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国内発売に先駆けて米国版を試す
Apple 「iPod mini」
発売日:2月20日
標準価格:249ドル

 米Apple社が1月7日に発表したiPod miniは、4GBの1インチHDDを搭載したポータブルオーディオプレーヤー。1.8インチHDDを採用したiPodシリーズの弟分となる製品だ。iPod miniは、米国で2月20日に発売が開始されたが、日本を含む全世界での発売は4月の予定である。今回、米国で発売された製品を入手することができたので、早速、その使い勝手を紹介する。


■ 米国版でも問題なく日本語表示が可能

 iPod miniは、現時点では米国でしか発売されていない。秋葉原でも並行輸入品がわずかに販売されたが、すでに完売しているようだ。ここでは、米国にオフィスを持つMacintoshメモリー専門店「マックメム」の猪川氏の御厚意により、米国で発売されたばかりの製品をそのままお借りできた。

 iPodシリーズのボディカラーはホワイトのみだが、iPod miniでは全部で5色(シルバー、ゴールド、ピンク、ブルー、グリーン)のボディカラーが用意されており、好みに応じて選べることも嬉しい。今回入手したのはピンクのiPod miniだが、質感はなかなか良好だ。ボディの材質はアルミニウムだが、陽極酸化処理(いわゆるアルマイト処理)が施されているため、耐食性も高い。陽極酸化処理と同時に着色がおこなわれているので、色が剥げてくる心配もない。

 1インチHDD搭載のiPod miniは、1.8インチHDD搭載のiPodシリーズに比べて、サイズが小さく軽いことが最大の魅力だ。サイズは約50.8×12.7×91.4mmで、大きめな名刺大である。厚さも12.7mmと薄く、重量も102gと軽いので、胸ポケットなどに入れて気軽に持ち歩ける。HDD容量は4GBだが、AAC128kbpsでエンコードした楽曲なら約1,000曲分、CDにして約80枚分を格納できる。手持ちのCDの楽曲を全て入れるには足りないかもしれないが、通常の利用なら十分だ。ちなみに、最新のiPodシリーズのHDD容量は、15/20/40GBだが、初代iPodのHDD容量は5GBであり、iPod miniと大差はない。

PCカードとのサイズ比較。PCカードよりも長さは多少長いが、幅は狭い 裏面には、アップルマークとiPodロゴが描かれている 厚さをDVDのジュエルケースと比較してみた。ケース1枚分よりわずかに厚いだけだ

 iPod miniのパッケージには、iPod mini本体、USBケーブル、IEEE 1394ケーブル、ACアダプタ、インナーイヤフォン、ベルトクリップ、アプリケーションCD-ROM、ユーザーズガイド、クイックリファレンスが含まれている。今回試用したのは、米国で販売された製品であるため、ユーザーズガイドやクイックリファレンスなどの表記は全て英語であるが、すでにPC Watchでレポートされているように、付属CD-ROMに収録されているiTunes for Windowsは多国語対応版であり、インストール時に「日本語」を選択すれば、日本語版がインストールされる。また、iPod miniの設定メニューで、言語を「日本語」に変更すれば、iPod mini本体でも、問題なく日本語表示が行なえる。つまり、米国で販売されているiPod miniも、ハードウェア自体は最初から多国語対応版として設計されている。

 iPod miniの液晶ディスプレイは1.67インチ(138×111ドット)で、iPodの2インチ(160×128ドット)に比べると一回り小さく、解像度も低くなっている。しかし、バックライト付きで、視認性は良好である。

ユーザーズガイドやクイックリファレンスは英語表記だが、CD-ROM内にPDF形式で日本語ユーザーズガイドやクイックリファレンスが収録されている インナーイヤフォンが付属する。この種のポータブルオーディオプレーヤーに付属するものとしては高品質だ

