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衝動買いしてしまいました!!

プラズマテレビ「W32-PD2100」購入レポート その2
~ 地上波/BSデジタルハイビジョン/プログレッシブDVD編 ~

 前回のレポートでも書いたように、衝動買いしたプラズマテレビ「W32-PD2100」には不具合が存在した。購入直後に修理を依頼し、このたびようやく修理が完了(というか、新しい製品との交換となった)。

 これで、それまで見られていた不具合も解消し、ようやく本来の姿に戻った。というわけで、1カ月以上間が開いてしまったが、あらためて購入レポートをお届けすることにしよう。


■ 地上波放送およびビデオ入力の画質から

現在の部屋の状態。前回とあまり変わっていないが、プログレッシブ出力対応のDVDプレーヤー「DVD-RP91」が増えた。ただ、借り物の機材は近いうちに返却しなければならないのがちょっと残念
 では、W32-PD2100の画質評価を始めることにしよう。ただし、あらかじめお断りしておくが、筆者はAV関連が趣味ではあるものの“評論家”ではない。あくまでも、個人的に見た感想と思って読んでもらいたい。

 ではまず、地上波テレビ放送とビデオ入力の画質から始めることにしよう。ちなみに筆者宅では、S-VHSのビデオデッキ「ビクター HR-VX8」をSケーブルで、CATVのホームターミナル「Scientific-Atlanta MODEL8601」をコンポジットケーブルで接続している。

 W32-PD2100は、地上波テレビ放送やビデオ入力の信号をデジタル処理。有効走査線480本の映像信号(480i)をプログレッシブ変換し、さらに有効走査線1,125本の信号(1080i)として表示するようになっている。これは、最近の一般的なプログレッシブテレビとほぼ同じ方式で、よく「地上波テレビ放送もデジタルハイビジョンに迫る高画質で表示」と言われているものだ。

 確かに、W32-PD2100で地上波テレビ放送を見ると、ほとんどちらつきのない映像が楽しめる。ビデオ入力のS-VHSビデオや、CATVホームターミナルの映像も同様だ。また、以前使っていた29インチのブラウン管テレビ「KV-29ST91S」と比較すると、地上波テレビ放送の画質も向上したように感じる。

 ただ、デジタルハイビジョンに迫る高画質、とまでは感じない。放送局から送られてくる信号やビデオ入力の信号をプログレッシブ変換したり1080iへと変換したとしても、元のデータ量が決まっている。だから、一定以上の画質にはならないのは明らかなので、この程度で満足すべきなのだろう。

設定メニュー。映像設定では、明るさや色合い、各種補正機能などの設定が行なえる

 とはいえ、不満がないわけではない。以前のブラウン管テレビと比較して、動きのある映像を中心にが少しざらつき、斜めの線にややジャギーが発生し、映画の字幕部分などで縞状のノイズ(いわゆるコーミング)を感じる。さらに、うっすらと白いもやがかかったような画面に感じることも多い。

 画面がざらついたような感じになるのは、おそらくプラズマディスプレイが固定画素のデバイスだからだろう。PCの液晶ディスプレイでテレビ映像を見る場合にざらつきを感じるのと同じだ。わかってはいるのだが、やはり気になってしまう。ちなみに、静止画に近い映像ではこういったざらつきはほとんど気にならない。

映像設定では、「スーパー」、「ナチュラル」、「クリエイト」という3種類のプリセットモードが用意されているが、どれも明るさや色合いを自由に変更可能となっている
 斜めの線のジャギーは、動いている人の肩のラインなどでよくわかる。さらに動きが激しくなればなるほど頻度も上がる。また、字幕部分のコーミングは、字幕がパッと切り替わる時に結構頻繁に感じられる。それ以外でも、場面の切り替えが激しい映像でもたまにコーミングのような縞状のノイズが出ることもある。

 この点に関しては、前回のレポートでも指摘している通りだが、それまでに使っていたブラウン管テレビでは全く感じられなかった。そのため、どうしても気になってしまう。これらは、他のプログレッシブテレビでも見られるようなので、プログレッシブ処理が原因だろう。もちろん、見るに耐えないというようなものではないので、慣れてしまえばそれほど気にならなくなるだろう。

 一方、画面がうっすらと白いもやがかかったようになるという点は、薄暗い映像でかなり顕著に感じられる。これは「黒浮き」による影響だろうか。プラズマディスプレイは、その構造上、黒を表示する画素でも放電が起きるため、光が漏れ、黒がやや白っぽく表示されてしまう「黒浮き」という現象が起こってしまう。

 以前のプラズマディスプレイに比べると、W32-PD2100は黒浮きが抑えられているとは思うが、それでも黒がやや明るく(つまり灰色に)表示されてしまうため、白っぽい締まりのない映像と感じてしまうのだろう。この点を改善するために、なるべく黒が沈むような方向で映像設定を調整しているが、やりすぎると逆に薄暗い部分がつぶれてしまうため、なかなかうまくいかない。

映像設定の2ページ目では、各種補正機能などの設定が行える。クリエイトモードでは、黒レベルの補正や輝度信号の鮮鋭度、色信号の鮮鋭度を設定できる項目が追加される(黒補正、LTI、CTIの3種類)
 さらにもう一点気になる部分がある。それは、右から左へと流れるテロップの文字がジラジラとちらつく場合があるという点。特に白い文字のテロップが流れる時には気になる場合が多い。ただ、文字の中に別の色が混じっていたり、テロップ背後の映像によっては、ちらつきが全く感じられないこともある。プログレッシブ処理による問題なのかどうかは不明だが、なんとなく気になる部分だ。

 ところで、W32-PD2100には、「巡回型オートノイズキャンセラー」および「デジタルゴーストリダクション」といった、受信状況によるノイズやゴーストを除去する機能が搭載されている。ただ、筆者宅はCATVを入れており、地上波の電波はすべてCATV局からの再配信信号のため、もともとノイズやゴーストがほとんどない。

 そのため、これらの機能がどの程度効果を発揮するのか、はっきりとは確認できない。以前日立のショールームで見せていただいたときには、ゴーストリダクション機能が有効に働くことを確認してはいるものの、自分の家で確認できない以上、今回はこの点に関する評価は見送った。


受信設定では、内蔵チューナのチャンネル設定などが行える。このうち、「受信モード」が「巡回型オートノイズキャンセラー」の設定項目で、5段階に設定可能だ ゴーストリダクションは、チャンネルごとに2段階に設定できる


■ BSデジタルハイビジョン映像は非常に良好な表示品質

 次に、BSデジタルハイビジョン映像だ。今回は編集部からお借りした、東芝製のBSデジタルハイビジョンチューナ「TT-D2000」をD端子ケーブルで接続し、映像出力モードをD4に設定してチェックを行なった。

 BSデジタルハイビジョンの映像をじっくり見るのは今回が初めて。地上波テレビ放送やビデオ入力の映像とは違い、ざらつき感や映像に白いもやがかかったよう印象は全く受けることがない。字幕部分や動きの早いシーンでコーミングを感じるということも全くなかった。

 また、地上波テレビ放送やビデオ入力の映像と比べ、発色が非常に鮮やかで、明るさもあり、次元の違う映像のように感じる。とにかく、画質云々を語る以前に、とにかくこれまで体験したことのない、緻密でくっきりとした映像に驚くほうが大きかった。

 ただ、確かに緻密な映像は非常にきれいではあるが、白く輝くかなり明るい部分とやや暗い部分が同居するようなシーンで、明るい部分が飛んでしまう点は気になるところだ。また、ハイビジョン映像では、色がかなりはっきりと表示されるような印象を受けるのだが、その分黒浮きによる黒の締まりのなさが気になってしまう。このあたりが、プラズマディスプレイの特性なのだとは思うが、やや残念な部分でもある。

