第59回 魁!藤原流アイテム道
 

気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第59回:「WinDVR PCI」にADAMS-EPGとリモコンが欲しい!
キャプチャカードアップグレードキット「mAgic TV/RC」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

2製品のキャプチャカード、どちらも不満

 PCでの録画ってのは便利なモンです。最近は「HDDレコーダー」なるものがかなり評判を呼んでいるらしいですが、単体デッキタイプのものは、購入するにはまだまだ抵抗のある価格。しかも、よくよく調べてみると、録画予約機能はGコードだったりするわけで。

 HDDレコーディングの利点といえば、タイムシフト再生などが挙げられますが、自分の場合、「番組をリアルタイムで見たい」という願望はあまり強くないので、この機能は正直どうでもよろしいのです。

 しかし、HDDレコーディングの利点はそれだけではございません。単体レコーダにはほとんど搭載されておりませんが、自分が一番便利だと感じたのはEPG予約機能。やはり、番組表を確認して、すぐさま録画予約を行なえる利便性は高いです。

 EPGサービスはインターネット環境さえあれば、ほとんどが無料で利用可能。うむ、素晴らしい。が、このEPG予約機能も現在模索段階なのか、各種のサービスが実施されてます。中でも一番使い勝手が良いと感じるのが「ADAMS-EPG+」サービス。これはテレビ朝日データが提供するサービスで、テレビ朝日系列の放送と同時にEPGデータを配信する「ADAMS-EPG」データをインターネット上でもダウンロードできるというもの。

 ほかのEPGサービスとの違いは、番組情報を一括でダウンロードできること。iEPGなどでは、番組表が3時間程度に区切られてWebで公開しているため、目的のページにたどり着くのに時間がかかるのがなんとも。ブロードバンドが普及して、我が家にもADSL回線が引かれておりますが、ほとんどのEPGサイトでは、サーバーのレスポンスが遅め。待たずに番組情報を参照できるメリットは大きいのです。

 が、しかし。この「ADAMS-EPG+」サービス、サポートしている機器が少なめなのが難点。現在、我が家にあるキャプチャカードで、サポートしているのはNEC「SmartVision Pro 3」だけ。もう1枚のカノープス「WinDVR PCI New Edition」はサポートしていないのであります。

 「SmartVision Pro 3」は、リモコンも標準装備するなど、なかなかいい機器ではあるものの、ソフトの起動/モード切り替え時間が長いのが難点。対して、「WinDVR PCI New Edition」はレスポンスは比較的良好。しかし、リモコン増設不可で、「ADAMS-EPG」はノンサポート。うーむ、発売当初は「ADAMS-EPG」に対応予定ということだったのだけどなぁ。

 つまり、手持ちの「WinDVR PCI New Edition」を、リモコン/ADAMS-EPG+対応にできればかなり便利かと思われるのです。そこに気になる製品が現われました。それがアイ・オー・データの「mAgic TV/RC」でございます。


アップグレードってどうすんの?

 この「mAgic TV/RC」、簡単に説明すれば、テレビ視聴/録画ソフトとリモコンをセットしたキャプチャカード用アップグレードキット。ソフトの対応OSはWindows 98 SE/Me/2000/XPで、キャプチャカードはアイ・オー製品のみならず、他社製キャプチャカードにも対応してます。詳しくはアイ・オーの製品情報をご参照いただくとして、「WinDVR PCI New Edition」も、当然対応しています。

 で、素晴らしいのは各種のサービスに対応していること。EPGサービスは、iEPGサイト「On TV Jpan」に対応するほか、「ADAMS-EPG」、「ADAMS-EPS+」にも対応。ほかにも、「SmartVision Pro 3」と同じく、データ放送サービス「bitcast」ブラウザもアリ。さらに、外出先から録画予約が可能な「reserMail」にも対応しております。うむ、機能満載。隙が見当たりませぬ。

 で、そこに赤外線リモコン/USB接続の受光部も装備。ふむ、リモコンもなくて「ADAMS-EPG+」にも対応していない「WinDVR PCI New Edition」には最適ではありませんか? これは買うしかないでしょう。

 ……しかし、どこに行っても製品は見当たらず。何店ハシゴしても「ありませんねぇ」とのご返答。その後も機会があるたびに探し求めましたが、やはりどこにも見当たらず、あきらめかけていたのですが、「ビデオキャプチャ専門店」と謳うある店舗に行くと、なんか普通に置いてあるし。……前に来た時はなかったような気がするんスけど。初期出荷量が少なくて、最近また少量出荷されたのかな?

