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第132回:PCカードオーディオ「ECHO INDIGO I/O」を試す
~ 端子はステレオミニのみだが、予想外の高性能 ~


 オーディオインターフェイスメーカーとして実績のある米国のECHO DIGITAL AUDIO。このECHOから昨秋、PCカードのオーディオインターフェイス「INDIGOシリーズ」3製品が発売された。

 ノートPC用オーディオインターフェイスとしては、USBやFireWireが主流となってきているため、INDIGOシリーズはやや異色の存在ともいえる。今回はそのシリーズの中で、オーディオの入出力を搭載したECHO INDIGO I/0のオーディオ特性をチェックした。


■ 珍しいPCカード型のオーディオインターフェイス

 ECHO DIGITAL AUDIOの製品については、以前もこのDigital Audio LaboratoryでMIAを取り上げたことがあるので、覚えている方もいるだろう。このMIAの現行モデルはMIAにMIDI入出力ポートを搭載した「MIA MIDI」になったが、価格に比べ高音質であり評価の高さに変わりはない。

 また、ECHO製品の中でMIA「MIA MIDI」は、従来もっともエントリーレベルに位置付けられた製品であり、その上に「Gina24」、「Layla24」といった製品がある。それぞれ高価ではあるが、やはり評価の高い製品である。

 国内ではフックアップが扱っており、昨年の10月に追加されたのがINDIGOシリーズというラインナップ。いずれもPCカードのオーディオインターフェイスで、以下の3製品が用意される。価格は全てオープンプライス。

  • ECHO INDIGO II(実売価格:19,800円前後)
  • ECHO INDIGO I/O(実売価格:29,800円前後)
  • ECHO INDIGO DJ(実売価格:29,800円前後)
ECHO INDIGO I/O

 ECHO INDIGO IIはアナログのステレオ出力端子を2つ装備し、どちらからも同じ音が出る。ECHO INDIGO I/Oはステレオの入出力を装備したもので、ECHO INDIGO DJはECHO INDIGO IIと同様にステレオ出力端子が2つ装備されているが、それぞれ独立した出力となっている。ヘッドフォンモニター用と、メイン出力用というような使い方を想定していることから、この名前になっているそうだ。

 いずれも形状はそっくりで、端子は1/8インチミニジャック、つまりいわゆるステレオミニジャックが2つ搭載された形となっている。


ECHO INDIGO I/O利用時

 ブレイクアウトボックスを使うわけでもないし、そもそも端子がステレオミニということもあり、あまり大したものではないだろうと思っていた。しかし、代理店のフックアップでは、「見た目と違ってなかなかいい音を出す」という。

 今回テストしたのは、ECHO INDIGO I/O。これを選んだのは、Digital Audio Laboratoryでテストしてきたのは入出力を直結して行なう方法で、入出力を装備したのがECHO INDIGO I/Oのみだったからだ。



■ ソフトウェア的には2in8Outで利用可能

バーチャル出力により8outに対応

 実際にドライバをインストールして使ってみると、MIAと同様バーチャル出力という考え方を持ったちょっと面白いインターフェイスになっている。つまり、ハードウェア的には入力2ch、出力2chなのだが、ソフトウェア的には、2in8outという仕様になっている。

 これは普通にMMEドライバを使っていても、4ステレオ = 8ch出力を装備しているように見えるし、ASIOを使っても同様だ。たとえば複数のアプリケーションを使っている場合に、別々のチャンネルに出力させて、あとでミキサーでバランスを取るといった方法も使えそうだ。


ミキサー部

 このミキサーの扱いは至って簡単で、基本的には入出力ともに、各チャンネルのレベルをコントロールするのみ。必要あればパンを動かしたり、ミュートの設定もできるようになっている。

 デフォルトでは、すべてレベルは最大になっていて、どのチャンネルもミュートされていない。デフォルトの状態では、入力された信号がそのまま出力に直結している。今回の実験では、入力のみミュートするようにした。

 なお、このミキサー画面の右上にあるSetttingボタンをクリックすると、Driver、Console、GSIFの設定画面が表示される。


Driver Console GSIF

 Cubase SX 2.0を使ってASIOドライバを試した際、ASIOでのバッファサイズを小さくして128samplesに設定したところ、レイテンシーは24bit/96kHzの1.972msec、24bit/44.1kHzは3.9msecにまで縮めることができた。これを大きいと思うか、小さいと思うかは用途によるだろうが、通常の使用ならこれで十分だろう。

ASIO 2.0のバッファサイズを最小に設定 レイテンシは24bit/96kHzで1.972msec、24bit/44.1kHzで3.9msecに縮小


■ 予想を超える高性能

ノイズレベルの測定

 ここから恒例の実験。まず、-6dBのサイン波を用いてレベル調整。入力が-6dBになる設定を探したのだが、すべてを最大にしても-6.7dB程度にしかならなかったので、その状態を基準とすることにした。

 そのまま、無音状態で録音してみたところ、驚くべき結果になった。若干バイアスがかかっているが、この直流成分を取り除けば-100dB以下のノイズということになり、かなりの高性能である。

 次に、その調整を行なったサイン波を録音したものを、WaveSpectraを用いて分析してみた。これを見てもわかるように、ほとんど高調波も出ていない、キレイなグラフだ。参考値であるS/Nが-85dBとなっているのは、かなりいい数値といっていいだろう。

 そして3つ目の実験がスウィープ信号。これも、かなりフラットな結果となった。こう見てくると、ステレオミニジャックとはいえ、かなりいい結果であり、当初予想していた性能を遥かに上回った。

1kHzのサイン波 スウィープ信号


ECHOFIRE 8

 ところで、ECHO AUDIO DIGITALは、先日のNAMM SHOWでFireWire対応の製品の発表を行なっていたが、フックアップによれば、まだ実機などは日本に来ておらず、海外でも発売は3月になるという。

 今回発表されたFireWire対応製品「ECHOFIRE SERIES」のラインナップは3種類。最上位モデルが「ECHOFIRE 12HD」で、24bit/192kHzに対応し、すべてアナログXLR対応の12入力、12出力を可能にしたものだ。


ECHOFIRE 2

 2番目は「ECHOFIRE 8」というもので、売れ筋になりそうなモデル。フロントにはXLR、ライン切り替え対応の入力端子が4つ用意されているほか、バックには+4dBuの出力、+4dBuの4chのアナログ出力を持っているほか、S/PDIFの入出力、ヘッドフォンやMIDI入出力にワードクロックについて用意されている。

 3番目は非常に小さな「ECHOFIRE 2」。ちょうど、ECHOFIRE8からいくつかの機能を削減したようなものなのだが、フロントに切り替え式の入力が2つ、出力はバックにTRSの端子が6つあるほか、MIDI入出力、ヘッドフォン出力もあるというエントリーモデルだ。

 いずれも、まだ発売はだいぶ先になるが、手に入れば、また改めてテストをしてみたいと思う。

□ECHO DIGITAL AUDIOのホームページ(英文)
http://www.echoaudio.com/
□製品情報(英文)
http://www.echoaudio.com/Products/IndigoIO/index.php
□フックアップのホームぺージ
http://www.hookup.co.jp/
□製品情報
http://www.hookup.co.jp/soundcard/echo/indigo2.html
【2003年2月3日】【DAL】PC用オーディオデバイスの音質をチェックする
~ その2:普及価格帯PCIオーディオカードの実力 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030203/dal86.htm

(2004年2月9日)


= 藤本健 = ライター兼エディター。某大手出版社に勤務しつつ、MIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase SX/SL」(リットーミュージック)、「MASTER OF REASON」(BNN新社)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。

[Text by 藤本健]


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AV Watch編集部 av-watch@impress.co.jp

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