気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第27回:音楽道連れサイクリング!!
スピーカー付きバックパック「K2 GENEK-P5」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

ヘッドフォンだと危ないシーンも

 今の時代は数多くのポータブル機器が発売され、それぞれに工夫を凝らされているので「いつでもどこでも音楽再生」ができる世の中です。え~、基本的には。

 ポータブルリスニングといえばヘッドフォン(含むステレオイヤフォン)。しかし、ヘッドフォンは外部の音が聞こえにくくなり、「車の接近音が聞こえない」という事態もありえます。まあ、歩行時はほとんど歩道を歩くため、車と接触する危険は少ないけれど、クラクションを鳴らされて接近に初めて気づくことも多いかと。

 それよりも問題なのは自転車などに乗っている場合。こちらは車道を走ることも場合もあり、特に後ろからの車の接近は音で判断することが多いので「外部音」が聞こえないのは致命的。少なくとも自分は自転車に乗るときは使用してません。

 ヘッドフォンリスニングはパーソナルな空間を確保できていいんだけどね、「自転車に乗ってるときも音楽を聴きたい」、というニーズには応えられないし、歩行時も全く危険がないわけでもない。ということで、「移動時も安全なポータブル機器」は無いと言っていいでしょう。オープンエア型のヘッドフォンでも意外と外部音は聞き取りづらいんですわ。

 「自転車でも使えるポータブル環境」はないものかと思っていたところ、とあるブツを見つけました。それはスキーやインラインスケート、MTBなどのスポーツ用品メーカー「K2」の出しているバックパック、「GENEK-P5」なのであります。

 こちらの「GENEK-P5」、見た目はフツーの大型バックパック。どこがフツーでないのかというと、なんとベルト部分にスピーカーが付いているのです。もちろんアンプも内蔵し、電源は単3型乾電池×4本。「バックパックにポータブルに鳴らせるスピーカーを付けた」というコンセプトの製品らしい。ふむ、これなら外部音を聞き取りながらでも音楽も聴けそう。ぜひともゲットせねばなるまいて。


販売店はメーカーサイトでご確認を

 スキーやインラインスケート、スケボーにキックボードにMTBなどなど多彩なスポーツ関連製品を出している「K2」製品の取り扱いといえば、やはりスポーツ用品店。製品情報ページに「取扱い店舗リスト」が用意されていて、主に有名スポーツ用品店で扱っていることが確認できました。ということで、池袋のスポーツ用品店をめぐってみた。けど、どこも扱って無いよ……。

 バックパックが豊富にある山岳用品系の店でもNG。百貨店系でビル全体がスポーツ用品の店でもNG。う~む、どうしたものか。「取扱い店舗リスト」では取り扱い店舗が多く感じられたので、池袋でも売ってるだろうと確認しなかったけど再度見てみるべ。

 確認してみたところ、やはり池袋には取り扱い店舗はありませんでした。よくよく見てみると、多くの都道府県で扱い店舗はあるものの、47都道府県すべてではありません。しかし、通販サイトを持ってる店舗もあって、もちろんそのサイトで売ってました。買う気になれば全国どこからでも入手可能かと。ま、東京には他にも取り扱い店舗があるので、自分はこちらを探すかな。一番近くの店舗だと新宿か、では気を取り直して行ってきます。

 ……が、バックパックコーナーでは発見できず。「モノのついでに」とインラインスケートコーナーをプラプラとしていたところ、なんだよ、ここにあるじゃんかよ! インラインコーナー内にバックパックのミニコーナーが設置されていて、SALOMONなどの他メーカーのバックパックと同じように展示してありました。

 どうやらこのお店では「インラインスケート用のオプション」という理解をしているみたい。確かにK2はインラインスケートも出しているメーカー。それにスケーティング中は外部音が聞き取れないとやっぱマズイ。なるほど「インライン使用中でも音楽が聴けるバックパック」なのでしょう。バックパックを背負ってスケーティングしてる人は少なそうだけど。

