気になるグッズを衝動買い |
第20回:FF X公式バーチャルサラウンドスピーカー “公式”の実力はいかに?「beat shock」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■コンパクトな環境でゲームもサラウンド
最近になってゲームにもドルビーデジタル収録のソフトが出てきました。発売中のプレイステーション 2用ソフトでは、スクウェアの「バウンサー」と、ガストの「リリーのアトリエ ~ザールブルクの錬金術師3~」そして、19日に発売されるスクウェアの「ファイナルファンタジー X」。
「公式」を伝えるチラシ |
聞いたことのないメーカーではあるものの、「公式」の冠があるからには下手な商品ではあるまい。「公式」モデルと特典がつく「限定」モデルがあるらしく、店頭で見かけた商品は「公式」モデル。で、お値段は16,800円。サブウーファにも対応するが、こちらは別売で、パッケージは2スピーカーのユニットのみ。まあ、サラウンド感にサブウーファはそれほど関係しないからよろしいかと。
「特別限定モデル」は、デジキューブ流通でコンビニでも取り扱い、現在予約受け付け中。商品自体は「公式」と同じものだが、カラーがブルーとなり、予約特典としてスクウェアサウンズ監修の冊子「FFX SOUND BOOK」がオマケ付くのだそうな。こちらの価格も16,800円。ううむ、FFには興味ないけれども、最近ゲームでもドルビーデジタル収録のソフトが出てきたし、試してみるのも一興。価格もあきらめが付くレベルだしね。
限定という言葉には弱いが、ま、商品自体も価格も一緒だし、「FFX SOUND BOOK」にも興味ないので目先の商品を押さえるとしましょう。
■結構かさばるスピーカー
DVDソフト「アフターショック」の広告チラシ |
出力は7W×2で、TVと同レベルといったところ。う~ん、映画を大迫力で楽しむには少々物足りないかも?
パッケージの内容は、アンプ/デコーダ/スピーカー一体型の本体、ACアダプタ、光デジタルケーブルとシンプル・イズ・ベストな構成。入力端子部も光デジタル×1系統のみで、「これ以外は必要ありません!」という姿勢が伝わってくる。うむ、いさぎよいではありませんか。
光デジタル入力のほかには、サブウーファ出力端子×1系統が用意されている。こちらは専用サブウーファ用のもので、端子はミニプラグ。店頭ではサブウーファの発売を確認できなかったが、ビートディメンションのWebサイトによると7月下旬に発売のようだ。Web上の仕様書によれば、出力15Wのアンプを内蔵、ユニットは5cmコーン、再生周波数帯40Hz~250Hzということらしい。価格などの情報は今のところナシ。サブウーファなしで使うつもりで買ったからいいのだけれどもね。これはちょっと不親切かな。
本体は、外形寸法200×149×113mm(幅×奥行き×高さ)と、少々大きめに感じるが、2chスピーカーとアンプ、デコーダを内蔵していることを思えば妥当なレベル。電源スイッチは背面のみで、操作ボタンは前面に集中。それもボリューム上下とエフェクトのON/OFFボタンの合計3個のみ。ううむ、なんとシンプルなことか。
それよりも気になるのがACアダプタの大きさ。体積にして本体の約1/3といったところで、ラックの背面に隠しておくには少々難があるサイズ。ACアダプタって熱を発するから、配線の集中しているラック背面に隠すと発火の原因になりそうだしな~。ま、杞憂だとは思いますが。
同梱品一覧。必要最小限のもののみ添付。ACアダプタが意外に大きい | 本体背面部。入力は光デジタル×1系統、サブウーファ出力×1系統のみ |
マニュアルはこれ1枚のみ。非常に簡潔で、接続に迷うこともなさそう | 前面操作部のアップ。左がエフェクト、右の2つがボリュームと3個のみ | 19インチモニタに乗せたところ。意外と大きい |
■音質、サラウンド感ともに「価格相応」
とりあえず、本体をラックの最下段に設置。光ケーブルでプレイステーション 2と接続してとりあえずプレーイ!
最初はサラウンド感を確かめるべく、映画DVD「U-571」を視聴。これは「dts」/「ドルビーデジタル」両収録タイトルであるが、「beat shock」はドルビーデジタルのみの対応のため、当然ドルビーデジタルで視聴した。
最初に感じたのは、やはり「音質」への不満。ん~、どうにも鳴りが単調。要するに、再生周波数帯が狭いのね。で、仕様書を見ると再生周波数帯まで書かれていない……。サブウーファがないため低音が不足するのは仕方がないものの、飛行機のエンジン音など、高音域の伸びが必要になるシーンでは不足を感じてしまう。
音の抜けもよろしくなく、キャビネット内でばっちり反響しているようだ。なんというか、「TVのスピーカーの音」という感触。音量については、7W×2で充分でした。まあ、5WのTVスピーカーでもフルボリュームにすることはないので、予想通りといえますな。こんなものでしょう。
意外に思ったのがサラウンド感。バーチャルサラウンドにしては非常に頑張っている。思った以上に音がぐるぐると回ってくれるのです。
エコーがかかり気味な印象を受けるものの、水圧で艦のきしむ音、旋回する飛行機のエンジン音などが360°回ってくれる。音が広がって聞こえてくるので、リアリティが増している、という感触。リアチャンネルの音はさすがに後ろまでは伸びず、「横で鳴ってるかな~」程度。
言い換えれば、音の定位感はそれほどないが、「音が広がり、つつみこまれる」感触は感じられる、ということ。「サラウンド」の意味は「つつみこまれる」だから、サラウンド感はばっちりということですね。
しかし、サラウンドを感じられるレンジが非常に狭く、スピーカーの真正面でなければ、とたんにステレオの音になってしまうのが難点。まあ、視聴中は画面に集中しているんだけどね。映画1本2時間として、ずっと同じ位置をキープするのはつらいな~。
広告チラシに書かれた有効範囲図。聴感上も同じだった |
■で、ゲームのサラウンド感はどうよ?
