2002 International CES会場レポート
~ CES会場で見かけたすごいもの、変わったもの ~


会期:1月8日~1月11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Las Vegas Hilton Hotel
   Alexis Park Hotel


■ Samsung:「世界一」揃いの製品群

 韓国総合家電メーカーのSamsungブースでは、「世界一」の称号を掲げた製品群をそこかしこに展示。2001年に行なわれたCOMDEX 2001の時と優るとも劣らず、非常にアグレッシブなブース展開をしていた。このパワーは、'70~'80年代のソニー、カシオなど、日本企業の急成長期に非常に似た雰囲気がある。

● 世界最小のminiDVカメラ

「SCD590」。体積は最小だが、最軽量というわけではないらしい

 Samsungが発表した、世界最小のminiDVカメラが「SCD590」だ。非常にデザインが洗練されており、某日本有名メーカーの製品とどこか似通ったデザインとなっている。また、メモリースティックスロットも標準実装しており、静止画が記録できる。

 価格は1,099ドルで、発売は4月を予定しているが、日本国内での発売は未定。また、メモリースティックスロットを省略した、「SCD530」もラインナップし、こちらの価格は999ドルになる予定。

【SCD530の主な仕様】

 なお、日本以外の総合家電メーカーで、メモリースティックを採用したのはSamsungが最初とのこと。ソニーの担当者は、「Samsungのブランド力は、海外では日本企業を凌ぐ部分もある。世界的にメモリースティックを広めていく上で、Samsungのメモリースティックグループへの参入は非常に歓迎できる」と話している。

 Sasmungは、2001年8月にソニーとメモリースティックで技術提携しており、今後のSamsung製品には積極的にメモリースティックが採用されていくものと予想される。

● 世界最大の液晶パネル搭載、ポータブルDVDプレーヤー

価格は999ドルを予定。10インチ液晶を実装して、この価格設定は非常に挑戦的と言える

 Samsungの「DVD-L100」は、ポータブルDVDプレーヤーとしては、世界最大の10インチワイド液晶パネルを搭載。パネル解像度は800×480ドット、アスペクト比は16:9になる。ポータブル機器で「世界最大」というキーワードが、果たしてウリ文句になるかどうかという点については議論の余地はあるが……。

 搭載液晶は視野角も広く、発色も美しい。日本製の競合機種と比べても遜色ない完成度だ。持ってみると、このタイプの機器としてはずしりと重いのがやや気にかかるが、S端子出力、バーチャルサラウンドヘッドフォン機能、光デジタル音声出力などの基本機能に不満はない。バッテリ駆動時間の公称値は3時間。

 このDVD-L100も非常にスマートなデザインが印象的だが、実際、CESのデザイン賞を受賞している。

 やはり、DVD-L100もメモリースティックスロットを搭載しており、液晶パネルにデジタルカメラで撮影したJPG画像のスライドショーが行なえる。また、ポータブルプレゼンテーション用途としても活用でき、同社では新たなユーザーを獲得できると、期待を寄せているようだ。

 担当者によれば「次期後継モデルでは、メモリースティックに格納されたMPEGムービーの再生にも対応する予定がある。しかしMPEG-1/2/4のいずれに対応するのかは、まだ公開できない」とのこと。

● 液晶とPDPの両方で、世界最大のディスプレイ

 COMDEX 2001や、LCD/PDPショーで公開された世界最大ディスプレイ製品、2機種がCESでも公開されていた。COMDEX 2001での展示は試作機という感じで、背面パネルに配線がはみ出ているようなものだったのだが、今回展示されていたものは全て量産試作品。実際の発売まで、秒読み体制となっているようだ。

発売時期は2002年内。価格は未定だが、同サイズのPDPよりも30%程度高くなる見込み

 右の写真は、世界最大サイズの40インチワイド液晶テレビ「LTM405W」。解像度は1,280×768ドット、以前公開された情報では、コンポーネント入力には対応していなかったのだが、今回HDコンポーネント入力にも対応する事が明らかにされている。対応ファーマットは1080i/720p。アナログRGB入力に対応しているのでPCモニタとしても利用できる。

 具体的なテレビ機能としては、以下のような機能がリストアップされている。

 バックライトのパワーが相当高いせいか、発色は自発光式の最新世代のPDPと同等に鮮烈。視野角も広く、まさに「液晶がPDPの領域に進出してきた」といった感じの製品に仕上がっていた。

写真左が50インチ。右が63インチの「HPL6315」。メートル法でいうと、対角1.6mにもなる

 一方、こちらも「世界最大」がキャッチコピーの「HPL6315」。これまで世界最大だった、NECの61インチPDPを、2インチ上回る63インチPDPを採用する。

 輝度は450cd/m2、コントラスト比は500:1、解像度は1,366×768ドット。テレビチューナ、スピーカーなどは付属しない純粋なディスプレイ製品としてリリースされる予定。奥行きは約9cmと薄いが、重さは約70kgとかなり重い。大型画面が喜ばれる北米市場では、少しでも画面サイズが大きい方が注目度も高い。

● 眼鏡無しの裸眼で立体視ができる3D-PDP

展示されていたのは50インチサイズの3D-PDP

 3D-PDPも展示されていたが、これもCOMDEX 2001で公開されたもの。コンシューマ向けに出すというよりは、これを使って何かをしたい企業にシステム売りをしていく製品のため、特に型番はない。

 この3D-PDPがユニークなのは、眼鏡などの小道具無しの裸眼状態で立体視が可能な点。裸眼立体視にはLenticulars法というのがあるが、このPDPはそれをより発展させたもの。

 8方向から捉えた映像をSWCF(Selective Wavelength Color Filter)により、1つのPDP画面に表示。左右の目で感じ取った視差により立体を実感するという仕組みになっている。