 とにかくお値段の確認をば。12,800円。ううむ、バックパックにしては少々お高めだが、一応「K2」ブランドだし(どれほどの価値があるかは個人によると思いますが)、なによりも類似製品を見たことがない「スピーカー付き」というレア度を考えると妥当かと。バックパックとしてのユーティリティもなかなか良さそう。ふむ、よろしいんじゃないですか? じゃ、コレください。


スピーカー/アンプ類を目立たせない工夫が

 さて、この「GENEK-P5」。バックパックではあるものの、スピーカー/アンプのついた電化製品でもあるわけで、ちゃんと保証書がついてます。ただし、保障期間は6カ月。その上同封の「保証登録書」を購入後1週間以内にK2まで送付しないと修理は有料になるそうな。このあたりはちょっと電化製品とは違うかな。

 パッケージングは、本体をビニールで包んで、保証書(/取り扱い説明書)と「保証登録書」を外付けしただけ。いたってシンプルだけど、まあ、バックパックだしな。気にすることでもないでしょう、と気を取り直し、ビリビリとビニールを破って本体をあらためる。

 バックパックとしては、ファスナー付きポケットを大小計5つを装備。もっとも大きなポケットはA3サイズで、奥行き15cm程度のものまで入りそうな大容量(ただし容量についての記述はなし20~30lくらいと思われる)。ノートパソコンも収納できるように、緩衝パッドがついているポケットもあります。ほかにも、表に小物収納用のポケットや、ペットボトル収納用網ポケットなどもアリ。

 特に、CDケース収納用のポケットや、ベルト部あるリモコン収納用の網ポケットなどが「ポータブルオーディオ用バックパック」らしく、工夫が感じられます。

 では、オーディオ部の仕様を確認してみましょう。スピーカーは左右のバンドに1つづつ、当然ステレオでございます。マニュアルによるとスピーカーは防滴型(JIS規格等の記述なし)で、「強い音の指向性」を持っているそうで、「不必要に周囲へ音が広がることがない」工夫がされているようです。

 ユニットは、ベルトにフィットする平面タイプ。さすがに伸縮性はなく、硬いユニットだけれども、小型でベルトのフレキシビリティには干渉しない程度のサイズ。ユニットのメーカーは不明。ただ、アンプはFPS製と確認できたので、スピーカーユニットもおそらくFPS製と思われます。

 アンプの入力端子は、ステレオミニプラグ×1。直接ポータブル機器のヘッドフォンジャックに差し込む仕様になっている。ベルトに設置したリモコンまで延ばしたい場合は、付属の延長ケーブルを使用する。

 出力は、最大1W×2/定格0.6W×2。少々出力が大きなヘッドフォン程度、といった所でしょうか。電源は単3型乾電池×4本で、「約7~8時間の連続再生が可能」だとか。再生周波数帯などの記述はなし。電源/ボリュームのコントローラは右のベルトに装備。ボタンは電源/ボリューム1つづつで、ボリュームは1ボタンで3段階調節。

 感心したのは外見をバックパックに保つ工夫と、ポータブルオーディオ機器を使いやすくする工夫が随所になされていること。スピーカーとアンプの接続ケーブルは、ベルトの内部に内蔵。電源/ボリューム用コントローラもメッシュ布の中に入れてベルトと一体化。アンプは、ポータブル機器収納用のポケット中に配置。デバイスを隠しつつもポータブルオーディオ機器との接続にも便利です。ただし、電池ボックスはノートパソコン用のポケットに配置され、その上緩衝パッドの裏側に配置されているためアクセスしにくいのが悔やまれますが。

 特に感心したのが左ベルト部のマジックテープ。リモコン用ポケットまでマジックテープが用意されていて、コードはこのテープ内に収納可能。コードを隠しつつ、リモコンの位置も固定できるナイスなアイディアだと思います。ううむ、なかなか使いやすそうですよ。では、リスニングするとしますか。

パッケージ。ビニール袋に入っているだけ 本体。ブラックで統一されたシンプルなデザイン スピーカー部。ベルトと一体化している

アンプ部。FPS製。スピーカーも同社製と思われる 電池ボックス。緩衝パッドの裏にあり、アクセスが面倒 ベルトにあるスイッチとリモコン収納用ポケット

マニュアルと保証登録書。家電製品とはちょっと違う コードを収納するマジックテープ。工夫されている


音の第一印象は「物足りない」だけれども……

 リスニングに使用したのは、CDプレーヤー「ソニー D-E700」と、MDプレーヤー「シャープ MD-ST880」。しかし、両者の違いはほとんど感じられなかったですよ……。

 最初は室内でリスニングしました。小型/平面のスピーカーから鳴る音は、鮮鋭感がよろしくなく、再生周波数帯も狭い印象。「CDとMDで違いを感じない」程度の表現力かと。う~ん、アウトドア用だからコンセプトが違うと言えば違うのだけど……。ただ、出力は室内で聞く分には十分で、音圧は聴感上30~40dBといったところ。

 ただし、それ以上に上げるとすぐにビビリが入ります。バックパック側の音量が最大の「3」、CDプレーヤー側が10段階の「3」程度のボリュームで割れ割れ。……最大出力1Wだしなぁ。ちなみに、この音割れはマニュアルにも注意書きがあり、「音が割れないレベルまでボリュームを絞って下さい」という旨、明記されております。

 ま、とにかく外を歩いてみる。背負った感触は、まさに大型バックパックそのもの。スピーカーユニットは、ちょうど鎖骨の辺りにきて、特に違和感を感じることもない。前部は2点止めのウエストベルトでバックパックを固定可能。大型バックパックの標準装備ですな。

 では、この装備で日曜日の池袋へ向かうことにしましょう。CDプレーヤー側の音量は、音割れギリギリの「2(10段階中)」に固定。

 外に出ると意外と雑音があるもので、室内では不満に感じていた音質も「ちゃんと音楽が鳴ってるな」という程度に聞こえてくるから不思議。スピーカーの指向性も強いようで、首をひねるだけでステレオ感が崩れてしまいます。歩行中に頻繁に首をひねることもないので、それほど気にはなりません。それよりも、回りに音が広がらず、ある程度パーソナルな空間が確保できるメリットの方が大きいかと。ただ、さすがにヘッドフォンと同レベルとまでは行かず、音量「2」で約半径2m程度とかなり大きな範囲になりますが。

 住宅街の裏道での聴感はなかなか良好。比較的静かなので、スピーカー音量は中の「2」でOK。もちろん、音質はヘッドフォンには及ばないものの、回りの音を感じながら音楽を聴けるので、安全性の高さを感じます。駅に近づき車両の通行量が増えてくると、音量は最大の「3」に上げないと聞き取りづらくなり、駅地下道に入ると会話などの反響音が大きく影響して「3」でも小さな音は紛れてしまう。むむ、ちょっと音量が足りないかな? しかし、駅ともなると半径2mに人が一杯。その上、音量「3」だと3~4mは音が届くようで、ちょくちょくと視線を感じてしまいます。仕方ない、電源切るか。

 駅を抜けて、映画館のある通りに出てみると、さすがに休日のメインストリート。1m2辺りに2~3人といった人口密度。ここで電源をONにしてリスニングしてみると、ふむ、道行く人は無関心なモノ。ま、立ち止まるとちょっと人目を感じますが、移動中に大した視線はございません。雑踏は結構大きく響くけれども、車のエンジン音ほど音楽に干渉しないので、意外とクリアに聞き取れます。が、やはり音は広がっていて、ちょくちょくと目が合っちゃうんだよねぇ。イタイ、イタイ……。


5kgのコメも運べる高いユーティリティ

 自宅に帰ってからは、自転車で近所をプラプラと散策する。うん、これはいいね。徒歩に比べて速度が速いので、人目が気になることは全くなく、爽快にリスニングしながら運転できます。もちろん、後ろから接近する車の音もバッチリ聞き取れて、安全性も問題なし。ただ、風きり音が気になるので、音量は多少割れ気味まで上げないと聞き取りづらくなるのが難点。