ベルトにiPod miniを挟んで固定するためのベルトクリップが付属する ベルトクリップの裏側。クリップでベルトを挟むことで、固定される ベルトクリップをiPod miniに装着した様子

iPod miniの設定メニューで「言語」を選択する 言語の設定を「日本語」に変更すれば、日本語表示が可能になる


■ クリックホイールの操作性も良好

クリックホイールは、なぞることでホイール操作が可能。上下左右と中央は押し込める

 最新のiPodでは、タッチホイールと4つのタッチボタンで操作するのに対し、iPod miniでは、クリックホイールと名付けられた新しい操作デバイスが採用されている。

 クリックホイールは、ホイール状のタッチパッドと押しボタンを合わせたデバイスであり、指先でくるくるなぞってホイール操作が行なえるだけでなく、上下左右と中央部分のボタンを押し込むことで、メニューの選択や取り消し、再生/停止などの操作が行なえる。クリックホイールは、ホイール操作、ボタン操作ともに使いやすい。ホイール操作で、曲やアルバムなどを選択する場合、指先をくるくる動かすことで、リストがどんどんスクロールしていく感覚はなかなか心地よい。音楽再生中は、ホイール操作で音量を調整することができる。

 上面にはホールドスイッチとヘッドフォン端子、リモコン端子が用意されている。ホールド状態にしておけば、クリックホイールの操作が全て無効になる。なお、iPodの20/40GBモデルではリモコンが標準で付属しているが、iPod miniでは付属しておらず、オプション扱いとなっている。

 底面にはPCとiPod miniを接続したり、ACアダプタを接続するためのDockコネクタが用意されている。iPod miniでは、USB 2.0ケーブルとIEEE 1394ケーブルの両方が標準で付属していることも嬉しい(iPodでは、IEEE 1394ケーブルのみ添付されており、USB 2.0ケーブルは別売りであった)。また、オプションでiPod mini専用ドッキングステーション「iPod mini Dock」も用意されている。

上面にはホールドスイッチとヘッドフォン端子、リモコン端子を装備 底面にはDockコネクタが用意されている USB 2.0ケーブル(左)とIEEE 1394ケーブル(右)が付属する


■ iTunes for WindowsとiPod miniの組み合わせは実に快適

 iPodシリーズは、ハードウェア自体のできの良さもさることながら、付属のジュークボックスソフト「iTunes」の使い勝手がよく、iPodとの連携が非常に簡単に行なえることも人気の一因である。iPod miniには、iTunesの最新バージョンであるiTunes 4.2のMacintosh版とWindows版が付属している。ちなみに、iTunesのバージョン3までは、Macintosh版しかなく、iPodをWindows環境で使う場合は、「MUSICMATCH Jukebox」を利用してリッピングやデータの転送をおこなっていた。しかし、iTunes 4のWindows版(iTunes for Windows日本語版)が、2003年10月31日にアップル社のWebサイトで公開されたことで、ようやくWindowsユーザーでもiTunes 4(以下iTunes)を利用できるようになったのだ。

 iTunesは、ユーザーインターフェイスがよくできているので、非常に使いやすい。光学ドライブに音楽CDを入れると、自動的にCDDBにアクセスし、アルバム名や曲名が表示される。その状態で、右上のインポートボタンを押すだけで、CDからのリッピング&エンコードがおこなわれる。デフォルトでは、ビットレート128kbpsのAAC形式でエンコードされ、ライブラリに保存されるが、ビットレートを変更したり、MP3形式やWAV形式で保存することも可能だ。

iTunesを利用して、リッピングとエンコードを行なっている様子。GUIデザインは、Macintosh版によく似ている 曲名、時間、アーティスト、アルバム、ジャンルなどの欄をクリックすると、曲リストのソートが可能。この例では、アーティスト名をアルファベット順にソートした 時間の短い順に並べ替えてみたところ

