気になるグッズを衝動買い |
第80回:低価格でも結構高画質なテレビキャプチャカード AOpen「Video Station VA1000 MAX」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■Philips製ビデオチップがめずらしい
以前、テレビキャプチャカードを取り上げた際、読者の方からとあるカードをレビューして欲しいとのご要望がありました。それがAOpenの「Video Station VA1000 MAX」であります。
AOpenといえばマザーボードなど、PC関連製品の大手企業でありますが、オプション製品の1つとしてテレビキャプチャカードも扱ってます。で、この製品の最大の特徴は、この、ビデオチップはあまりおなじみでないPhilips製の「SAA7130」を搭載していること。低価格帯の製品に搭載されるビデオチップはConexant製「BT878」がほとんどで、これ以外のビデオチップが搭載されることはめずらしいのであります。
で、その特徴はというと、映像を9bitで処理すること。「BT878」は8bitとのことで、よりよい発色が得られるのだとか。さらに、独自の信号入力部へのノイズを大幅に軽減するという独自回路「V.R.M.(Voltage Regulator Module)」も搭載。うーん、「BT878」採用カードの画質もそれほど悪いとは思わないんだけど、これはこれで期待できそう。ま、試してみるまではわかりませんが。
しかし、情報を提供されてからしばらく探し回ってみたところ、店頭にあるのは下位モデルの「VA1000 plus」まで。ビデオチップは「BT878」ということで、これを購入しても意味はないと思ってしばらく過ごしておりました。が、先週になって秋葉原のショップに新製品として入荷されているという情報が。おお、これは購入せねばなりませんて。
ということで、やってきました秋葉原。何店か回ってみると、何店舗かで入荷を確認。最も安いところでの価格は12,680円でした。おお、最近テレビキャプチャカードって安くなってきたけど、それでも1万円を割るものは少数派。13,000円前後の価格帯で入手できる製品に採用されているビデオチップは大抵「BT878」なことを思うと、より高画質な画質が得られるなら結構なお値打ちだと思います。
パッケージで内容を確認してみると、リモコンも同梱し、EPGサービスはADAMS-EPGに対応。うーん、自分の求めるものにかなり近いと思います。
■同梱品は標準的。でもソフトは豊富
ということで、買ってきました。同梱品はカード本体以外には、Low Profile用ブラケット×1、ステレオミニケーブル×1、ステレオミニ延長ケーブル×1、コンポジット→S変換ケーブル×1、リモコン×1、リモコン受光部×1、単4型乾電池×2本、ソフト類を収めたCD-ROM×4枚という構成。
同梱ブラケットからもわかるとおり、カードはLow Plofile対応。で、搭載チューナはおなじみのPhilips製。そして、ビデオチップはあまりおなじみでないPhilips製の「SAA7130」。入出力端子は、アンテナ入力のほか、S映像/コポジット兼用入力×1、ステレオミニ音声入力×1、サウンドカード用音声出力×1、リモコン受光部接続端子×1を搭載してます。ま、ソフトウェアエンコードの低価格カードとしては標準的な構成かと。
で、ソフトの方もかなり豪華。まず、視聴/録画ソフトは「bitcast.TV」を同梱。うーん、これは今回初めて触るソフトですなー。データ放送のブラウザ「bitcast browser」と同じところが制作したソフトらしいですが、使い勝手はどんなモンでしょう。
そして、録画したPC以外の別PCでもテレビ映像を視聴できる「ドコデモTV」というサーバーソフト、外部からの録画予約が可能な「riserMail」も付属。んー、「riserMail」はこれまでに試して来て、結構便利だと思ってたけど、「ドコデモTV」は初耳ですな。とりあえず、どんなものか楽しみ。
そのほかにもおなじみの映像編集ソフト、ユーリード「VideoStudio 6.0 SE」と、画像編集ソフト「PhotoExpress4.0 MCE」も付属。うーん、この価格でこれだけのソフトが付いているのはなかなか凄いかと。
同梱品一覧。この価格帯としては標準的な構成 | カード本体。チューナはPhilips製 | チップのアップ。Philips製の「SAA7130」 |
ブラケットの入出力端子部。外部入力はS映像/コンポジット兼用とステレオミニの1系統 | リモコン受光部。受光範囲は±60度程度と結構広め | リモコン。まあ、普通に使いやすいけど録画/視聴ソフトの起動はできませんでした |
■気になる画質、使い勝手は?
さて、期待の画質はというと、うん、かなりいいですよ。白とびが気になりがちな「BT878」よりも押さえ気味だし、何よりも発色がより自然。全体的な印象では、「BT878」がソフトであったことに対して、白の発色が押さえられたことで締まりが出た上に、階調もより自然に、という感じ。ただ、白の発色の強烈さがない分、モニタで見ると暗く見えがち、というのが気になりました。が、使っているうちに目が慣れるでしょう。
あとは、チューナの感度に影響されるところが大きいかな。独自の高画質化機能「VRM」によるチューニングノイズの低減効果はほとんど感じられず、逆に強調している感じ。受信状態の良い局ではノイズはほどんど感じられず、すっきりと安定してる感じですけどね。受信状態の悪い方は要注意ということで。
録画画質は、高画質、標準画質、長時間の3種類から選択可能。デフォルトの設定では高画質、標準画質はMPEG-2での録画になりますが、長時間録画はWMVで録画されます。ほう、WMVで録画できるというのもめずらしい。で、録画可能解像度は640×480ドット、320×240ドット、160×120ドットの3種類のみ。残念ながら720×480ドット(Full D1)には対応してません。画質の選択肢は、他製品と比べるとちょっと狭いですが、まあ、妥当なところかと。
対して、ビットレートは数値入力による設定で、192kbps~10Mbpsまでの間で任意に調節できます。録画方式も、MPEG-2、AVI、WMAから選択OK。解像度の不自由さを除けば、かなり自由な設定が可能と見てよろしいと思います。
全体的な使い勝手としては、「いろんな機能を出来る限り盛り込みました」、といったところでしょうか。メイン画面の上部には、モード切替ボタンが配置され、そこで各機能を切り替えるという構成。
特に便利だと感じたのがEPG予約機能。これまでのADAMS-EPGサービス対応ソフトだと、録画/視聴ソフトとは別にスケジュール管理ソフトが必要だったのですが、「BitcastTV」はEPG予約機能も内蔵。タブを切り替えるだけで番組表に切り替え可能。なんと便利な。
ソフトの起動のタイムラグでいらいらすることもないし、番組を視聴しながら他の番組の内容をチェックするのも簡単。予約画面でも視聴中の画面が表示されるので、ザッピング視聴したいときにはかなり便利。ただし、画面構成が少々使いづらく、上半分を録画予約情報の表示に使用しているため、番組表がウィンドウの下半分にしか表示されないのです。故に、一度に確認できる時間帯は2時間程度。一覧性が犠牲になってるのが残念。とはいえ、これまで使用した中では一番便利。
また、文字放送などデータ放送もこのソフト内で楽しめるのも新しいところ。これまではほとんど使ってなかった「Bitcast Browser」の機能を取り込んでいるため、ほぼシームレスに各種サービスを楽しめるのが新鮮。改めて、文字放送がかなり豊富なことを知って結構びっくりしました。
「TV」選択時のメイン画面。モードの切り替えは上部のボタンで | EPG予約を行なう「番組表」。画面構成は予約情報がメインとなっているので、少々見にくい | 文字放送などを視聴する「データ放送」。単体で視聴できるアプリ「もじぞう」もある |
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再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載した画像の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい。 |
■「ドコデモTV」はどうよ?
さて、気になっていた「ドコデモTV」でございますが、より的確に表現するとリモートテレビ視聴ソフトですな。目的とするのは、テレビキャプチャカード搭載PCのチューナを、ネットーワークを介して他のパソコンから利用する、という感覚。
リモート側にはクライアントソフトを導入する必要がありますが、これは「ドコデモTV」のサイトから無償でダウンロード可能。製品に付属のサーバーソフトはエンコードも行ない、ビットレートは512kbps、解像度は320×240ドットまで対応。サーバーソフトはチューナの映像をエンコードして、リモート側はデコードして映像を見る、という構成。
ただ、ビットレートがこのレベルで、しかも「bitcast.TV」起動時は利用不可。リモート側からビットレートやチャンネルの変更ができるのはいいんですが、変更のたびにバッファに10秒程度の時間がかかるので、ザッピング的な視聴は厳しいっすね。んー、もっと回線が太くなれば使いやすくなるかも知れないけど。
それにしても、我が家のマシンではかなり処理が重い……。Celeron 800MHz、メモリ384MBという構成では録画された映像は高画質だとカクカク。WMVの長時間録画でもつらい。正直使い物にならんです。とパッケージの推奨環境を確認してみると、録画、タイムシフト再生時で「Pentium III 1.2GHz以上」とありました。んー、我が家の環境ではダメっぽいですな。
メーカー側も現在販売されているPCの中で、ロースペックを見込んで開発した製品なんだと思いますが、静穏性の確保のためにロースペックマシンを使ってるユーザー向けのテレビキャプチャ製品もそろそろ欲しいかな、と思います。もちろん、性能は落とさないままで。こんな需要があるのは日本だけかもしれないけど、結構売れると思うけどなー。
ということで、編集部にあるPentium 4 1.6GHz、メモリ256MBのマシンにインストールして再度試してみたところ、動作に問題ナッシング。高画質録画も再生もタイムシフトもすべて快適に楽しめました。やっぱアップグレードすべきかなとも考える今日この頃。
「ドコデモTV」のビットレート設定画面。設定時以外はタスクバーに常駐する | 「ドコデモTV」のクライアント。チャンネル、ビットレートの変更はクライアントから可能 |
■パフォーマンスがあれば画質も利便性も大満足
低価格の割にはかなり画質はいいし、視聴/録画ソフトは使い勝手が非常に高く、特にEPG予約が簡単に行えるのが素晴らしい。付属ソフトも豊富で、ホストで視聴するよりかなり画質は落ちるものの、複数台のPCでテレビ視聴が可能な「ドコデモTV」、外出先からも録画予約が行える「ResaMail」もあり。
そのほかにも低価格映像編集ソフトの定番とも言える「VideoStudio 6.0 SE」や、画像編集ソフト「PhotoExpress4.0 MCE」も付属。これで販売価格は12,680円。かなりお買い得。Low Profile対応なので小型マシンにも利用可能。ただし、高速なCPUが必要ですが……。
ま、推奨環境のPentium III 1.2GHz以上というのは現在ではかなりロースペックな部類には入るんですが、以前からご説明している通り、我が家では静穏性確保のためにCPUファンを外しているので、1GHz以上のハイパフォーマンスCPUにはご遠慮いただいているのが現状。静穏性も重要ですし、CPUアップグレードの手間も考えると、自分としてはそこまではちょっと、というのが正直なところ。
しかし、この価格でこれだけの高性能が得られるテレビキャプチャカードなので、推奨環境を満たしている方で、それほどお金をかけずにPC録画環境を得たい方にはかなりお薦め。特に、ADAMS-EPG予約が視聴/録画ソフト内で行えるのはかなり使い勝手が高いので、録画予約の利便性の高さを追及したい方にもよろしいかと。
□AOpenのホームページ
http://www.aopen.co.jp/
□製品情報
http://www.aopen.co.jp/products/video/va1000max.htm
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【9月7日】ビデオキャプチャ関連の新製品「Video Station VA1000 MAX」(AKIBA PC Hotline!)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20020907/ni_i_tv.html
(2002年9月20日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp