DV-HRD1ユーザーである筆者が、DV-HRD1/HRD10の企画担当者、荒井芳美係長(AVシステム事業本部記録メディア事業部商品企画部)にインタビューする機会を得たので、日頃使っていて気になった点も含めて、いろいろお訊きしてみることにした(聞き手:石井英男)。
■ 目的は「DVDレコーダとハイビジョン録画の融合」
昨年度(2002年度)のDVDプレーヤー/レコーダの市場は、国内でトータル380万台の市場がありました。このうち、DVDレコーダーについては約80万台ということで、約2割を占めています。それで、このDVDレコーダーの市場がどんどん伸びているところで、今年、2003年度については160万~200万台の市場になると予想しています。こうした伸長する市場に、私どもシャープも力を入れていきたいと考えております。 なぜデジタルハイビジョンレコーダーを投入したのかといいますと、BSデジタル放送に加え、昨年4月に110度CSのデジタル放送もスタートしました。さらに、昨年6月にはワールドカップが盛り上がりを見せるなど、デジタル放送市場が活況を呈したということで、デジタルハイビジョン放送を記録できるものを商品として普及させたいという気持ちがありました。そこで、DVDレコーダーとの融合を考えたのがDV-HRDシリーズです。BSデジタルとCSデジタルを合わせるとチャンネル数は150を超えます。そのインフラの流れとともに、これからどんどん需要が期待できます。それで、DV-HRD1を昨年12月に発売したわけです。 また、AQUOSユーザーからのアンケートハガキの結果も理由の1つです。ハイビジョン放送をそのままハイビジョン画質で記録したいという方が3割くらいいらっしゃいまして、ハイビジョン記録に対する要望が強いんだなということを実感しました。 業界全体で見ても、ハイビジョンが記録できるHDDレコーダーとDVDレコーダーの複合化の動きというのはうちだけです。DVDとVHSの一体型レコーダ(3月発売のDV-RW100)などもラインナップしてますし、いろいろな展開をこれからも考えていきたいと思っています。
■ 大容量HDDでさらにハイビジョン録画向けになったHRD10 ―DV-HRD1の反響はどうだったのでしたが? DV-HRD1を昨年12月に発売しまして、年末までに1万台程度出荷してます。その後も月に5,000台くらい出てますね。手応えはかなりあります。それで、DV-HRD1ユーザーのアンケート結果を集計してみますと、欲しい機能として、トップに挙がったのが「HDDの大容量化」ということでした。6割以上の方が容量アップをしてほしいと。そういったアンケート葉書の結果をふまえて、早い時点から大容量HDDの必然性を感じ、今年3月にDV-HRD10を投入しました。 ―実際に、ハイビジョン放送を録画されている方は多いのでしょうか 買った方の約8割が、ハイビジョンの録画再生を重視して買われています。重視した項目の2番目がCS/BSチューナを両方搭載しているということです。3番目は、DVD-R/RW記録での互換性です。 ―DV-HRD10では、HDD容量の増加がポイントになっているわけですね。 DV-HRD10では180GBという大容量HDDを搭載しました。以前のDV-HRD1の80GBではハイビジョン放送では7時間しか録れないので、すぐ一杯になってしまいます。しかし、HRD10ならハイビジョン放送を約16時間記録することができるようになりました。アナログ放送のEPモードなら約258時間記録できます。 それと、DV-HRD10については、i.LINK接続機能も強化されています。DV-HRD1では当初i.LINK経由での予約録画ができなかったんですが、HRD10からはD-VHSで予約録画再生ができるようになりました。 ―それも要望が多かったのですか? この点はアンケート結果でそれほど上位には来ているわけではなかったです。
―本当は、HDDに録画した番組もi.LINKで出力できるといいんですけどね。あと、i.LINK経由でD-VHSを接続できるといっても、全ての機器に対応しているわけではないですよね。相性があるというか。 HDDから出力させないという件については、やはり、コンテンツの保護を配慮した製品にしたいということで、HDDからの出力はできなくなっています。i.LINK経由で接続したD-VHSと内蔵HDDに同時に記録するという使い方もできますので、使い方の面で対応していただきいと思います。
■ ジャスト録画のビットレートは7段階で自動設定 ―使っていて便利だと思ったのは、このモードイルミネーションランプですね。状態がよくわかるので。 発売当初は、「カウンタがなぜないんだ」という意見が多いのではと、思っていました。でも、実際にユーザーの評価をきいてみると、「わかりやすくて良い」っていう人が多かったですね。デザインについても、斬新で高級感のあるデザインにしたくて、すっきりしたデザインでセンターにイルミネーションを配置しました。 アンケートハガキで見ますと、DV-HRD1の購入ユーザーは、40、50代が中心です。ある程度価格が高いこともありまして、そのあたりの年齢層の方が多いですね。 ―機能面では、HDDに録画したものについては、再生シーン設定しかできないので、CMカットなどの編集機能やジャンプ機能がほしいという意見があります。 再生シーン設定しかできないという点に関しては、改善のご要望も結構多いです。ダイレクトに飛ばして再生できないかとか、チャプターみたいなのを入れられないかとかですね。
そうですね。そういう意見は反映していきたいと思います。 ―それから、ジャスト録画機能がよくわからないという意見があるようですね。記録ビットレートは基本的には、FINE、SP、LP、EPの4段階ですよね。それで、ジャスト録画をすると、1.5倍の長さになるというのは、例えば、SPのジャスト録画なら、SPの1.5分の1のビットレートになっているわけですよね。マニュアルでは、SPとLPの中間というビットレートがあるのではなく、複数の番組を録画する際に、SPとLPを途中で切り替えているだけのようにも読めるのですけど。 ジャスト録画の件ですが、通常のFINE、SP、LP、EPの4段階の各モード間に1モードずつ加えた7段階のモードから、ディスクの残量に入りきる最適のモードで予約録画するという機能です。これは途中からビットレートが変わるのではなく、最初から7段階のいずれかのモードで録画しています。 ―あと、新しいカタログでは直っていますが、最初のDV-HRD1のカタログでは、HDDにハイビジョン録画をする場合は約7時間で、スタンダード放送では約14時間と書いてあったと思うんですが、実際は3倍の約21時間録れますよね? マニュアルにも約14時間と書いてあるんですが、それはどうしてですか? これは規格上の最大データ量を想定すると2倍ということもあり得るんですが、実際のスタンダード放送は、ハイビジョンの3分の1のデータ量で放送されているので、3倍録れます。 ―DV-HRD1のユーザーとしては、HDDの増量サービスをやっていただけるとありがたいですね。いろいろ難しいとは思いますが。 他社ではやられているところもあるので、対応できるかどうか検討はしています。 ―本日はありがとうございました。
□シャープのホームページ (2003年5月9日)
[Text by 石井英男]
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