 プレイリストの作成は、プレイリストのアイコンの上に曲をドラッグ&ドロップすることで行なえる。ライブラリやプレイリスト内で表示される曲は、曲名や時間、アーティスト、アルバム、ジャンルなどの欄をクリックするだけで、昇順/降順でソートされるので、膨大な曲の中から希望の曲を見つけることも簡単。また、全ライブラリの曲を、さまざまな条件で絞り込む「スマートプレイリスト」も便利だ。フィルターを複数設定して、AND/OR検索ができるので、複雑な抽出が行なえる。例えば、ジャンルが「Pop」でかつ1曲の時間が3分より長い曲のリストを作ることも一発で可能だ。

 iPod miniとPCをUSB 2.0ケーブルあるいはIEEE 1394ケーブル経由で接続すると、自動的にiTunesが起動し、ライブラリとプレイリストの同期がおこなわれる。転送速度も高速である。試しに、USB 2.0ケーブル経由で267曲のデータ(810.3MB、14.4時間分)を転送してみたところ、約3分5秒で終了した。初回転送時は、ライブラリ内の曲が全てiPod miniに転送されるためやや時間がかかるが、次からは、変更や追加があった部分だけが転送されるので、短時間で同期が終了する。

スマートプレイリスト機能。この例では、フィルターは2つ設定しているが、さらに数を増やして絞り込むことも可能だ 左のスマートプレイリスト機能による絞り込みの結果。ジャンルが「Pop」で、1曲の時間が3分を超える曲が絞り込まれている iPod miniを接続するだけで、自動的にライブラリとプレイリストの同期が行なわれる(自動的に同期しないように設定することも可能)


■ 最新iPodとほぼ同等の機能を装備

 iPod miniは、サードパーティ製の周辺機器によって実現されるボイスレコーダ機能やフォトストレージ機能に対応していないことを除けば、最新iPod(いわゆる第3世代iPod)とほぼ同等の機能を装備している。

 再生機能も充実しており、曲やアルバムのシャッフル再生、1曲/全曲リピートはもちろん、イコライザ機能では、AcousticやDance、Jazzなどの20種類もの設定が用意されている。スリープタイマーも装備しているので、音楽を聴きながら眠りにつきたいという人にもお勧めだ。また、曲には、それぞれお気に入り度(レート)を5段階で付けることができる。iPod mini上でつけたレートは、iTunesのスマートプレイリスト機能で利用できるので、お気に入りの曲を集めたプレイリストを作る場合に役立つだろう。

20種類もの設定が用意されているイコライザ機能を装備 プレイリストの一覧画面。上の4つは最初から用意されている項目である On-The-Goプレイリスト機能を利用すれば、iPod mini本体だけで、プレイリストを作成できる

 iPod miniでは、iTunesで編集したプレイリストを利用して再生ができることはもちろん、「On-The-Goプレイリスト」と呼ばれる機能も装備している。On-The-Goプレイリストは、iPod mini上でプレイリストを作成できる機能で、登録したい曲を選んで、ホイール中央の決定ボタンを長押しすることで、On-The-Goプレイリストに登録される。また、メインメニューのカスタマイズを行なうことも可能だ。

 iPod miniに格納されている曲を探して再生したいのなら、ブラウズメニューから、「アーティスト」、「アルバム」、「曲」、「ジャンル」、「作曲者」を選べばよい。その項目でソートされるので、目的の曲を探すのも簡単だ。iPod miniでは、曲データをフォルダで分けて整理するという概念はなく、全ての曲データが1つのライブラリにあるものとして扱われる。アーティストやアルバムなどのメタデータは、ID3タグから取得しているが、iTunesでリッピングすると、これらのデータもきちんと書き込まれるので、特に意識せずともよいだろう。

 筆者は耳にはあまり自信がないのだが、付属のインナーイヤフォンの音質もなかなか素直で、聴きやすかった。基本的にサウンドクオリティはiPodと同等とのことなので、ポータブルオーディオプレーヤーの中でも良好な部類だといえるだろう。

「アーティスト」、「アルバム」、「曲」、「ジャンル」、「作曲者」を選ぶことで、その項目でソートされて表示される ブラウズメニューでアーティストを選べば、アルファベット順にアーティスト名が並ぶ

 iPod miniでは、最新iPodと同様に、「Brick」(ブロック崩し)、「Music Quiz」(イントロクイズ)、「Parachute」(パラシュート)、「Solitaire」(ソリティア)という4種類のゲームも内蔵している。iPod miniならではのゲームがMusic Quizで、これはiPod miniに入っている曲を利用して、イントロクイズをおこなうというものだ。Music Quizをスタートさせると、音楽が始まると同時に画面に曲名が4つ表示される。今再生されている曲名を選べばいいのだが、時間と共に選択肢の数が4→3→2と減っていき、獲得できるスコアも下がっていくので、できるだけ素早く曲名を選ばないといけない。約6秒以内に答えられないと、正解が表示されてしまい、次の出題に移る。試しにやってみたが、なかなか面白い。