 1時間ほどブラブラしてみたけれども、やっぱ徒歩よりも自転車での使用のほうが快適 だやね。人目を(さほど)気にしなくてすむし、何よりも今まで危険だと感じていたリスニングを安全にできるのがよろしい。途中、聴いていたアルバムに飽きてディスクの入れ替えをしたけれども、入れ替え作業もなかなかスムーズ。ポケットが5つもあってそれぞれ目的別に分類できるので、どこに何を仕舞ってあるかすぐわかります。ポケット1つだと手探りでは探りにくいからねぇ。特にCDジャケット用のポケットは秀逸。便利デス。

 そうそう、帰り際にディスカウントショップに立ち寄って、「無洗米」なるものが気になったので(普段は自炊しないけど)5kgのコメを購入してバックパックに収納してみたですよ。無論、余裕ぶっこいて入ったんですが、背負ってみてびっくり。

 さすがに重いけど、肩ベルト直出しのバックパックに5kg詰めたのよりはラクだね、こりゃ。肩ベルトが肩全体を覆った構造から2本に分かれているから、肩全体に重量が分散してベルトが「食い込む」感覚はさほどないのですわ。背中に面する部分はウレタン製で、こちらもクッションの役割をはたして重量を分散してくれます。ううむ、今まで2~3,000円のを中心に使ってたけど、さすがに高いバックパックは違うやね~。バックパックとしてのユーティリティーも非常に高いと感じました。

 ただ、詰め過ぎると街中ではなかなか身動きが取れません。その後、コンビニや書店に立ち寄ったらもうアウト。バックパックが邪魔をして、棚の間を通り抜けるにひと苦労ですわ。む~、バランスが難しいな……。

プレーヤーはアンプと同じポケットに収納すると便利 A3サイズまで入るポケット。5kgのコメ袋が余裕で入ります


使える場面、使いにくい場面

ムレムレになる背面パッド。メッシュにしてくれ~

 移動中のリスニングは快適なのだけれども、途中で立ち寄るコンビニやディスカウントショップなどの室内ではバッチリ注目を集めます。トンネルでの反響音のうるさい地下鉄車内で試しても、やはり何人かの視線を感じて電源を切りました。やっぱ屋外専用だね。電源のON/OFFは容易なので、手間は感じないのだけれども、気持ちよく聴いていた音楽を中断させるのが忍びない。

 盲点だったのが交差点での信号待ちや、駅のホーム。歩いていればさほど人目を引く音量でなくても、静止した瞬間に人目を引いてしまいます。ま、ここではスピーカーの音量を最小の「1」に落とす程度で目立たなくなりますが、それでも肝心の音楽は聞き取りづらくなるからなぁ……。ううむ、徒歩の時はやっぱヘッドフォンで聴くかな。

 最たる不満点の「音質」も、リモコンにヘッドフォンを接続し直せすだけで改善(スピーカーの意味はなくなるが……)。さほど手間もかかりません。バックパックにはリスニング用に充実した装備があるので、ヘッドフォンでのリスニングにも役立つかと。

 それよりも自転車でも安心してリスニングできるメリットが大きいっすね。バックパックの容量も大きく、「日帰りツーリング」程度の荷物なら入りそう。自転車好きな方で、「音楽を聴きながらツーリングしたい」という人がいれば特にオススメしたいです。「時速10km以上のスピードで移動するスポーツをしながら、車の接近音を聞き分けて安全に音楽を聴きたい」、というニーズには応えられるはず。ポータブル機器と電池だけを入れた状態での重量は1~2kg程度。それほど負担になるとは思えません。

 あとの不満点といえばアレですな、アレ。背中に面するパッドがメッシュでないからムレムレになること。外出から帰ってシャツを脱いだときビビリましたよ、茶色のシャツが背中一面黒く見えたからねぇ。汗で湿ってて……。

□K2ジャパンのホームページ
http://www.k2japan.com/
□製品情報
http://www.k2japan.com/GENEK/GENEK.html

(2001年8月28日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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