気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第15回:香港から来た「超級」DVDプレーヤー
なんでもかんでも機能満載「ZENIX Z-2000」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

設置スペースと利便性のジレンマ

 ふ~。最近DVDは「プレイステーション2」でしか見てません。ウチの「WEGA(KV-14AF1)」にAVマルチ端子接続すると、RGB接続と同義だからかなりきれいに映るのです。まあ、「波状のゆらぎが出る」という症状があるのだけれども、症状は暗いシーンでしか出ないから手持ちのソフトでは「U-571」以外は全然気にならない(まあ、「U-571」は見られたものではないくらいゆらぐが)。それに、DVDプレーヤーにしてはコンパクトなのがよろしい。おまけにゲーム機までついてくる(いや、最近ほとんどゲームしていないので……)。

 サムスンのDVDプレーヤー「DVD-618J」もなかなか良いプレーヤーではあるのだけれども、ボディカラーがゴールドで、黒で統一しているほかの機器から浮いて仕方ない。その上に、デカイ。いや、通常のデッキサイズであるのだから「デカイ」というのは語弊があるが、最近の発売され始めた薄型プレーヤーを見ていると、やはり見劣りしてしまう。

 要するに、我が家のラックでは「DVD-618J」の上にPS2を置く物理スペースを確保できないのであります。PS2を縦に置けるスペースはあるけれども、そうするとTVの側面端子にアクセスできなくなってしまうのであります。

 以上のような理由で「DVD-618J」はラックから外れ現在眠りについている。が、PS2ではDVD再生に不満を感じるのも事実(「U-571」を観たいときもあるし)。ん~、なにかよさげなDVDプレーヤーはないものかなぁ。薄型で、ボディカラーは黒のやつ。まあ、価格が2万円を超えるようならいらないんだけど。


個性派DVDプレーヤー発見!

 そんなことを考えつつ、いつものように量販店を徘徊していると、お、なにか見慣れぬDVDプレーヤーがあるではないですか。

 ボディカラーは黒で、「DVD-618J」よりは薄型。デザインもPS2ライクで、まあ悪くない。背面端子を見てみると、おお、なんと5.1ch出力がついているではありませんか。当然光/同軸デジタル端子も備え、映像はコンポジットとS端子。その上に前面パネルにはマイク端子が2つあって、「KARAOKE」の文字もバッチリ。それでいてお値段は19,800円。

 それがZENIXの「Z-2000」だったのです。そういえばZENIXってPS2用のリモコン出したメーカーですな。え~と、お国は……香港ですな。

 ううむ、なかなかコストパフォーマンスの高いプレーヤーだけれども、展示品の下にある外箱を見てちょっと悩んだ。なんと、リージョンコードの表記がない! のでありますよ。

 外箱は、無垢の段ボールに外観の模式図と外形寸法、重量などがプリントしてあるだけの状態。それも英語表記のみで、日本語は代理店シーダーヘヴンの保証書のみ。「BUILT IN DOLLBY DIGITAL DECODER」の表記があり、5.1ch出力はホンモノだとは確認できたけれども、リージョンの表記はまるでナシ。本体をあらためて確認しても、どこにもリージョン表記はない。

 「店員さん、これ、ちゃんとリージョン2で再生できますよね?」と聞いてみても、「国内のソフトは再生できるはずですけど……」となんとも頼りないお返事。ううむ、まさかリージョンフリー? いやいや、まさか、そんな。けれども、もしリージョンフリーだったら儲けもんだなぁ。よし、いっちょ買っておきますか。リージョン2が再生できないようなら返品すればいいし。

外箱側面。「BUILT IN DOLLBY DIGITAL DECODER」の文字が左上に。しかしリージョン表記はナシ 保証書。外箱で唯一確認できる日本語の表記  

本体前面部。デザイン的にはシンプルでなかなか良いかと。下は比較用に置いたS-VHSデッキ 本体背面。右側は電源コネクタのみで、端子は左に集中 端子部。5.1ch、コンポジット、S端子、光/同軸デジタル出力がある


