気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第44回:「ちっこいプレーヤー」MP3激闘編
アイ・オー・データ「Hyper Hyde Exrouge」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

「ちっこいプレーヤー」は使い勝手が良い

 「SV-SD80」は今年購入したプレーヤーの中でもトップクラスの使い勝手の良さであります。何よりも小さくて、どこにでも持ち歩ける手軽さがよろしい。そして、タイトル情報などが表示可能な液晶部を備え、操作性もバッチリ。ついでに連続再生時間も10時間と長時間。ふむ、ここまでは完璧なのです、ここまでは。

 一番の難点は、セキュア化したファイルしか再生してくれないこと。このセキュア化の手間がめんどくさいのであります。手持ちのMP3ファイルを気軽に転送、なんて使い方はできなくて、CDリッピング/転送ソフト「SD-Jukebox2.3」でいちいちセキュア化したファイルしか再生してくれない。

 また、ストレージクラス対応製品のようにUSBケーブルを繋いで転送することはできず、別途リーダ/ライタを使わないといけないのもめんどくさい。ううむ、セキュア化の手間と、リーダ/ライタを接続する手間を考えると、「手持ちのMP3ファイルを有効活用しよう」という気力が沸かず、「特に聞き込んでいる楽曲だけをセキュア化して持ち歩く」という使い方しか出来ないのであります。いや、根性ないんで。

 しかし、このセキュア化の手間がいらなくても、小型で使い勝手の良さそうなプレーヤーが出たのであります。それが、アイ・オー・データの「HyperHyde Exrouge」なのであります。


「Masao Magic Technology」で長時間再生

 ということで、買ってきました「HyperHyde Exrouge」。製品にはMMC×1が同梱し、64MB版と32MB版が発売されてますが、64MB版は売り切れ。32MB版は15,800円でございました。

 アイ・オーの「HyperHyde」シリーズといえば、小型で話題になっていたプレーヤーだけれども、今回の「Exrouge」は小型な上に液晶表示部がついているのがポイント。さらに、ここが重要なのですが、日本語表示に対応しているのでありますよ。しかも漢字表示に対応。

 まだまだ魅力的なところはありまして、なんでもプレーヤー本体の設定をPC側から変更することが可能なんだとか。本体との接続はUSBで、ストレージクラスには対応しないものの、PCから直接MP3ファイルを転送することが可能。で、同梱のMMC以外にもSDメモリカードも使用できる、と。ふむ、使い勝手の面でもなかなか期待が出来そうです。

 電源は、単4型アルカリ乾電池×1本を使用。発売直前には、発表当初「12時間」とされていた連続再生時間が「19時間に延びた」というリリースもあり、連続再生時間だって期待大。なんでも「Masao Magic Technology」を使って音質と再生時間のバランスを考えながらチューニングを行なったのだとか。

 そういえば「Masao Magic Technology」って聞いたことがあるよな、と思い、AV Watchの記事検索で検索かけてみると、D.N.Aの「PDA-03 Mark2(PDA-032BK)」の記事にヒット。おお、こちらにも「Masao Magic Technology」の文字が。むむ、ついでにPCからの設定も可能だったのか。ってことは、ひょっとしてこのプレーヤーの開発元ってD.N.A?

 まあ、確認はできていないのですが、おそらく間違いないでしょう。機能も連続再生時間も似てるしね。まあ、D.N.AもMP3プレーヤーメーカーとしては評価が高いし、そこらへんはつっこまないことにして、同梱品を確認することにしましょうか。

 同梱品は、プレーヤー本体、単4型アルカリ乾電池×1本、32MBのMMC×1、ステレオイヤフォン×1、専用のUSBケーブル、そして、専用のソフトを収録したCD-ROMという構成。ま、「必要なものをコンパクトに」という内容かと。パッケージも小さくて、購入に際してもさほど邪魔にはなりませんでした。あ、ちなみに本体は日本製です。

同梱品一覧。構成はシンプルでパッケージも小さい 本体の液晶面。操作ボタンは3つのみ 電池収納部。本体の幅の約1/4といったところ

側面の端子部。ジョグダイヤルと、USB端子、ヘッドフォン端子を装備 メモリカードスロット部。バネ式のギミックも装備


この形状は……ポケベル?