さて、当初の目的であるゲームソフトのサラウンド感はどうか? 現在発売中のドルビーデジタル収録ソフト、「バウンサー」と「リリーのアトリエ」を買ってきましたよ。
双方ともにドルビーデジタルはムービーシーンのみ収録。ん~、ドルビーデジタルの音場をリアルタイムで生成するにはいろいろと壁があるんでしょうな。ちょっと残念。
まず、最初に「バウンサー」をプレイ。このゲームは全編CGで展開するため、ムービーシーンと、リアルタイム生成のCGシーンとの差がそれほど感じられない。
冒頭のムービーシーンは、「U-571」で感じたサラウンド感と同じ印象。忍者風キャラの疾走音、雑踏のバックグラウンドノイズなどで広がりを感じる。しかし、ドルビーデジタルはムービーシーンのみ収録。ムービー以外のシーンに切り替わると、とたんにステレオの音に変化。あう、ギャップが激しいですよ……。
ムービーシーン以外は、それほど音の移動要素がないので気にならないといえば気にならないが、このゲームは格闘アクションが肝。パンチ/キックの音などもサラウンドで再現されると迫力ももっと増すんじゃないかと思います。え、ゲーム自体の満足度? ……想像にお任せします。
次いで行きましょう「リリーのアトリエ」。こちらは1枚絵の静止画を切り替えて進行していくタイプのゲーム。ムービーはオープニングのほか、進行に応じて再生していくが、それほど豊富ではない。ま、オマケみたいなものですね。
オープニングムービーは40秒程度と短く、それほど音の移動する要素がない。が、船上のカットでは波のさざめきが広がり、リアルに響く。これは2chでは体験できない音でした。
本編中では、セリフがドルビーステレオで収録。こちらもキャラ1人でしゃべることが多く、サラウンド効果はそれほど感じられない。しかし、複数のキャラで会話するシーンでは音場を感じる。とはいうものの「2chより広がって聞こえる」というレベル。ううむ、これってそれほど意味ないかも。肝心の画面が静止画なので、あまりリアリティを感じないんですわ。せめてキャラが音にあわせて動いてくれればねぇ……。
ドルビー(デジタル)収録の2ソフトをプレイしてみたけれども、ま~、なんというか、現状では「ゲームでもサラウンド」は過剰に期待できない、ということでしょうか。本編中とムービーシーンのギャップが激しいです。対応ソフトも今のところ2つだけ。ムービーシーンがふんだんに取り入れられているゲームなら効果を感じられると思いますが。その意味では「ファイナルファンタジー X」は期待大ですね。
年末に発売予定の「Xbox」では「ドルビーインタラクティブコンテンツエンコード」技術が搭載され、リアルタイムでサラウンドするそうなので、こちらにも期待したいところ。
■「プレイステーション 2」のゲームユースなら充分
振り返ってみれば、「dts」に対応しておらず、入力が光デジタル1系統のみ、と非常に割り切った構成で、「プレイステーション 2で手軽にサラウンド感を楽しむ」ことに焦点を絞った製品に思われる。リアchの再現性こそ不満が残るが、サラウンド感は非常に良好。「AVアンプや5chのスピーカーまで設置するのは大げさだし、そこまで予算をかけたくない」というニーズにはぴったりだと感じる。逆にいえば、「リアの再現性にもこだわりたい」というニーズには答えられない。そういう方は素直に5.1chのシステムを導入するのがオススメ。
けれども、ゲームって思わず長時間プレイしてしまい、気が付けば深夜、ってことも多いんだよね。5.1ch分のスピーカーを鳴らすと小音量のつもりでも結構な大音量になってしまい、音量を絞るとセリフが聞き取りづらくなる、なんてことも。
その点、この「beat shock」なら、1パッケージのメリットを活かしてリスニングポイントの近くに置けて、小音量でも明確に聞き取れる。うん、時間を気にせず利用できるし、現在では全編「ドルビーデジタル」収録のゲームソフトもないので、これで充分なんじゃないかと。壁の薄いアパート暮らしの自分にはなかなかよろしいですよ。
ううむ、こうなるとTVと一体化していないのが惜しまれるな。音質はTVスピーカーと似たようなものだから、TVのステレオ入力に接続するデコーダボックスなんて製品が出てきたら欲しいかも。どうですかね?
そういえば、「ステレオダイポール」/「DiMAGICVX」採用のバーチャルサラウンドスピーカーって、アイ・オー・データから「P2DiPOLE」という製品が「プレイステーション 2」発売と同時期に出ているんだよね。こちらはストリートプライスで現在9,000円程度(サブウーファ同梱のプレミアムセットの値段。標準価格はオープンプライス)。デザインがどうも気に入らなかったのでこれまで購入を見送ってきたけれども、中身はほとんど同じだし、サブウーファ同梱でこの価格は魅力的。ううむ、こちらも結構よろしいんじゃないですか? と想像してみます。
□ビートディメンションのホームページ
http://www.bdjpn.com/index2.html
□製品情報
http://www.bdjpn.com/goods/bs/01.html
(2001年7月3日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp