「NAB2001リアルタイムレポート」
ソフトウエア編:Microsoftが逆転したストリーミングプラットフォーム


会期:4月22~26日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
     Sands Expo Center

 NAB2001最終日の今日は、ビデオ系ソフトウェアの話題を中心にお送りする。


■ 去年とは逆転したストリーミング勢


 映像ストリーミング・プラットフォームの採用レースは、“Microsoft” VS “Real Networks”という図式が定着し、2社の勢力争いが激化している。

 ここ「Microsoft Windows Media Partner Pavilion」は、Windows Mediaを使ったソリューションの展示コーナー。昨年はほとんど注目されておらず、さすがのMicrosoftもブロードキャスティングの世界では小さくなっていたという印象だった。

 しかし今年はうってかわって、ネットワーク系の来場者と出展者の間で激しいディスカッションが行なわれていたり、またプレゼンテーションにも立ち見が出るほどの盛況ぶりで、活気にあふれていた。

来場者でにぎわうMicrosoft Windows Media Partner Pavilion内

 一方のReal関係のソリューションの展示コーナー「Real Networks Pavilion」は、規模としてはWindows Mwdiaの約半分で、場内はやや閑散としていた。昨年は、REALロゴの横断幕を牽いたセスナ機が一日中ラスベガス上空を飛び回り、会場ではロゴのかぶり物をしたキャラクター練り歩くといった非常に派手な広告展開を行ない、放送関係者に強烈にアピールしていた。それだけに、今年の落ち着きぶりはちょっと寂しい感じだ。

Pavillion内では、出展者同士での情報交換もさかんに行なわれている


■ Electric Image、universe3.0発売を記念してディスカウント販売


ハイエンド製品がメーカーから格安で買えるのも、NABの醍醐味 Amorphium Proのデモ。以前に比べると、CGの出展は少なくなってきている
 昨日もお伝えしたがElectric Imageは、3DCGアプリケーション「universe3.0」の出荷を開始した。universeはもともとMacintosh用であったレンダラー「Electric Image」の後継にあたり、モデリング環境も充実した総合アプリケーションに進化した。Windows、Mac OS、Sun Solaris上で動作する。ブースでは50%ディスカウントの995ドルで販売されていた。

 また同時に発表された「Amorphium Pro Edition」は、多くのメジャー3DCGアプリケーションで使用できる、モデリング補助ツール。ブラシを使ってオブジェクト上に起伏を付けるといった機能などがあり、有機物の感覚的なモデリングに威力を発揮する。会場での価格は249ドルで、さらにサービスでWacomのタブレットがもらえる。


■ Boris、ノンリニア編集用プラグインRED 2.0リリース


 REDの発売を記念して、Borisブースは赤一色
 メジャーなノンリニア編集プラットフォーム用に特殊効果プラグインをリリースしているBorisから、強力なプラグインパック「RED 2.0」がリリースされた。RED 2.0には、同社の看板プラグイン「BorisFX」と、タイトル・グラフィックス用プラグイン「GRAFFITI」のフィーチャをすべて含み、さらにベクターペイント、ロトスコーピング、モーショントラッキングなども含まれる。

 ブースではNAB特価として、RED 2.0にBoris AE、Boris CONTINUUM、トレーニングビデオ3本をセットにして、1,595ドルで販売していた。


■ CGバックグラウンド集のDigital Juiceが大躍進

格段に大きくなったDigital Juice。この向こう側にもまだ同じぐらいのエリアが広がる 製品ラインナップも大幅に増え、ストック棚から次々に売られてゆく
 タイトルや図表のバックで使用する、センスのいいアニメーション素材を提供するDigital Juiceが、今年もブースで即売を行なっていた。このようなバックグラウンドは、自分でゼロから制作したら時間がかかる割には大して評価されず、コンテンツ制作者にとっては最も頭の痛い部分。Digital JuiceのJump Backsシリーズは、1パックがCD-ROM5枚組で、約40種類の背景用CGアニメーションが収録されている。

 昨年は4×2mぐらいの小さなブースで、制作者自らが一人で小売していたような小さな会社だったが、今年はブースの規模が約10倍近く拡大。社員も大幅に増員し、大躍進を遂げた。隙間を狙って良いものを提供すれば、必ず大きくなれるというアメリカン・ドリームを見る思いだ。製品ラインナップも去年の3種類から大幅に増えて、8種類になった。


■ Avid、Xpress DV 2


 ノンリニア業界を席巻するAvidからは、ノンリニア編集アプリケーション「Xpress DV 2」が発表され、好評だった。Xpress DV 2は、特定のハードウエアを必要とせずに動作するため、ノートPCなどでも使用できるのが特徴。画像入力は、汎用のIEEE 1394PCカードが使用できる。

 ただし、Avid固有のハードウエアを使わないため、リアルタイムエフェクトはできない。が、制作したデータが上位機種互換であるため、オフライン編集用途としても使用できるのがメリットだ。もちろんこれでオンライン編集も可能。現時点ではAvidが公式サポートするPCが限られているが、徐々に拡張していくという。

Avidは米国ではノンリニア編集の代名詞的存在 ノートパソコン上で稼働するXpress DV 2

 ラスベガスからのNAB2001リアルタイムレポート、いかがだっただろうか。なお、今回のレポートで紹介できなかったものなどを、後日また改めて「Electric Zooma!」で報告するつもりなので、ご期待いただきたい。

□NAB2001のホームページ(英文)
http://www.nab.org/conventions/nab2001/attendees/exhibitors.asp

(2001年4月27日)


= 小寺信良 =  無類のハードウエア好きにしてスイッチ・ボタン・キーボードの類を見たら必ず押してみないと気が済まない男。こいつを軍の自動報復システムの前に座らせると世界中がかなりマズいことに。普段はAVソースを制作する側のビデオクリエーター。今日もまた究極のタッチレスポンスを求めて西へ東へ。

[Reported by 小寺信良]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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