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フル機能搭載の高音質モデル
大型ディスプレイ/BBE搭載MP3/WMAプレーヤー
バーテックス リンク「iAUDIO4」
発売日:2月末発売
実売価格:22,800円前後(256MB)


■ 巷で評判の新MP3/WMAプレーヤー

 今回取り上げるのは、韓国COWON System製のMP3/WMAプレーヤー「iAUDIO4」。HDDオーディオプレーヤーの低価格化もあり、個人的には最近シリコンオーディオプレーヤーには、新鮮味を感じていなかったため、最初に「124カラーバックライトLCD」など書かれたニュースリリースを読んだ時は、iTunes 4に名前を似せた「色物プレーヤー」かと思った。

 「光る」とか、「色が変わる」とか、ギミックが優先している製品市場というのは、いかにも市場的が飽和状態っぽいと思っていたのだが、発売後の「iAUDIO4」の市場での評判は高い。特に液晶の視認性や音質で高い評価を得ているという。聞けばこのCOWONの音質へのこだわりは結構知られているとのこと。またポータブルプレーヤーとしてはじめて高音質化機能の「BBE」を実装しているという。

 「iAUDIO4」の店頭予想価格は128MBが16,800円前後、256MBが22,800円前後。ボディカラーは128MBモデルがブラック、256MBモデルがシルバーとなっているが、今回テストしたのはサンプル機のため、シルバーの128MBモデルとなっている。


■ 角ばった独特のデザインを採用

同梱品

 同梱品は、ヘッドフォンやネックストラップ、ラインケーブル、USBケーブル、USB接続ジャック、本体ケースなど。

 本体は角を残したスクエアなデザイン。外形寸法は32×17×75mm(幅×奥行き×高さ)、重量33g(本体のみ)と比較的小型ではあるが、角ばっているため、ポケットの収まりなどはあまりよくない。

 液晶は128×64ドット表示の大型のもので、左側に再生曲名やビットレートなどのファイル情報を表示、右側に再生レベルや曲数、再生モードなどの再生情報を表示するという独特のもの。HDDプレーヤーを含め、他の追従を許さない情報量が一度に確認できるという優れもので、「色物」という印象はこの画面を見ただけで払拭された。

 操作ボタンは、本体上面に曲送り/戻りと、再生/一時停止を備えるほか、「MODE」、「REC」、「HOLD」を装備。曲送り/戻りはシーソーボタンで、保持すると早送り/戻しになる。また、底面にはMODEボタンを備えている。

 ヘッドフォン出力端子のほか、ライン入力端子も装備。さらに、マイクやFMチューナも内蔵している。

128×64ドット表示の液晶を装備。右側にアーティスト名や曲名、ファイル情報などを表示、左側に曲の進行状況やボリュームレベルなどを表示する 上部に再生/一時停止ボタンや曲送り/戻りスイッチ、MODE、RECボタンを備えている 下部にMENUボタンやボリュームボタンを装備する

背面 PCとのUSB接続時には、電池ケースを少し開く必要がある 電池は単4アルカリ電池

本体ケース装着時 ネックストラップも付属する


■ 良好な操作性と、豊富な再生機能

音楽再生時は「MP3 Player」モードを選択

 モードボタンを押すと、「MP3 Player」、「FM Radio」、「VoiceRecorder」、「Line-In Recorder」の4つのモードが表示される。音楽再生を行なうときは、MP3 Playerを選択する。

 オーディオプレーヤーとしては、MP3/WMA/WAVEに対応。ビットレートはMP3が8~320kbps(VBR対応)、WMAが20~192kbpsをサポートする。音楽再生モードの場合、液晶ディスプレイの左半分に左側に再生曲名やビットレートなどのファイル情報を表示、右側に再生レベルや曲数、再生モードなどの再生情報を表示する。

 曲名や再生状況を表示しながら、イコライザ設定や再生モードを階層をたどることなく確認できるので、非常に使い勝手がいい。HDDオーディオプレーヤーでも、これだけの情報を一度に表示できるものはほとんどなく、視認性はかなり高い。