 本体は外形寸法61×19×47mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約34g(本体のみ)と、十分に小型なプレーヤー。しかし、松下の「SV-SD80」と比べると、3割増しくらいの体積といったところ。手に持ちながら確認してみると、「SV-SD80」が「握りこぶしの中に入る」程度なのに対して「Exrouge」はこぶしには入らず、なんというか「ポケベルサイズ」というのがぴったりな印象。

 そういえば、形状もどことなく似ているようで、アイ・オーの製品情報サイトFAQにも「ポケベルみたい」という項目があって思わず笑わせていただきました。それに対する回答は「小さくても操作性を落とさないという面でポケベルと同一方向のデザインにたどり着いたと考えています」。なるほど、確かにポケベルの機能性は秀逸でしたからなぁ。

 ま、自分としてはデザインはあまり気にしない性質なので、ポケベルみたいな形状も問題ありません。情熱的な本体色「ルージュ」もOK、OK、どんと来い! ってなもんです。ネックストラップ使って首から下げても気にしませんとも。ええ。問題は、どちらかといえばサイズ。

 やはり「SV-SD80」と比較すると大きめで、手にもったときのホールド感が少々劣るのです。でも、まあ、「ポケベルサイズ」故、ポケットにも簡単に入るし、ストラップ用のリングも装備しているのでネックストラップを使っての使用も問題はなし。劣るのはホールド感だけなんだよねぇ。

 とはいえ、サイズ大きいということは、機能も豊富ということ(多分)。先にも書いたとおり、USBケーブルで本体と接続することでMP3ファイルの転送が可能となっております。ただし、転送スピードは少々遅め。FAQによると、なんでも「各メディア速度の最高アクセス性能まで到達することはない」とか。

 アクセススピードの速い256/512MBの大容量SDメモリカードが発売されますが、それだけの容量を転送するには莫大な時間を要すると思われます。ま、高いんでそんなカードは買いませんが。

 再生対応ファイルは、このUSB接続時に専用ソフト「HyperHyde Manager」で転送されたもののみで、リーダ/ライタを使って転送したものは再生できません。とはいえセキュア化の手間はなく、非常に快適。対応OSも、Windows 98/98 SE/Me/2000/XPのほかに、Mac OS 9.0.4~9.2.1に対応。ユニバーサルに使用できる環境となっております。

「Exrouge」を握ったところ。こぶしには隠れない 「SX-SD80」を握ったところ。こぶしに隠れる

両プレーヤーの比較。目測で大体3割増しといった体積比 デフォルトの再生表示。最初にタイトル名を表示してからトラック数と再生時間を表示


マニアックな設定が出来て超絶に長い再生時間

 転送ソフトでしかファイルの転送に対応していないものの、既存のMP3ファイルの利用は可能。いちいちセキュア化する手間はありません。USBでプレーヤーとPCを接続した状態で、「HyperHyde Maneger」に転送したいファイルをドラッグ&ドロップするだけ。タイトルはID3タグで表示。ちゃんと漢字で表示してくれております。

 バックライトは装備しておりますが、「ほんのりと光る」という程度で、街頭のほの明かりでは見づらく、視認性は少々悪いです。だた、部屋の電灯を落とした真っ暗な環境では、この光量でも視認性は十分。バックライト未装備の「SV-SD80」と比較すると、夜間の使用に関しては「Exrouge」の方が使いやすいです。

 本体の操作ボタンは、再生/一時停止ボタンと、+/-のスキップボタン、そして押し込みが可能なジョグダイヤル、というシンプルな構成。このシンプルさも「ポケベル」に通ずるところがあるかと。しかし、スキップボタンは大きくて押しやすく、ジョグの使い勝手も良好。デフォルトの設定ではスキップボタンで+/-のスキップ、ジョグの上下でボリュームの操作、押し込みで設定画面の呼び出し、という設定。

