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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第91回:Electric Zooma! in CESレポート
~ ポータブルオーディオ/日立プライベートルーム篇 ~


■ 今週はCES特集

 Electric Zooma! in CES 3日目の今日は、まず会場から遠く離れたシーザーズパレスホテルで開かれた、日立のプライベートルームの模様からお伝えしよう。

 続いて、CES会場に戻って、各ホールに散らばって展示されているポータブルオーディオ関連機器を中心にレポートする。


■ 日立の新DVDCAM2機種

 日立は今回CESにブースを出しておらず、シーザーズパレスホテルのボールルームで関係者のみのプライベートショーを行なっている。米国における日立は、「UltraVision」という名前の高級テレビブランドとしての地位を確立。CES会場で他社といちいち比較されるよりも、違いがわかる人だけにじっくり説明するほうがメリットがあると考えているようだ。

 会場内はリアプロダクションテレビを中心に展示されており、米国ではかなり人気の商品だという。一般的にリアプロというと、フォーカスが甘く、画面に輝度のムラがある映像というイメージがあるが、日立のラインナップは従来のリアプロのイメージとはまったく異なる高精細度の表示であった。

 しかしZooma!的に日立ブースの目玉は、3世代目となる新DVDCAMである。今回発表されたのは2モデル。「DZ-MV350A」は、1/4インチ68万画素のCCDを採用した小型モデルで、前モデルから約半分のサイズを実現している。

 デザインおよびサイズは、Panasonicより発売された「VDR-M30」とよく似ている。ものすごく似ている。なにかオトナの事情があるんですねええ、いやいや皆まで言わなくてもわかりますわかりますというぐらい似ている。

カラーリングがなかなか綺麗だ 液晶の内側にUSB端子がある

新設計のドライブ部 展示用のスケルトンモデルもあった

 本体にはSDカードスロットを搭載し、DVD-RAMに撮った静止画をSDにコピーするといったこともできる。またPC接続用のドライバおよび専用にカスタマイズされたMyDVDがバンドルされ、DVD-RAMに撮ったものをオーサリングしてDVD-Rに書き戻すといったことも可能。前モデルの「DZ-MV270」もUSB 2.0を搭載し、PCのストレージとしても使える機能があったが、これもそのまま継承されている。

 なお新シリーズのCCDは、新たに設計したもの。以前のモデルに使用されていたCCDはスミアが出やすいなど、記録メディア側のクオリティに対して光学系が力不足の感があったが、今回の新CCDでは随分と品質が向上している。

 ソフトウェア的には、録画した映像のサムネイル表示も好きな画像に変更できるなど、細かい改良点が見られる。DZ-MV350Aは来月から生産開始で3月ぐらいの発売になる予定。米国での定価は999.95ドルなので、日本での実売は10万円台になるのではないかと予想される。

 上位モデルの「DZ-MV380A」は、350AのCCDを1メガピクセルに変更したモデル。それに合わせてレンズ部も若干大型になっている。残念ながら実働モデルは見られなかったが、こちらは4月頃にリリース、価格は350Aの2~3万円高になると思われる。

メガピクセルCCDを搭載した上位モデル「MV380A」。光学系が変わった以外は、大きな違いはない。MV350Aの1カ月遅れで発売される予定

 また今回のモデルから、メディアにちょっとした秘密がある。まだ公式に発表できないのであるが、ほー、そうなんですか、そういうことに。なるほどね。いや、まだ言えないから。

□関連記事
【2002年8月21日】【EZ】ビデオカメラの常識を変える? 日立DZ-MV270
~USB 2.0でストレージにもなる新DVDCAM~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020821/zooma72.htm


■ CESで見つけたポータブルオーディオ

 では引き続き、CES会場でポータブル機器の話題をお伝えしよう。

●Polaroid

割と小さなポラロイドブース
 日本ではMP3プレーヤーは、その本流がHDD搭載型に移ってきたように思われるが、コンシューマ機器としてはまだまだメモリタイプのものが中心だ。今までMP3プレーヤーを製造してきたのは主に台湾、韓国などのアジア勢だが、それ以外のメーカーも参入してきている。