PCからの転送はUSB経由で行なう。付属のUSB接続ジャックを利用したUSB接続も可能だが、電池ケースを少し開く必要がある JetShell for iAUDIO

 PCからの転送はUSB 1.1経由で行なう。USBストレージクラスに対応し、ファイルのドラッグ&ドロップもしくは、付属ソフトの「JetShell」を利用したオーディオ転送が可能となっている。ただし、USB転送時には、本体の電池カバーを開けてUSBコネクタを接続しなければいけないのがやや残念なところだ。

 操作体系は非常にシンプルで、本体上面の曲送り/戻り、再生/一時停止ボタンで基本操作が行なえ、下面のボリュームボタンで音量設定が行なえる。また、MENUボタンで、音質設定や、再生モード設定などを呼び出せる。

 曲順の表示は、ID3Tag V2/V1優先選択とファイル名順表示が選択できる。また、フォルダ階層表示にも対応。[MP3 Playerモード]時に、MENUボタンを長押しすると、[Navigation Mode]画面が起動。[MUSIC Files]を選択するとフォルダ表示され、任意のフォルダへの移動などが可能。また、本体内でプレイリストを作成する[Dynamic Playlist]機能も搭載し、MUSIC File画面で曲/フォルダを選択し、MENUボタンの[Add to List]から曲を追加していくと、パソコンを利用せずにプレイリストの作成が行なえる。

日本語表示に対応 再生中のMENUボタン長押しでフォルダ表示が可能。ボリュームボタンでファイルの選択、FF/REWボタンでフォルダ階層の移動が行なえる フォルダ表示を行なう[MUSIC Files]モード
曲やフォルダを選択し、Add Listsでプレイリストに追加 本体で作成したプレイリストを再生する[Dyanamic Playlist]機能 プレイリストを再生

 本体のみでのプレイリストの作成機能は、iPodのOn-the-Go機能などもあるが、シリコンオーディオプレーヤーで装備しているのは珍しい。実際に使ってみるとかなり便利な機能だ。機能は豊富だが、インターフェイスがよくできており、さほど戸惑うことなく使うことができた。


■ 音質は非常に良好。BBEも効果を発揮

付属のヘッドフォン

 iAUDIO4では、BBEやMach3Bassなどの高音質化機能を装備しているが、最初は全ての高音質化機能をOFFにして音を聞いてみた。まずは、解像度の高さが印象的で、初代iPodと比較すると高域の伸びに顕著な差があり、再生クオリティの高さが確認できる。若干腰高な印象もあるが、低域の再生性能も高く、バスドラやシンセベースの量感や実体感も申し分ない。

 付属のヘッドフォンは、後部が出っ張った独特のデザインだが、ポータブルプレーヤーの付属のものとしては、クセも無く高域の伸びが良い高品質なもの。とりあえず購入直後にそのまま使ってもほとんど不満を感じないクオリティを有している。

 また、高音質化機能「BBE」など6つのサウンドエフェクト機能を搭載。再生画面からMENUボタンを押し、[JetEffect]画面から、7モードのプリセットモードを備えた「5 Band EQ」と、中高音を補い位相補正を行なう「BBE」、低域の末端周波数を補う「Mach3Bass」、MP3圧縮時のロスを補完する「MP Enhance」、擬似サラウンドの「3D Surround」、「Pan」などが選択できる。

 もっとも特徴的なのはポータブルプレーヤーとしては初搭載となる「BBE」だろう。BBEはBBESoundが開発した高音質化技術で、中高域の位相補正などを行ない音の再現性を高めるという。iAUDIO4では10段階のレベル設定が可能となっているが、比較的低レベルでも、明らかな高域の伸びと解像感の向上が確認できる。

5Band EQを装備 BBEは10段階のレベル設定が可能

 アコースティックギターの弦の減衰が明瞭に感じられるなど、顕著な解像感の向上が得られるほか、レベルを上げるとエッジと艶が強調される。アタック感やボーカルのセパレーションも明瞭となるのだが、イコライザで無理やり持ち上げたような不自然な音の変化は無い。レベルを最大の10まで上げると高域のキラつきが気になるようにもなるが、レベル5程度までであれば、ONにしておいたほうが満足度は高いように感じる。