 まあ、それはそれとして、お値段の確認をば。標準価格は9,800円ですが、こちらでの販売価格は8,799円。ふむ、約1割引きってとこですか。値引き率はぼちぼちだけど、リモコン/ADAMS-EPGの利便性を考えればそれほど高くはないよな。では、ご購入っと。

 ということで、中身の確認を。同梱品は、CD-ROM×1枚、リモコン、USB接続受光部、以上。あとは100ページ程度のマニュアルが2冊。うーん、シンプル。ま、ソフトにリモコンをつけた、というコンセプトの製品ですからなぁ。シンプルなのは仕方ないですな。

 リモコンの形状は、見たところ同社のキャプチャカード「GV-BCTV5/PCI」と同一の模様。ふむ、テレビ視聴/録画ソフトも同じく「mAgicTV」となってますので、このカードからリモコンキット、テレビ視聴/録画ソフトを各キャプチャカードに対応させた、というコンセプトの製品の模様。

 「GV-BCTV5/PCI」の標準価格は19,800円。ソフトの機能、リモコンは同等と思われますし、キャプチャカードの価格も1万円を切るものは稀なので、これからキャプチャカードの導入を考えている方は、こちらを選択するのが上策かと。しかし、すでにキャプチャカードを持ってる方は話は別。ただ、対応カードは低価格帯が中心。人気のある「MTV1000/2000」には対応しておりません。ま、自分にゃ関係ないけどさ。

同梱品一覧。なんともシンプル パッケージ。新に対応したカードを知らせるシールもあり、2期目以降の出荷品と思われる


テレビ視聴の使い勝手の程は?

 ということで、インストールをば。キャプチャカードのドライバは「mAgic TV/RC」側で用意されているので、ドライバもデバイスマネージャから導入。というか、元のドライバは干渉するため、必ず「mAgic TV/RC」に更新する必要があるそうです。ということは、これまでのソフトとの共存は不可能ってことか。共存を考えている方はご注意を。

 ソフト、ドライバの導入が終了したところで、「mAgic TV/RC」の発売後に公開されたアップデータを適用して導入終了。それでは、改めてソフトの確認をしますかね。

 収録されているソフトは、テレビ視聴/録画ソフト「mAgic TV」、HTMLデータ放送のADAMS-P(ややこしいですが、ADAMS-EPGとは別)を再生するための「ADAMSステーション」、ADAMS-EPG情報ブラウザ「mAgicガイド」、予約録画の管理などを行なう「mAgicマネージャ」、データ放送のブラウザ「bitcast browser ver.3.0」、外出先からの録画予約ソフト「reserMail」、そしてDVDオーサリングソフト「DVDit! LE」もアリ。かなり豪華な内容です。

 まずは「mAgic TV」を起動。起動時間は約5秒といったところで、約30秒かかっていた「SmartVision」よりもかなり短縮されてます。おお、これだけでもかなりの収穫ですよ。

 で、起動した画面はというと、左上にテレビ画面、右側に現在放送中の番組の情報を流すウィンドウ、そして下部にはスライダ、再生/停止などの基本操作ボタンを配したレイアウト。ダブルクリックで簡単に全画面表示に切り替えることも可能ですが、リアルタイムで番組情報を確認できるメリットは大きく、視聴中の番組がつまらない時に、別の番組を探すザッピングには便利でした。

 では、とりあえずタイムシフト再生を試してみますかね。タイムシフト機能は、録画中でも再生が可能な「スタートスリップ」、リアルタイム視聴中に一時停止した後も、続けて再生できる「スチルトリップ」、スライダを使ってタイムシフト中の番組の任意の場所に移動できる「フリースリップ」がございます。

 タイムシフト再生は確かに便利です。便利なんですが、やっぱり動作の重さが気にかかる。我が家のマシンはCeleron 800MHz、メモリ384MBという構成なんですが、この環境ではちょっと無理がある模様。しかし、タイムシフトを行なわない「ライブモード」も用意されているので、通常の視聴には問題ありません。

 録画画質は、デフォルトで高画質(HarlfD1、320×240ドット)/標準画質(SIF、320×240ドット)/長時間(SIF、320×240ドット)の3モードから選択可能。ビットレートはそれぞれ4/2/1.5Mbps。別アプリの「環境設定」で、解像度、ビットレートなどを変更することもできます。最高で解像度Full D1(720×480ドット)、ビットレート5Mbpsまで設定可能。

 「何が何でも高画質録画」という方には向きませんが、我が家の非力なマシンだと、デフォルト設定で快適な動作が得られてなかなかの好印象。ま、多少解像度は気になりますがね。「気になる番組を気軽に録画して、ちょっと確認してすぐに消去」という使い方には良いと思います。高画質録画もサポートしつつ、操作面の快適さを狙ったソフトなんでしょうな。

 録画形式はMPEG-2を元にした(と思われる)独自形式で、MPEG-2にするには変換する必要があります。面白いのが、出力時にCD-R/RWへライティングする機能が付いていること。CDライティングソフト「B's recorderGOLD Ver1.83」以降がインストールされている必要があるものの、保存には便利な機能でしょう。

 ただ、CD-R/RWへはMPEG-2を出力するだけで、ビデオCD/SVCD形式などで自動で書き込んでくれる機能はなし。しかも、HarlfD1、4Mbps映像で保存できる時間は約20分。650MB以上のデータは自動で切られてしまうので、80分メディアでも延長不可能。うーむ、微妙な収録時間だ……。