 なお、W32-PD2100の縦方向の画素数は1,024で、BSデジタルハイビジョンの走査線数1,125(有効走査線数1,080)本には届いていない。しかし、W32-PD2100では、画素変換を行なって表示するのではなく、画面中央部の走査線1,024本分の映像のみを表示し、それ以外の信号はすべて捨てている。こうすることで、画素変換が不要となり、画質的に有利になる。

 また、1,024でも、実際のBSデジタルハイビジョン放送の有効走査線数の95%近くをカバーしており、表示範囲はブラウン管の場合とほとんど変わらないそうだ。もちろん、実際に見ていても、表示範囲が狭くて問題になるようなことは全くない。

 トータルで考えると、BSデジタルハイビジョン表示時は、発色や明るさなども含めて非常に満足できるもの。「近い将来BSデジタルハイビジョンチューナを用意しなければならないな」、と感じざるを得なかった。


■ で、DVDはどうなの?

 最後にDVDの映像をチェックしてみたい。前回のレポートでは、以前から使っていた松下電器のDVDプレーヤー「DVD-A770」を利用した。その後、同じく松下電器のプログレッシブ出力対応DVDプレーヤー「DVD-RP91」を購入したので、今回はそちらでチェックを行なった。

 前回も書いたように、従来のプレーヤーでは、字幕部分や動きの早い部分、アニメなどでかなり激しいコーミングが見られていたが、DVD-RP91でプログレッシブ信号(D2)を出力した場合には、そのようなコーミングは一切見られなくなった。

 また、それまでつぶれてしまっていた細かな部分までもくっきりと表示されるようになった。例えば、映画「グラディエーター」の冒頭の戦闘シーンで、無数の火矢が飛んでいくところや、広大な戦場で戦闘を繰り広げる多数の兵士、また、違うシーンだがコロシアムを埋め尽くす観客などもはっきりと映し出された。「こんなことになってたのね」とびっくりしたほどだ。

 もちろん、DVDプレーヤーの実力差がそのまま表示品質として現れている部分もあるが、当然ディスプレイ側の能力差もある。従来とは比べものにならないほどDVDの表示品質が向上し、こちらも大満足。もう以前の環境には戻る気がおこらない。

 ただ、薄暗いシーンでやや締まりのない映像になる点や、明るい部分が飛んでしまうといった部分はやはり気になる。地上波テレビ放送やビデオ入力の映像、BSデジタルハイビジョンなど、すべてで同様の傾向が見られると言うことは、W32-PD2100の特性なのだろう。


■ 総合的には十分満足できる

 入力ソースごとに画質をチェックしてみたが、地上波テレビ放送やビデオ入力の映像でのジャギーや縞状のノイズ、全般的な黒浮きなど気になる部分もあるが、総合的に考えると、個人的には十分満足できる品質だと感じている。特に、BSデジタルハイビジョンやDVDの映像を見たときには、その表示品質の高さに大いに満足している。まあ、価格を考えると地上波テレビ放送やビデオ入力の映像はもう少しがんばってもいいんじゃないの、と感じることもあるが、とりあえずは許容範囲内。

 ということで、今回はビデオやBSデジタルハイビジョン、DVDなどの家電系映像ソースを中心にチェックを行なった。次回は、PCを接続したりゲーム機を接続した場合の表示品質、内蔵スピーカーの音質などをレポートする予定だ。


□製品情報
http://av.hitachi.co.jp/plasma/index32.html
□関連記事
【5月2日】プラズマテレビ「W32-PD2100」購入レポート その1
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010502/pd2100.htm
【4月12日】新製品プレビュー第7回「身近になった32V型ワイドプラズマテレビ 日立 W32-PD2100」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010412/npp07.htm

(2001年6月14日)

[Text by 平澤寿康@ユービック・コンピューティング]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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