 クラシック系のソースなどでは、弦の響きなどがややキツくなる傾向もあるので好き嫌いは分かれるかもしれないが、艶やかな音作りが好みな人には、かなり魅力的な機能となるだろう。

 また、低域の不足を感じる際にはMach3Bassも効果的。これもBBEの技術を採用しており、いわゆる重低音強化系のエフェクトではなく、不自然な音の変化無しに低域の強化が図れる。MP Enhanceも自然に低域から高域が出力されるようになり、かなりの効果を感じた。


■ FMチューナやライン入力

FMラジオを選択

 モードセレクト画面では、「FM Radio」、「VoiceRecorder」、「Line-in Recorder」なども選択できる。

 「VoiceRecorder」では、内蔵マイクによりMP3形式での録音が可能。ビットレートは32/40/48/56/64/80/96/112/128kbpsから選択でき、32~64kbpsがモノラル、80~128kbpsがステレオになる。さらに、10段階のマイク感度設定も行なえる。


VoiceRecorder Line-in Recorder ボイス/ライン/FM録音は、MP3形式で32~128kbpsまでのビットレート選択が可能

 Line-In Recorderも同様に32~128kbpsでのMP3形式での録音が行なえる。ボイスレコーダと同様の10段階の感度設定が可能となっている。また、ライン入力音声からトラック間の空白を自動検出し、個別ファイルにするAuto Syncも0(OFF)~8までのレベル設定が用意されている。

FMラジオの録音も可能

 FMラジオは、オートスキャンで自動選局が行なえ、簡単にFM受信が可能。ライン入力録音などと同様に、32~128kbpsのビットレートでMP3形式で録音もできる。

 電池は単4アルカリ電池1本。カタログ値では連続15時間となっている。CeBIT出張からの帰国時にMP3を中心に連続再生したところ、約12時間強で電池が無くなったが、ハンブルグから東京までの飛行機中の連続再生ができた。ただし、3目盛りのうち2目盛りは3~4時間で減ってしまい、残りの1目盛りが9時間ぐらい、最後はいつ終わるか不安になりながら3時間ぐらいの再生ができるという感じで、バッテリの残量インジケータはあまり当てにならない印象を受けた。



■ シリコンプレーヤー市場では久しぶりのエポックな製品

 基本機能は充実しており、特に追加したい機能も思いつかない非常に良くできたMP3/WMAプレーヤーだ。音質も今まで利用してきたオーディオプレーヤーの中でもトップクラスで、今シリコンプレーヤー買うなら「これでいいかな」と思う。

 強いて難点を言えば、USB利用時の取り回しの悪さと、もう少しポケットに収まりの良いデザインにして欲しかったといった程度。

iAUDIO M3

 価格は256MBモデルで22,800円前後と、もう少しで4GB/20GBなどのHDDプレーヤーに手が届いてしまうが、HDDプレーヤーと比較すると大幅に小型軽量で、2、3本の交換電池があれば充電器などの追加装備なしに1週間程度の出張をこなせるなど、シリコンプレーヤーならではの魅力もある。さらに大型液晶による操作/視認性のよさはHDDプレーヤーと比較しても勝るとも劣らない。こうした意欲的な製品が登場したことを素直に歓迎したい。

 ちなみに、CeBITのCOWONブースでは、、HDDオーディオプレーヤーの発売もアナウンスされた。デザインも薄型で格好よく、しかも液晶リモコン付き。iAUDIO4の音質のよさを引き継いで、競争力のある価格で日本市場に投入されることを期待したい。


□バーテックス リンクのホームページ
http://www.vertexlink.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.vertexlink.co.jp/news/press/2004021902.html
□製品情報
http://www.vertexlink.co.jp/product/multimedia/iaudio/
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【2月19日】バーテックス、124色バックライトのWMA/MP3プレーヤー
-世界初のBBE搭載。1兆通り以上の音色バリエーション
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040219/vertex2.htm
【3月22日】【CeBIT 2004 ポータブルプレーヤー編】
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-各社がHDDオーディオプレーヤーを展示
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040322/cebit05.htm

(2004年3月26日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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