 今回大量にMP3プレーヤーをリリースしたのが、Polaroidだ。Pocket Jamは、4つのカラーバリエーションを持つモデル。内蔵メモリが32/64/128MBの3種類あり、外部メモリ用としてマルチメディアカードスロットがある。転送インターフェイスはUSB 1.1。4つのイコライザプリセットがある。

4つのカラーバリエーションを持つ「Pocket Jam」

 「Pocket Jam2」は、MP3とWMAの再生に対応するほか、FMラジオとボイスレコーディング機能を搭載した上位モデル。64/128MBモデルがあるが、カラーバリエーションはない。イコライザプリセットは5つ。

 Pocket Jam3は、USBポートに直接差し込めるタイプのMP3プレーヤーで、64、128MBモデルがある。スペック的に目新しいものではないが、デジタルカメラで出遅れたPolaroidが狙う次のターゲットがMP3ねぇ、という素朴な驚きがある。

 なおこれらのモデルは、カナダ、北米、メキシコでの発売が決定しているが、日本での発売予定は今のところないという。

上位モデルの「Pocket Jam2」 USBポートに差し込むタイプの「Pocket Jam3」

□Polaroidのホームページ(英文)
http://www.polaroid.com/

●GPX

カラフルな機器が多いGPXブース
 米GPXは、小型オーディオ製品を得意とするメーカーだ。「TEC100」は、小型ながらもMP3、WMAの再生のほか、FMラジオ、ボイスレコーダを内蔵するMP3プレーヤー。現在はまだモックアップだが、内蔵メモリは64MBで、拡張メモリとしてSDカードが予定されている。また製品には5色のフェイスプレートが同梱されるという。

 全体的にGPXの製品は、CDプレーヤーにしろラジカセにしろ、フェイスプレートが変更できるカラフルなモデルを売りにしているようだ。
着せ替え型MP3プレーヤ「TEC100」

□GPXのホームページ(英文)
http://www.gpx.com/

●KINYO

台湾のオーディオ系メーカーKINYOブース
 台湾のKINYOは、PC用スピーカなどが日本にも入ってきているメーカーだ。「ART Dio」は8cmCD-Rに記録されたMP3が再生できるプレーヤー。

 これもフェイスプレートが変えられるのが特徴だが、サイズが違うフェイスプレートに変更できるというのが面白い。これを取り付けることで12cmCDもかかるようになるという。
8cmCD-RのMP3プレーヤー「ART Dio」 大きくするためのガワを同梱

□KINYOのホームページ(英文)
http://www.kinyo.com/

●BANTAM

 BANTAMは米国のポータブルオーディオメーカー。日本には製品は入ってきていない。

 「BA1000」は、HDDをベースにしたMP3/WMAプレーヤーで、FMラジオ、ボイスレコーダ機能もある。インターフェイスはUSB 2.0を採用し、デジタル転送を行なうわけだが、特徴的なのはMP3エンコーダを内蔵しており、アナログ入力の音声をダイレクトにエンコードして録音できる。もちろんUSB接続で、外部ポータブルHDDとしても使用可能。バッテリはフル充電で16時間再生。

 2GBと5GBのモデルがあり、リリースは3月ごろの予定。日本での発売は、今ディストリビュータを探しているところだという。価格は2GBモデルで229ドル、5GBモデルで329ドル。

シンプルなスタイルの「BA1000」 側面にLine-Inがある

ひときわユニークなメモリベースのプレーヤー
 「BA800」は、メモリーベースのマルチフォーマットプレーヤー。内蔵メモリは256MBで、MMC/SDカードスロットも装備している。MP3とWMAが再生可能で、将来的なフォーマットにもアップデートで対応できるという。特徴的なのは、1.8インチのカラー液晶を備えており、JPEGの画像ビューアとしても使用できる。

 またボディカラーだが、側面にLEDが仕込まれており、256色のうちから好きな色を選んで点灯することができるのは面白い。これも3月発売で、299ドル。

□BANTAMのホームページ(英文)
www.bantamusa.com

 これらのほかにも、会場にはいろいろなメーカーからMP3プレーヤーが出展されていたのだが、取材規制が厳しく、写真を撮らせてもらえないために紹介できないものもいくつかあった。OEMで他社に供給するなどの関係で、メディアに載るのはまずいという事情もあるようだ。


■ そのほかのオーディオ関連機器

 MP3プレーヤー以外にも目を引く製品があったので、代表的なところをご紹介しよう。

●DELPHI

カーオーディオコーナーにあるDELPHIブース
 DELPHIはカーオーディオのメーカーだが、ポータブルオーディオと言ってもいい製品を発表していた。「XM SKYFi」は、通信衛星を利用したデジタルラジオ放送「XM」のレシーバ。XMはカーオーディオをターゲットに、2001年9月にサービスを開始した米国独自のラジオ放送システムだが、現在101チャンネルを持つまでに急成長した。会場内でもあちこちで広告を見かけるほどの力の入れようだ。

 小型のレシーバを車に積むだけでなく、ホームアダプタキットと組み合わせれば、家庭でもXMを楽しむことができる。デザイン的にもなかなかかっこいい。

 日本ではまだXMのようなサービスはないが、今後、放送のデジタル化に伴う電波帯域の有効利用手段として、参考となるケースだ。

XMのレシーバユニット 専用スピーカーと合体してホームユースにもなる

□DELPHIのホームページ(英文)
http://www.delphi.com/

●SHURE

今回はE-Seriesのみ展示のSHUREブース
 マイクロホンでおなじみのSHUREが、ハイエンドイヤフォンを発表した。E-Seriesとして3モデルリリースされるが、その中の最高機「E5c」は高音域と低音域用2つのドライバユニットを内蔵したモデル。いわゆる耳栓スタイルで、外部ノイズを遮断する設計となっている。

 同モデルにはフォームラバー1、ゴム製ラバー3つが同梱され、好みあるいはフィッティング具合に合わせて付け替えることができる。パッケージが凝っていて、アルミ製の箱。また丸っこいキャリングポーチも付属する。

フォームラバーを取り付けた状態 こんな感じで装着し、ケーブルはぐるっと後ろに回す ゴージャスなアルミ製パッケージ

 フォームラバーを付けて実際に音を聞いてみたが、フィット感がいいので遮音性はバツグン。出音は非常に張りのある明るい音で、低音の伸びも綺麗。まさにスタジオ用モニタスピーカーの音そのものだ。

 価格は499ドルと、イヤフォンにしてはかなり値が張る。今まで高級イヤホンといえば、米Etymotic Researchの「ER-4シリーズ」が金字塔のようにそびえ立っていたが、値段的にE5cは軽くそれを突破して、そのままのレートで換算すると、日本ではおそらく7万円前後になってしまうだろう。だが、プロがスタジオでどんな音を聴いているか知りたい人には、是非試して欲しい逸品だ。

□SHUREのホームページ(英文)
http://www.shure.com/


■ 総論

 日立は今までDVDCAMのリーディングカンパニーとしてがんばってきたが、やはり今までのネックはカメラのサイズであった。しかし今回の新シリーズはコンパクトでデザインも良く、これなら多くの人が興味を持つと思われる。すでに2機種を市場に送り出している経験から、製品としての完成度も期待できそうだ。

 一方ポータブルオーディオは、小型化が得意なアジア勢が市場を牽引してきたが、米国での本格的な普及に向けて、低価格オーディオ機器を製造していた米メーカーがようやく動き出したという感じだ。いったん火がつけば数は出る製品だが、セキュアの問題に敏感な国なだけに、各社ともなかなか慎重な姿勢を崩さない。

 さて、これまでで紹介しきれなかった面白い製品がまだまだあるのだが、これらは次回のZooma!で全体の総括とともにお送りしたいと思っている。お楽しみに。


□2003 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/

(2003年1月13日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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