リージョン表記はないが、コードは「2」

 バクチを打った気分になりつつも、ゲットしてきた品を開梱。内容物は、プレーヤー本体、電源ケーブル×1、AVケーブル(コンポジット+ステレオ)×1、リモコン、単4型電池×2、マニュアル、注意書き、という構成。いたってシンプルですな。

 まずはマニュアルを確認。ふむふむ、ちゃんとした日本語なのですね。安心安心。けれども注意書きは英語でした。で、リージョンコードについての記述を読むと、「本機の裏面に地域番号が表示されています」となっている。……いや、本体のどこにもリージョン表記なんてなかったっすよ? まあ、いい。再生してみればわかるっしょ。しかしリージョンフリーではないようだ。ちょっと残念。

 とりあえず、余っていたSケーブルとフロント2chのみで接続してみる。LDとビデオの上に置いてみると、あれ? 幅が微妙に広い? 実は430×305×98mm(幅×奥行き×高さ)と、幅が少々広め。ビデオデッキとジャストフィットとは参りません。ま、許容範囲ではありますが。

 まあ、とりあえず設置して、とりあえず視聴。ソフトは買ってきたばかりの映画DVD「スペースカウボーイ」(もちろん日本版)をかけてみる。……おお、バッチリ再生してるじゃないですか。試しにリージョン「1」の「ファンタジア」を再生してみると……、冒頭の一瞬(1秒未満)だけ再生したところで「INVALID REGION」と表示され停止状態に。ま、リージョンは「2」ということで決着ですな。しかし、一瞬とはいえ再生状態になるのなら、なにか回避策はありそうな気がするなぁ。

同梱物一覧。必要最小限のモノのみが付属している 我が家のラックに設置したところ。黒で統一されて気持ちいい


画質/再生機能は至って普通。必要にして十分

 再度「スペースカウボーイ」に入れ替えて、そのまま視聴。ん~、画質的には問題ないんでないですか? サムスン「DVD-618J」で感じたようなジャギっぽさは全くナシ。輪郭もナチュラルで、残像も感じない。色の再現性はやや濃いめの印象だが、ほんのわずかで、どぎついワケではない。小画面ならば十分な画質。一緒に買ってきたアニメDVD「天空のエスカフローネ VISION 1」でも同様の印象。静止シーンでは圧縮によるモアレが確認できたので、精細度も高いと思う。

 編集部の28型TV、三菱「28W-HR1」にもつないでみたところ、輪郭表現などはプログレッシブプレーヤーには劣るものの、まあ、十分に見られるレベル。21型までならば、輪郭も締まって見えるし、走査のちらつきもさほど気にならないから、大抵のユーザーが満足できると思う。価格を考えればかなり優秀。再生関係の機能も、当然基本は抑えてあるし、なぜかマスターボリュームまでコントロールできる。

 リモコンは角形で無骨な印象だが、大型なので各ボタンも押しやすく、不満を感じることもない。スライドしやすいの形状のため持ち位置が移動しやすく、ボタンのレイアウトにも不満を感じない。操作感も良好だ。だたし、メニュー画面は英語表記のみ対応。まあ、操作関係の英語は普段慣れているものばかりで、特に難しくもないから全然OKなのでありますが。

リモコン。角形でシンプルなだけに、操作感も良好 リモコン上部のボタン群。ボリュームが特徴的 リモコン下部のボタン群。カーソルボタンは大きい

セットアップ画面。言語は英語のみだが、単語は慣れたものばかり 本体の表示パネル。表示情報も基本的で必要にして十分


再生以外の機能はカラオケと……テトリス!?

 カラオケ機能は、DVDとビデオCDのみに対応。ん~、CDでは使えないのですか。シングルCDのカラオケトラックで曲の練習、というのはできないのね。え~と、……すいません、対応ソフト持っていないので試してません。映像オンリーのDVDソフトで「KARAOKE」ボタン押しても機能してくれないのよね。

 マニュアルによると、キーコントロール、MIC端子のON/OFFを設定する「パートナー設定」、Rのみ、Lのみなどを設定する「チャンネル設定」といった機能が使えるようだ。本体側にはエコーレベルの調節ツマミも2つ付いている。カラオケ使用を考えている方はご参考程度に。

 そのままマニュアルを読み進めると、「GAME」という項目が目に付いた。は!? 「GAME」っすか!?

 リモコンを見てみると、そこには「GAME」の文字が。ボタンを押してみると、なんと、「テトリス」がプレイできるじゃないですか。しかも、オーバーレイされた状態で表示され、バックではDVDの映像が流れてるし。ちなみに、操作はリモコンのカーソルボタンとOKボタン。カーソル左右で移動、上下で回転、OKで落下スピードアップ、という配置。回転が上下なので、操作には慣れが必要かと。

 マニュアルには「オセロ」もプレイできるとあるけれども、当機では「テトリス」だけしかプレイできないようだ。まあ、「テトリス」がプレイできるだけで十分異色なDVDプレーヤーではあるけれど。やるなぁ、香港!

マイク端子。エコーレベル調節ツマミは端子ごとに装備 なぜが遊べる「テトリス」。フィールドはオーバーレイ表示  


MP3、SVCDも再生可能な「超級」プレーヤー

 DVD再生、その他の機能も満載だが、実はこの「Z-2000」、CD-Rも再生可能で、MP3やビデオCDにも対応。普段「RioVolt」などで聞いているMP3CD-Rをかけてみると、あっさり認識してくれた。ただし、WMA/MP3混在のメディアは認識しなかったのでご注意を。

 MP3ファイルは、フォルダ構成は関係なく、全ファイルをファイルネーム順にソート。ID3タグには非対応で、ファイルネームも8文字までの表示。ん~、検索性は低いっすな。まあ、これはオマケというレベルか。音も「MP3の音をそれなりに」という感じだし。

 表示パネルをじっくりと見ていると、「VCD」の隣にはうっすらと「超級」の文字が確認できた。「超級」……。もしかしてスーパービデオCDっすか? CDに焼いたMPEG-2ファイルをDVDライクに再生できる、あのSVCDですか。いや、マニュアルには「ビデオCD」の記述しかないのですが……。

 ううむ、これは実験せねばなるまい。現在SVCDを焼けるCDライティングソフトは、え~と、アレですな。というわけで、買ってきました「NERO 5.5」。他ライティングソフトからの「乗り換え版」があったのでそれをゲット。買い値は6,380円なり。

 「NERO 5.5」はMPEG-2ファイルを「SVCD」で焼いてくれるモードを搭載。MPEG-2対応エンコーダ「TMPGenc」(MPEG-2エンコードは公開されているフリーウェアと同様30日の期間限定)も添付されているので、AVIファイルさえあればSVCDが作成できる。

 で、こちらを使って焼いたMPEG-2ファイル入りSVCDを再生してみると……、おお、再生してるっすよ、バッチリっすよ! DVDメニューに相当するメニュー画面から、ファイル指定も可能で使い勝手も良好で、画質もちゃんと見られるレベル。少なくともビデオCDよりは高画質。おお、ブラボー。でも、「超級」は光りませんでした。きっと日本以外の市場で使うランプなのでしょう。ん~、残念。

 でも、PCでエアチェックしたビデオをSVCDに焼いてTVで見る、というユースが考えられますな。まあ、自分PCでエアチェックできる環境持ってないですが。例え持っていても、最大録画時間は45分なので、映画はちょっと無理。自分の好きな番組だと、NHKの平日21:15~22:00枠の番組が時間的によろしい具合かと。ビデオに録画した「その時歴史は動いた -戦艦大和最期の出撃-」はこういう環境で保存したかったなぁ。


MP3再生時。フォルダに関係なくファイルネーム順に一括表示される 「超級」ランプ。光らないため画像加工してあります SVCDを認識したところ。再生も問題なくできます

