気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第42回:PDAでMP3を再生してみたい!
カシオ「ラジェンダ BE-500」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

タダで手に入ったPDA

 「Windows XP」発売時には、店頭で福引きを行なうショップも多々ございました。それでですね、私も「Home Edition」のアップグレード版を買ったわけですよ。で、福引きを引いたところ、なんと当たってしまったのですよ、カシオの「ラジェンダ BE-500」が。

 わーい、福引きで1万円以上のものが当たったの初めてだよ。標準価格はオープンプライスだけど、このお店での「ラジェンダ」の価格は29,800円。で、XPの販売価格が13,800円。買った物より、16,000円ほど高いものを貰っちゃいました。

 けど、自分はPalm OS採用の「WorkPad c3」使ってるだよねぇ。こっちのほうが使い慣れてるし、それほどPDAを酷使するような生活もしてないし、まあ、使うこともないか、と当選してから完全放置状態。

 けれども、最近になってTVCMを結構見かけるようになり、「そういえば当たったよなぁ」とカシオのサイトを覗いてみることにしました。すると、これが結構面白そう。PDAとしての機能はTo DO、メモ、スケジュール、住所録などの基本を押さえ、Outlookなどとの連携も可能。しかも、29,800円という価格でカラー液晶じゃないですか。Widows CE 3.0をベースにした独自仕様とはいえ、インターフェイスもWindowsライクでなじみがありそう。

 しかも、CFスロットを装備し、「AirH"」などのPHS/携帯電話通信カードを直接挿してインターネットにも接続が可能。それはそれで魅力的だけど、今のところ興味の範囲はそちらではなく、自分の目を引いたのは標準でMP3が再生できるところでありますよ。

 これまでもソニー「CLIE」など、MP3が再生できるPDAがあったけれども、少々価格がお高めで、どうも物欲がそそられなかった。しかし、もう手元にあるとなれば話しは別。「いつも持ち歩くことになるPDAに、MP3再生機能が付いているんならば別途プレーヤーを持ち歩く必要もないんではないか?」という野望が浮かびました。浮かんだからにはやってみなくてはなりません。せっかくだから俺はこのラジェンダを使ってみるぜ!


なんとか持ち歩けるサイズと重量

 ということで、ごみ袋に埋もれそうになっていた「ラジェンダ」を発掘し、同梱品のチェックをば。と、ここで初めて気づく。あれ? マニュアルがないっすよ? 一度箱を開けて、「お~、入ってる」と本体を確認しただけで、あとは完全放置状態だったから、そのときになくしたのか? と箱書きを見てみると、「CD-ROM収録」なんだとか。確かに箱にはマニュアルが入りそうなスペースはございません。う~ん、マニュアルは紙の方が読みやすいんですが……。

 本体サイズは、外形寸法76×121×17.9mm(幅×奥行き×高さ)と、シャツの胸ポケットには問題なく入ります。重量も約170g(フリップカバー含む)とポケットに入れて持ち運べるレベル。このサイズでSTNカラー液晶と、CFスロットを装備しているのは頑張っているのではないかと。

 けれども、外形寸法79×115.5×11.35mm(幅×奥行き×高さ)、重量119gの「c3」のサイズに慣れていたので少々大きく感じてしまいました。特に厚みがね。まあ、サイズの大きなCFスロットを装備してるから仕方ないのですが、自分の手に持つとホールド感が少々悪いのです。

 本体の下部には、クレードルと接続する独自端子と、AC端子、そしてステレオミニのヘッドフォンジャックを装備。ううむ、ヘッドフォンジャックは本体下部ですか。まあ、上面にはCFスロットがあるから無理だったんでしょうな。しかし、使い勝手を考えるとせめて側面に欲しかったかと。

 その他の同梱品はUSB接続のクレードルと、ACアダプタ、そしてCD-ROM×2枚のみ。PDAとしては標準的な構成かと。CD-ROMからマニュアルを参照してみると、なんと286Pもある巨大なPDFファイルがありました。あう、紙で読ませてくれ~。しかし、インデックスが充実していて、目当ての項目を探すのには手間取りません。ううむ、良し悪しってとこかな。

 気を取り直して、セットアップをするかね。PCとの接続は、「Outlook」と同期できる機能などを備えた専用ソフト「PC接続」で、対応OSはWindows 98/98 SE/Me/2000。そんじゃまあ、PCに接続ソフトをインストールしましょう。

同梱品一覧。マニュアルはCD-ROMにPDF収録 本体正面。フリップを標準装備している 「c3」との厚みの比較。持ちやすさでは「c3」が上

本体の下面。クレードル用のコネクタ以外にヘッドフォンジャック、ACアダプタ端子を装備 CFスロット部。カバーは脱着式。CFカードを入れっぱなしのユースを想定しているのかと


PDAとしての使い勝手はどうなのよ?