 PC側でキーの位置を変えて、例えばジョグでスキップ、という操作体系に変更することも可能だけれども、自分としてはデフォルトのままの方が使いやすかったです。スキップボタンは大きくて、押し間違えることもないし、ジョグでのボリュームコントロールも素早く、快適。

 設定は細かいところまで可能で、電源OFFまでの時間や、果ては曲間のブランクまで設定可能。それも「0秒」に設定することもできるのです。2チャプターで1曲のファイルを転送して試してみましたが、確かにブランクは感じませんでした。そのほかにもマニアックな設定項目が満載で、設定マニアの方は十分満足できるかと思います。ま、自分はデフォルトで使っていくと思いますが。

 しかし、音質については少々アレですかな? 「Masao Magic Technology」で「音質を落とさず再生時間を伸ばした」という割には少々物足りないかと。帯域はまあ、MP3の帯域をそれなりに、という感触なのですが、どうにも音が軽いのです。ドラムの音が特に弱いようなので、低音が不足気味なのかと。とはいえ、「めちゃくちゃ悪い」ということはなく、それぞれのパートはちゃんと聞き取れます。単に音が軽いだけ。

 それにしても驚いたのが再生時間。天皇誕生日を挟んだ3連休中ずっと使用していたけれども、電池1本で持ってしまいました。というか、電池はまだ半分は残ってるみたい。「連続再生19時間」はちょっと検証できませんでしたが、その言葉に偽りはないかと。電源が乾電池オンリーなのは弱点だと思っていたけれども、通勤/通学の電車で使うユースを考えれば電池1本で2週間程度は使えそう。ランニングコストも低いと思います。

転送ソフトの「HyperHyde Manager」 設定可能な項目はマニアック ID3タグのタイトル情報。漢字表示にもバッチリ対応


小型で高機能なプレーヤー。でもデザインは……

 何よりもID3タグの漢字表示に対応している点と、セキュア化していないMP3ファイルでも転送できる手軽さがありがたいです。「SV-SD80」に比べるとボディサイズは少々大きめとはいえ、十分にコンパクト。ポケベルのような形状や、情熱的なボディカラーの「赤」は好みの分かれるところではありますが、まあ、自分としては許せます。いや、かっこいいとは思いませんがね。

 なによりも連続再生時間が長いのがよろしい。単4型アルカリ電池は入手も容易だし、たった1本で19時間も連続再生が出来るので、ランニングコストもさほど気にはなりません。

 小型なサイズと、漢字表示対応の液晶(しかもバックライト装備)、そしてセキュア化の必要ない手軽さ。操作ボタンが少ないから誤操作もなし。設定もPCからマニアックに行なえるし、メディアは最近採用する機器の多いSDメモリカードとMMCに対応。他の機器とメディアを使いまわすこともできるわけです。それでいて、お値段はリーズナブルな15,800円。いや、これは安いと思いますよ、ホントのところ。

 ま、強いてひるむ点を挙げるとすれば、やはりデザインでしょうな。自分としては「問題ないじゃん?」と思えるのですが、使い勝手を考えるとネックストラップを使うのが最適でありまして、その際に「ポケベル」のような形状がネックになるのではないかと。まさかいまどきポケベル使ってる人はいないでしょうが、誤解の元になりかねませんからね。

 情熱的な赤も好みの分かれるところかと。製品情報のFAQでは「他の色の発売予定はない」とおります。以上、デザインさえお好みに合えば、非常に使えるプレーヤーだと思います。

□アイ・オーのホームページ
http://www.iodata.co.jp/
□製品情報
http://www.iodata.co.jp/products/sounds/2001/mdmh205/index.htm
□関連記事
【11月26日】アイ・オー、日本語表示対応の小型MP3プレーヤー
―MMC/SD対応、PCからの本体設定も可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011126/iodata.htm
【12月17日】アイ・オー、HyperHyde Exrougeの再生時間が19時間以上に
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011217/iodata3.htm

(2001年12月26日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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