段はAVソースを制作する側のビデオクリエーター。今日もまた究極のタッチレスポンスを求めて西へ東へ。

[Reported by 小寺信良]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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