 また、住所や電話番号、カレンダーのイベント、ToDoリスト、テキストメモを読み込んで表示させることもできる。これらは基本的にMacintosh用のiSyncと連携して使われる機能だが、vCard形式やvCal形式にも対応しているので、Windows PCでも利用できなくはない。しかし、手動でファイルをコピーしなくてはならないので、あまり実用的ではないかもしれない。

イントロクイズのMusic Quiz。素早く曲名を選ばないと、獲得できるスコアが下がっていく Windowsのアクセサリとしてもお馴染みの「ソリティア」も遊べる


■ 連続9時間以上の再生が可能

 iPod miniは、公称約8時間の連続再生が可能とされているが、実際に試してみたところ、9時間30分もの連続再生が可能であった(音量は中)。条件によっても、連続再生時間は変わってくるだろうが、このサイズでこれだけ持てば、合格点をつけられるだろう。

 バッテリの充電は、付属のACアダプタにIEEE 1394ケーブルを接続して行なえるほか、PCと接続した状態でも、バスパワーによる充電がおこなわれることが嬉しい(USB 2.0/IEEE 1394ともにPCからの充電に対応)。マニュアルによると、バッテリは1時間で約8割の急速充電が可能だが、フル充電には約4時間かかるとされている(実際に試したところ4時間30分程度かかった)。また、バッテリ残量のインジケータが1ドットずつ減っていくので、バッテリの残量を細かく把握できて便利だ。

付属のACアダプタ。ACプラグ部分が折りたためるようになっており、携帯に便利だ ACアダプタにはIEEE 1394端子が用意されており、IEEE 1394ケーブル経由で、バッテリの充電を行なう ACアダプタを使って充電する場合は、このようなイメージになる


■ HDD搭載プレイヤーとしての完成度は高い

 iPod miniは、iPodシリーズで培ってきた使い勝手の良さと高い音質を、名刺大のコンパクトなボディに詰め込んだ製品であり、オーディオプレーヤーとしての完成度は高い。ストラップホールがないため、ストラップを付けられないといった不満もあるが、首からぶら下げて使いたいのなら、サードパーティから「SkinTight Mini iPod」といった製品も発売されているので、それらを利用する手もある。

 日本における正式発売日と価格は現時点では未定だが、米国での価格が249ドルなので、日本では3万円近い価格になると思われる。同じ4GBの1インチHDDを搭載したクリエイティブメディアのNOMAD MuVo2 4GBが25,000〜27,000円前後で販売されているようだが、ボディの質感や液晶の見やすさ、操作のしやすさなどは、明らかにiPod miniの方が上だ。

 すでにiPodを使っている人なら、iTunesを含めた使い勝手の良さはよく御存知であろうが、はじめてポータブルオーディオプレーヤーを買うという人や、フラッシュメモリタイプのポータブルオーディオプレーヤーを使っていて容量に不満があるといった人にもお勧めしたい。HDD搭載ポータブルオーディオプレーヤーの購入を予定しているのなら、iPod miniは有力な選択肢の1つとなるだろう。4月の国内発売が待ち遠しい製品である。

□Appleのホームページ
http://www.apple.com/
□製品情報(英文)
http://www.apple.com/ipodmini/
□関連記事
【2月24日】米国で先行発売されたiPod miniを試す(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0224/ubiq47.htm
【1月7日】米Apple、4GB HDDを搭載した重量102gの「iPod mini」
−249ドルで2月に発売。日本では4月に発売予定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040107/apple1.htm
【1月7日】4GB HDD搭載で5色のiPod mini登場(PC Watch)
−Xserve G5、iLIFEがバージョンアップ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0107/mw02.htm

(2004年3月8日)

[Text by 石井英男]


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