■ ケンウッド:400+3枚チェンジャー型DVDプレーヤー「DV-5900M」

 北米市場は、いわゆる「チェンジャもの」の人気が高いという特徴がある。そのニーズに応えるため、日本では「ありえない」ようなチェンジャ型製品が、日本メーカーから平然と発売されている。

 写真はケンウッドブースで見かけた400枚+3枚チェンジャ型DVDプレーヤー「DV-5900M」だ。信じられないかも知れないが、合計403枚のDVD-Video/Audioディスクを本体内に収納可能、しかも任意のディスクをワンタッチでメカ・ローディングシステムで再生できるようになっている。

展示されていたのは内部構造がみられるように、シースルーのデモ機だった これが内部。各ディスクは1枚あたり1°以下(360°÷400枚=0.9°/枚)の角度で円状に高密度収納されていることになる

 「400+3」という書き方をしているのにはわけがある。DV-5900Mはチェンジャ機能としては、400枚対応なのだが、その他にエキストラスロットとして3枚のDVDディスクが収納可能なトレイが実装されているのだ。3枚トレイの方は「レンタルゾーン」と名付けられており、400枚チェンジャのメカを一切動かさずに直接ディスクの出し入れが出来るようになっている。その名の通り、借りたディスクをすぐに取り出せるようにと配慮した特殊機能だ。

 また、チェンジャ機能ばかりに目を奪われがちだが、DVDプレーヤーとしての基本機能にもこだわった製品となっている。ファロージャのプログレッシブスキャン回路「DCDi」を搭載、24ビット/192kHzのDAC搭載で、DVD-Audioにもフルスペック対応している。

 既に北米で2001年秋より発売を開始しており、価格は400~500ドルとのこと。日本国内での発売は未定。


■ 各社60インチサイズを最上位モデルに据えてきたPDP製品

 現時点ではSamsungに2インチの差を付けられてしまったが、2001年6月に「世界最大サイズPDP」として先行してセンセーショナルにデビューを果たしたのがNEC製61インチPDP。このNECのPDPが、今回のCESでかなり多数のAV機器メーカーにOEM採用されていることが明らかになった。

 自社でPDPを製造していないメーカーはもちろんのこと、独自方式のPDPを製造しているパイオニア、富士通までもが、最大画面サイズモデルのPDP製品にはNEC製を採用していたのが興味深かった。

PIONEER ELITEブランドの61インチPDP。これも自社製ではなくNEC製PDPを採用した製品 富士通製「PDS-6101」。同社はFHPというPDP製造専門のグループ会社がありながら最大サイズモデルはNEC製PDPを採用している Zenith('95年にLG電子傘下となった米国企業)のフラグシップモデル60インチPDP「P60W26」は、LG電子製PDPを採用。コントラスト比330:1、最大輝度250cd/m2、解像度1,280×720ドット。価格は20,000ドル、発売は4月を予定


■ TEACのクラシックシリーズ「Nostalgia」がフルモデルチェンジ

「北米市場と日本市場では人気があるのだが、意外にもヨーロッパ市場には受けない」という声も聞かれた。次期モデルにはMP3再生にも対応してほしいところ

 クラシックなデザインが人気を呼んでいるTEAC製AM/FMチューナ付きCDプレーヤー「ノスタルジア」シリーズが、今年6月にもモデルチェンジを行なうと発表された。

 新モデル「SL-D90」はめざまし時計機能、FM/AMラジオチューナ、CDプレーヤー機能などの基本機能はそのまま継承し、デザインを一新。サブウーファを内蔵して音質を向上させ、リモコンが付属する点が新フィーチャーとなっている。

 価格は現行モデルが北米で149ドルで販売されているのに対し、SL-D90はやや高くなり199ドルを予定している。同時期に日本国内での販売ももちろん予定されている。

□関連記事
【2001年8月8日】ティアック、オールディーズ風デザインのCDラジオ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010808/teac.htm


■ フェーズ3に突入した? 「SACD」

フィリップス・オーディオ・ビジネス・グループ社長GUY DEMUYNCK氏

 また、1月8日(現地時間)には、スーパーオーディオCD(SACD)カンファレンスが行なわれた。その中でフィリップス・オーディオ・ビジネス・グループ社長GUY DEMUYNCK氏は、「SACDはこれからPHASE3の普及期に突入する」と力説した。

 同氏はSACD登場期をPHASE1とし、これはハイエンドのものだったと説明。DVDプレーヤーの一部機種に対応機が現れるなど、普及に向けての経過点だったといえるこれまでをPAHSE2とした。低価格モデルも続々登場し、ソフトウェアベンダの積極的な参加もある今年から先を、普及期のPHASE3と位置付けた。

 SACDは、現在600タイトルがEMI、SONY MUSIC、Virgin Recordsがリリースされており、Universal Musicが今年春にSACDへの参入すると発表している。

 同氏は「これから発売されるSACDのタイトルのうち75%はマルチチャンネル録音されたものになる」と述べ、DVD-Audioを少なからず意識した今後の方針を語った。

発表会場内は全600タイトルのSACDが大集合 国内メーカーの10万円以下のSACDプレーヤーも増えてきているが、一般ユーザーの注目度はまだまだ低い 既存のDVDプレーヤーで再生可能な独自路線のフォーマット「DTS DVD-Audio」を展開するdtsブースは、AlexisPark会場の展示群の中では人気ブースの1つだった。会場内では「DTS DVD-Audio」の特売が行なわれており、購入者にはDTS 96/24フォーマットのデモディスクが配布された

□2002 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/

(2002年1月15日)

[Reported by トライゼット西川善司]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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