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第35回:大ヒットお化けソフト、早くもパッケージ化
「ハリー・ポッターと賢者の石 特別編」

 怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 記録的ヒット作が2枚組み2,980円で登場

ハリー・ポッターと賢者の石 特別編
価格:2,980円
発売日:2002年5月15日
品番:DL-22659
仕様:片面2層(本編)+片面1層(特典)
収録時間:約152分(本編)
      約26分(特典)
画面サイズ:16:9シネマスコープサイズ(スクイーズ)
音声:英語(ドルビーデジタルEX)
    日本語(ドルビーデジタルEX)
発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ

 今回のテーマは、5月15日発売の「ハリー・ポッターと賢者の石 特別編」。2001年12月1日公開のいわずと知れたお化けヒット作だ。

 ざっと数字を並べて見ると、ウィークエンド2日間で「スターウォーズ エピソード I」を超える15億7,334万円の興収を達成、いきなり歴代1位に踊り出ている。その後9日間で44億5,800万円を突破。「千と千尋の神隠し」を上回る記録を打ち立てた。2月3日時点での数字は、動員人数1,438万人、興収179億円という(公式サイトより)。

 周知の通り、この人気のベースには世界200カ国で販売されているという原作小説の力が大きい。「本離れ」が叫ばれる日本でも、1,000万部を超える大ヒットとなった。ディーテルの細かい独自の世界観や、誰もが共感を覚える登場キャラクターに魅力を感じ、ハマってしまった人も多いだろう。グッズ、ゲームなどへの展開も広く知られるところだ。

 さて、DVD版は2枚組み2,980円で販売。ワーナーとしては「A.I.」に続く大作の廉価商品だ。また、通常版以外にも限定BOXがいくつか出回っている。これらは3Dカードやミニチュア帽子、ストラップなどのおまけが封入された製品で、ファンのこころをくすぐるパッケージとなっている。詳細はこちらに掲載しているので参照していただきたい。なお、DVDビデオそのものは、通常版、限定BOXともに内容は同じだ。

 今回は2,980円の通常版を購入した。実は、発売日(5月15日)の前日に所用で東京・品川へ行ったところ、新星堂が駅の出口で出張販売をしていたのだ。こうしたケースは珍しい。しかも「5日間限定2,680円」とのこと。これもソフト販売では珍しいケースだ。どのみち買うつもりだったので即購入した。



■ 収録時間のせいか画質はいまひとつ

 ストーリーについては、ここで触れるまでもないだろう。公式サイトなどで確認して欲しい。

 本編ディスクで気になるのは画質だ。輪郭のくずれや暗部のノイズが頻繁に目に付いた。髪の毛や眼鏡のフレームには擬似輪郭が浮かんでいる。平均ビットレートは6.13Mbps。最近のハイビットディスクに比べると低めだが、片面2層1枚に152分を収録しているので仕方のないところだろう。

 また、ろうそく照明が多い舞台設定を再現するためだろう、全体的に色温度の低いシーンが多く、暗いシーンも頻繁に出現する。低コントラスト時でも暗部階調をしっかりだせる表示装置が欲しいところだ。きっちり映すのが意外に難しいソフトである。

 実は今回、MPEG-2のノイズよりも視覚効果の安っぽさが気になった。視覚効果にについては公開以来、そのできの悪さに対して指摘が多い。こうやって自宅でゆったりと鑑賞すると、余計にアラが目立った。「スターウォーズ エピソード I」のように一部をやり直せとはいわないものの、DVDビデオとして販売する前に多少の修正をして欲しかった気もする。

Bit Rate Viewerで見た本編のビットレート

 音声は英語、日本語ともにドルビーデジタルEXで収録。サラウンドの見せ場は、やはりクィディッチのシーンだろう。前から後ろへ、後ろから前へと、選手やブラッジャーが高速で周りを飛び交う状況が再現されている。

 また、この作品の場合、子供と一緒に家族で観ることも多いだろうから、吹き替えの日本語音声にもドルビーデジタルEXを適用したのは正解だろう。一部を日本語音声でも視聴してみたが、個人的には違和感なく楽しめた。


■ 子供向けの見た目ながらマニアックな特典

 Disc 2は特典ディスクだが、これが一風変わっている。「ダイゴン横丁」、「校庭」、「組み分け帽子」など、作品の舞台を名前にしたコンテンツが用意されている。それぞれがインタラクティブなゲーム形式をとっており、作品世界についてより深い知識を得られる仕組みだ。なお、解説のベースが映画ではなく、小説になっているのがちょっとマニアック。小説を手元に置いて楽しめば、入り込めること間違いなしだ。

 特典ディスク中、興味深いのが「ホグワーツ・ツアー」というコンテンツ。映画に出てきたホグワーツの一部を3D化したもので、登場人物の視点で雰囲気を疑似体験できるというもの。制作には360度全方向のパノラマ映像を実現するiPIXを使用している。ツアーにでてくるのは大広間、グリフィンドールの談話室、ハグリッドの小屋など。

 こう書くと、DOOMのような3Dアクションの操作性を思い浮かべる方が多いかもしれない。実際は立ち位置を移動できず、所々でぐるりと周りを見渡すだけだ。しかし、これが結構楽しかった。ホグワーツの主要な部分をじっくり確認できるという意味でも、ファンには楽しいコンテンツとなるに違いない。

 なお、良くある「メイキング映像」はない。あるのはデイビッド・ヘイマン(製作)、クリス・コロンバス(監督)、スティーブ・クローブス(脚本)へのインタビューだけ。次回作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」にかける意気込みなどが語られている。これはこれで興味深い内容だが、やはり800以上あるという特殊効果の解説や子役三人の撮影中の姿など、ありがちなメイキング映像も見て見たかった気がする。

 また、DVD-ROMコンテンツも収録されており、ワーナーのディスクではおなじみの「インターアクチュアルプレーヤー 2.0」をインストールして閲覧する。内容はスクリーンセーバーやゲームの体験デモ版など。指定した時間になると予定を表示する「思い出し玉」というソフトもインストールできる。


■ ファン必携のソフト 未公開シーンもあり

 漠然と並んでいるように見える各コンテンツだが、実は微妙に連携しており、最後のコンテンツ「未公開シーン」へとたどり着くための情報が各所に隠されている。未公開シーンを見るには「賢者の石」を手に入れる必要があり、そこへたどり着くには作品世界の知識がかなり必要になる。

 こうしたクイズ形式のコンテンツは最近良く見かけるが、この作品の場合は映画からの出題ではなく、小説からの問題が多いのが特徴。全世界1億2,000万部のベストセラーが元になっているだけのことはある。手元に小説を置いてないとわからない場面が随所に出てくるので、ファンの腕試しとしてはかなり楽しめると思う。もっとも、DVD発売にあたって制作された専用サイトに、ヒントが掲載されている。自信がなければ、そちらを参照するのも1つの方法だろう。

 最終的には「魔法の授業」というコンテンツの1つ「魔法薬学」のクイズをクリアし、小説と同じように「鍵を捕まえる」、「正しい瓶を見つける」という2つの行為をクリアすることで、めでたく未公開シーンが拝める。また、ある方法で出現する「3階の廊下」からもたどり着けるのだが、ここでは伏せておこう。

 苦労して見ることのできる未公開シーンには、映画版で省略されたエピソードが収められている。例えば、ダイアゴン横丁へ行くまでの地下鉄の中で、ハリーとハグリッドが買い物について話し合う場面など。また、小説版と映画版では、主役3人が「ニコラス・フラメル」の名前に行き当たるまでの経緯が大きく違う。しかし、未公開シーンには小説版に忠実なシーケンスが入っているのだ。こうしたエピソードが7つも入っている。

 この「ハリー・ポッターと賢者の石 特別編」だが、本編の画質に若干の不満が残るものの、小説のファンなら特典に夢中になること間違いなしである。かくいう私も、最初は子供向けだと馬鹿にしていたものの、結局一晩通して遊んでしまった。価格も安いことだし、ファンなら小説とともに愛蔵したいアイテムといえる。

 なお、ワーナー・ホーム・ビデオでは、次回作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」に出演するエキストラ1名を、オンラインゲーム「フクロウを捕まえろ!」を通じて募集している。ゲームは、毎日5問ずつ出題されるハリー・ポッターに関する問題に答えるというもの。正解数をもとにグランプリ1名、特賞10名を決定する。出題期間は日本時間の5月9日から5月26日午前4時まで。

 グランプリは「秘密の部屋」への端役出演と映画セットへ6泊7日の旅がプレゼントされる。また、特賞10名には、「秘密の部屋」の初公開を見るための6泊7日の旅が当たる。なお、ゲームは日本語でもプレイできる。

Design & Summary (C)2002 Warner Home Video,an AOL Time Warner Company.Artwork & Photography (C)2001 Warner Bros.Harry Potter Publishing Rights (C)J.K.Rowling.HARRY POTTER,characters,names and related indicia are trademarks of and (C)Warner Bros.

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□ワーナー・ホームビデオのホームページ
http://www.warnervideo.co.jp/
□製品情報
http://www.warnervideo.co.jp/newdvd/0205/DL-22659.html
□劇場版公式サイト
http://harrypotter.jp.warnerbros.com/home.html
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―通常版は2枚組み2,980円、9,800円の本型BOXも予約開始
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020314/warner.htm

(2002年5月17日)

[orimoto@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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