 PCのほうのセットアップをする間に、充電していた本体を触ってみる。本体にはあらかじめアプリケーションが導入されていて、PDAとしての機能は、スケジュール、住所録、To Do、電卓、そしてブラウザとメーラーなどを備え、かなり多彩。少なくとも「WorkPad c3」の初期状態よりはラインナップが多いです。それぞれのユーザーインターフェイスは、Windowsの「Outlook」と似た構成になっていて、初めて手にした自分にも直感的に操作体系を理解できました。

 文字入力は、漢字、かなの手書き認識が可能。しかし、漢字のみならず、ひらがなの入力にも1文字あたり1~5秒程度の時間がかかり、PalmのGrafity入力に慣れた身としては、ソフトキーボードで入力したほうが使いやすいですわ、これ。

 PIMとしてはカラー液晶を搭載していることで、視認性はグレースケール液晶の「c3」よりは格段に上。10秒程度入力がないと液晶の輝度をさげて省電力モードに自動的に移行するのだけれども、画面をタップした瞬間に輝度を上げてくれるので明るい場所でも暗い場所でも問題なく使えました。

 便利だな、と感じたのが手書きメモ機能。PalmでもGrafityの入力には時間がかかり、とっさのメモには手書きメモを使っているのだけれども、160×160ドットという荒い解像度では後から見たときに判別できないことも多いのです。けれども「ラジェンダ」は320×240ドットと解像度も高く、大抵の文字は判読可能。解像度の高いディスプレイはいいですなぁ。テキストでも一度に表示できる文字数が多いし、カラー液晶の視認性も結構高いし。

 「BE-500」対応を謳ったアプリは現在のところ少ないみたいだけれども、ちょっと調べてみると、裏技的に設定をいじることでWindows CE用アプリが使えるご様子。もちろん、メーカーが推奨しているわけがないので、各自の責任で、ということになりますが。

 PCのほうのセットアップも終わったし、それじゃ、MP3再生をやってみるかな、と参照してみても、どうもメニューに見当たらない。マニュアルを参照してみると、本体にはプリインストールされておらず、同梱のCD-ROMからインストールするんだそうな。ええと、クレードルをPCに繋いで、本体をクレードルにセット。おお、クレードルにセットすると自動的に電源がONになるのね。PC側でもしばらくのタイムラグの後、「PC接続」が立ち上がりました。ふむ、PCとの同期もそれほど手間ではなさそう。

 けれども、アプリケーションのインストールはCD-ROMから。CD-ROMをセットしてMP3プレーヤーソフト「音楽再生」を選択、っと。これで自動的に「BE-500」本体にMP3プレーヤーが導入されました。

同期ソフト「PC接続」。PIMデータのほかにもファイル転送なども可能 「BE-500」本体のメニュー画面。初期導入アプリは多彩 「メモ」での手書き文字入力画面。漢字の入力も可能


MP3再生はCFメディアが必須!

 ちゅうことで、MP3再生を試してみます。ちなみに再生できるフォーマットはMP3オンリー。WAVEなどは再生できません。

 ここで「BE-500」のスペックを確認。内蔵メモリは書き換え可能なエリアが16MB、けれども、「音楽再生」などのソフトを導入すると、空きエリアはせいぜい5MB程度しか残っていないのです。って、転送できるのはせいぜい1曲がいいろころやんけ!

 見落としてましたよCFスロット。つまり、音楽などのデータは「CFメディアに別途転送してね」ということでしょう。考えてみれば、「c3」の内蔵メモリは「BE-500」の半分の8MB。PDAにとって16MBは破格(?)の容量なのです。MP3再生は本来ならばPDAの領域を越える領域であるため、オプション品で対応して欲しいのが本音。本体メモリにも転送できる仕様になってるだけ良心的ってもんです。でも、自分はCFメディア持ってないんですわ……。

 しゃあないので、1曲だけ転送っと。ファイルの転送は「PC接続」で同期するフォルダを選択すると、そのフォルダの内容をPCと「BE-500」で同期してくれます。転送時間は少々長めで、5MBのファイルで約4分といったところ。