アンプ×2とTVのスピーカーで簡易5chサラウンド

 実は当家、5.1chシステムのヤマハ「TSS-1」も「お片づけ」されているのです。だって、サブウーファが邪魔だし、リモコンなしのコントロールユニットを手元に持ってくるとやはり邪魔。その上ケーブルの取り回しで訳のわからない状態に……。映画を毎日見る訳でもなく、鑑賞時もヘッドフォンがメイン。だったら、いっそのこと「お片づけ」してしまおうとなったわけであります。

 それ以降、片づけたブツを再度出す気力もなく、のほほんと2chライフをすごしてきたのでありますが、5.1ch出力端子がついたドルビーデジタルデコーダ内蔵プレーヤーがあるのなら話は別。フフフ、実はちと試してみたい構成があるのですよ。

 サブウーファから発する低音の迫力は魅力だけど、そのユニットサイズは当家にはマッチしない。よってサブウーファはいらないが、サラウンド効果は楽しみたい。しかし、ユニットは邪魔。理想は「省スペース簡易5chサラウンド」。手持ちの機材で構成するならセンターはTVのスピーカーから、フロントはミニコンポから、リアはラジカセから、といったところか。

 これならば当家の環境でも5chサラウンドが楽しめそうだし、ゴミに出すに出せなかったラジカセ(高校時代からのおつきあい)も浮かばれよう、と思っていたワケであります。ビンボー臭いですか?

 とりあえず、上記の構成で接続……しようと思ったら、手持ちのケーブルが短いものしかなく、ラジカセがリアまで届かない。ん~、仕方ないな。リアはヘッドフォンで代用するか。自分が使っているヘッドフォンAKG「K501」はオープンエアだから、フロント/センターの音も聞こえるでしょう。

 この構成で「U-571」を視聴。サブウーファがないから爆発シーンの迫力は劣るけど、ちゃんとサラウンドしてまっせ。しかし、オープンエアとはいえ、ヘッドフォン越しだとリア以外の音がこもり気味。逆に、リアのみクリアに聞こえて気持ちよくない。

 そこで、ヘッドフォンのイヤパッドを半分ほど上にずらし、耳の穴がイヤパッドから出る状態で視聴。すると、かなりいい感じでサラウンド感が感じられた。リアの音も上方から聞こえ、フロント、センターの音もクリア。プレーヤー側で調節可能なマスターボリュームは、こういう構成で実力を発揮してくれるのですね。

 うん、なかなかいいシステムですな。いや、もちろん「簡易システムにしては」、という前提条件は付きますが。


TVチューナと干渉するも、機能的には大満足

 機能は大満足なのです。機能は。しかし、DVD再生中ちょっとTV放送が気になってTVチューナに切り替えてみると、干渉して「波なみノイズ」がでてました。……シールドしてないんかい。

 フロントパネル以外のボディは金属製だったため、想像もしていなかったのにTVチューナにバッチリ干渉。う~ん、詰めが甘いというか、期待を裏切らないというか……。

 まあ、干渉を回避するために主電源まで落とす必要はなく、スタンバイ状態にするだけでOKなので、我慢できない範囲ではないのだけれども。バッチリとシールドされた製品に慣れた身にはかなり気になる欠点。

 繰り返しますが、機能は満足なのですよ、機能は。SVCDやMP3だって再生できるし、省スペースで簡易サラウンドシステムも組めるし。あとの不満点は、メニューの言語が英語オンリーなことと、幅が少々広くて他の機器とマッチしないことの2点だけ。ん~、「我龍点睛を欠く」というヤツですな。

 まあ、「機能は満載、でもどこかに問題がある」というのは、海外製低価格ブランドらしくて微笑ましいが……。ホント、機能は満足なんですよ、いやマジで。

□ZENIXのホームページ(英文)
http://www.zenix-electronics.com/
□製品情報(英文)
http://www.zenix-electronics.com/dvd/z-2000.html

(2001年5月29日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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