 そして、リモコンの使い勝手も上々。「SmartVision Pro 3」のものと比べると、カーソルが無いため、多少劣るとは思いますが、10キーを装備してダイレクトに選局できるし、音量の調節や再生/停止などの基本操作も(多少のタイムラグを感じながらも)快適。うん、これまでの「マウスを握って、画面の操作ボタンを確認する」というステップが無くなった分、かなり快適に操作できると思います。

「mAgic TV」基本画面。番組情報が参照できてザッピングに便利 環境設定。録画解像度やビットレート、色味の調節などが可能 プロパティ。マウスホイールでの操作なども設定できる


ADAMS-EPGの録画予約はやはり快適

 では、録画予約関連について見てみましょう。ますはADAMS-EPG関連から。ADAMS-EPGデータの取得は「mAgicマネージャ」、「mAgicガイド」から行ないます。

 「mAgicマネージャ」は録画予約の管理、時刻の自動調節などの機能のほかに、テレビ放送で流れるADAMS-EPGの取得時間と、インターネット上で配信されるADAMS-EPG+の取得時間の設定が可能。ここで設定しておけば、その時間に自動的にデータを取得してくれるわけです。

 ちなみに、ADAMS-EPG+データのダウンロードは専用ソフトが必要。Webブラウザからはダウンロードできません。番組情報の取得はADSL回線でも結構時間がかかるので、自動ダウンロードを設定しておいた方が吉。

 そして、EPGデータの参照は、「mAgicガイド」の役割。すでにデータがダウンロードされているため、番組情報はストレスなく参照できて快適。ツリー表示で番組のジャンルごとに表示して、キーワード検索もできるので、目的の番組を探すのも非常にラクです。で、録画予約はダブルクリック。すると予約ウィザードが表われて、画質、録画時間などの確認後に録画予約終了。簡単です。しかも、取得したデータをもとに番組名/番組情報をあらかじめ設定してくれます。番組の管理も大変便利。いや、いいわ。

 あとは、「reserMail」ですか。こちらは常駐型のソフトで、EPGサイト「iTV」から録画予約を行なうと、サーバーに予約情報が登録され、自宅PCに常駐している「reserMail」がサーバーをチェックして、番組予約を行なうという仕組み。

 ただ、この「reserMail」、動作が不安定で、他のアプリケーションと併用しながらの使用はちょっと信頼性に欠けるかも。外出する前に起動、家に戻ったら落とす、という使い方をすれば何とかなりそうですが、いざというときに起動し忘れそうだしなー。多少不安は残りますが、いざというときの備えにはよろしいかと。

 やはり、EPGサービスは今のところADAMS-EPG+が最高ですな。ダウンロードした情報をストレス無く参照できる快適さに勝るものはありません。

「mAgicガイド」。番組表は新聞のテレビ欄程度の番組情報が得られる 「mAgicガイド」の番組検索機能。ジャンルのほか、人物名、フリーワード検索も可能 予約したい番組をダブルクリックすると「予約マネージャ」が起動

「reserMail」。システム常駐して外部からの録画予約が可能 「mAgicマネージャ」。録画予約の管理のほか、ADAMS-EPG情報取得のマネジメントを行なう


手持ちのキャプチャカードに満足できないなら

 「SmartVision Pro 3」の「ADAMS-EPG+」サービスの利便性と、「WinDVR PCI New Edition」のフットワークの軽さを一度に味わえました。いいシステムだと思います。

 視聴ソフトの基本画面も、右側に番組情報を表示して、ザッピングには非常に便利。我が家では重くていまいち使えなかったタイムシフト機能も、パワーのある環境であれば使いでがあるのでは。

 そして、ADAMS-EPG予約の快適さと、リモコンの操作性の高さを一度に味わえたのが何よりの収穫。キャプチャカードで録画した映像って、大抵は1回しか見ないものだから、多少録画解像度が荒かろうが、あまり関係ないんじゃないかな~。

 「気楽な録画、視聴に使って、録画した番組を保存するつもりはあまりない」という方で、手持ちのキャプチャカードに満足していない方であれば、機能も大充実、リモコンも付いてくるこのキット、かなりお薦めだと思います。

□アイ・オーのホームページ
http://www.iodata.co.jp/
□製品情報
http://www.iodata.jp/products/video/2002/magictv-rc.htm
□関連記事
【2月18日】アイ・オー、TVキャプチャカードをリモコン対応にする強化セット
―ADAMS-EPG+(PLUS)や、遠隔予約録画もサポート
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020218/iodata.htm
【4月8日】アイ・オー、TVキャプチャカード「GV-BCTV5/PCI」をアップデート
─リモコンキット「mAgicTV/RC」もバージョンアップ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020408/iodata.htm

(2002年4月25日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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