 ファイルの転送が終わり、再生をしてみる。表示情報は、タイトル名やアーティスト名などのID3タグ情報、ファイルサイズ、ビットレートなど。日本語の表示にも対応。さすがにPDAだけあって、表示情報は多彩で一覧表示されるのが便利。オマケにプレイリストの編集も「BE-500」側で可能。もちろん、プレイリストも保存されます。不安に思っていた再生時間は思っていたより長めで、液晶の電源を切る「画面表示OFF」を設定することで、連続4時間程度持ちました。それでも短いけどね。

 下面に装備されたヘッドフォンジャックは、L型プラグのヘッドフォンを使えば、胸ポケットに入れてもそれほど気にはなりませんでした。不安が残るのはボリュームのコントロール。本体にジョグなどが装備されておらず、画面をタップしないとボリュームのコントロールができないのであります。むむむ、これは盲点だった。ボリュームのコントロールはかなり頻繁に行なう動作。それがいちいち画面を見ないとできないってのは使い勝手としてはかなりよろしくない。慣れるのが大変そうでありますよ。

 と思っていましたが、読者の方からご指摘がありました。実はもうひとつボリュームの調節方法がありまして、本体下部のカーソルキーの上下を操作することでボリュームの設定が可能。これならポケットに入れたままでも操作できますなぁ。すいません、マニュアルにもちゃんと書いてありました。

【お詫び】
・初出時に「ボリュームコントロールは画面のタップのみ」と記述しておりましたが、実際には本体のカーソルキーでも操作可能です。関係者の方にお詫びし、該当部分を追記させていただきます。

 まあ、不満点といえば、電池の持続時間がPDAにしては短いこと。「画面表示OFF」の状態にして、連続再生をかければ4時間程度は持つのだけれども、例えばCFメディアに目いっぱいMP3ファイルを入れて、画面で参照しながら好きな曲を聞いていく、という使い方をしたら、いざPDAとして使用したいときに電池切れ、なんてことも考えられますからなぁ。

 PDAオンリーのユースでは、電池持続時間はカタログスペックで連続6時間。PDAとして使うにはそれほど問題を感じないけれども、MP3プレーヤーとして見ると少々物足りないのは確か。ま、1日ごとに充電していけば全く問題ないんだけど、ちょっとした旅行などのお供に、という使い方にはあまり向いてないと思います。「日々の通勤/通学で使いたい」ということならば使えるんだけど。でも充電すんのって忘れるんだよね。

MP3プレーヤーソフト「音楽再生」。タグ情報などを一括して参照できる プレイリストの編集画面。大容量CFメディアを装着したときに便利そう


なんでも出来そうだけれども実はニーズを選ぶ製品かも

 本体サイズは少々大きめなものの、持ち運ぶには問題を感じない。PDAとしての機能は、最新のPoket PC 2002などに比べると少々物足りなさを感じるが、現在使用している「WorkPad c3」と同等で、不便を感じることもない。カラー液晶で視認性はこちらのほうが上。

 アプリケーションもCEをベースにしているだけに(カスタマイズすれば)結構豊富で、発展性もありそう。なによりもブラウザとメーラーが標準で搭載されいて、CFスロットに直接PHS/携帯電話カードを挿せるのに、29,800円という低価格で提供されているのが画期的。CMのように「いつでもどこでもインターネット」というニーズには最適だと思います。

 まあ、MP3再生機能や動画再生機能はオマケやね。本体メモリは16MB、うち初期導入アプリを入れると5MB程度しか残らないから、本体メモリに導入できるMP3ファイルはせいぜい1曲。CFメディアを増設すればいいのだけれども、PHS/携帯電話カードを入れてインターネットに接続するユースを考えると入れ替えるのもめんどくさそう。本体メモリが倍の32MBあればもっと遊べる使い方ができると思います。ともあれ「この価格でよくぞこれだけ詰め込んでるな」と素直に思います。オマケでもあるだけよろしいかと。

 けど、自分はPalmの方が使いやすいなぁ~。インターフェイスも慣れているし、電池も長く持つし。ということで「ラジェンダ」はふたたび放置されることになると思います。いや、低価格でいろいろな機能を盛り込んだいい製品だとは思うんですが、好みの問題ということで。あ~、そういえばソニーの新CLIE「T-600C」もオプション増設でMP3再生ができるみたいですね。TVなどを操作できるリモコンソフトも標準でついてるみたいだし。ううむ、魅力的だなぁ。っつーか、欲しいです。

□カシオのホームページ
http://www.casio.co.jp/
□製品情報
http://www.casio.co.jp/lagenda/
□関連記事
【9月13日】カシオ、実売35,000円のPDA「カシオペア “ラジェンダ”」(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010913/casio.htm

(2001年12月11日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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