~ Right Mark Audio Analyzerを試してみる ~ |
RMAAのメイン画面 |
RMAAはすでにVer5.3とかなりのバージョンアップが繰り返されているようで、完成度も高そう。測定項目が多いにも関わらず、ファイルサイズがたったの480KBというのも感心するところ。
さて、インストール後、起動させるとアイコンがいっぱいの可愛らしい画面が登場する。ヘルプを用意していないので、どうするのだろうと最初戸惑ったが、ちょっと使ってみるとすぐに理解できた。まず、上に2つ並ぶのはドライバ名で、それぞれ出力と入力を意味している。デフォルトではWave mapperとなっているが、測定したいオーディオインターフェイスのドライバを選べばいい。またその右は、サンプリングビットとサンプリングレートの設定だ。
また、左中央に並ぶチェックマークは、どの測定を行なうかを表している。上から順に以下の6種類ある。
したがって、本連載と同じ実験をするのが、一番左側のループバックボタン方式になるわけだ。
これを押せば即測定に入る。しかし、その前にやはりレベル調整が必要になる。それが、右側にあるAdjust I/O levelsというボタンだ。もちろん、これを使ってもいいのだが、一番手っ取り早いのはWIZARDボタンを押す方法。これならば、指示に従うだけで、簡単に操作ができてしまう。
WIZARDでは、まず一番下に並ぶアイコンと同様に、どの方式の測定を行なうかの選択画面が出てくる。ここでは、デフォルトのループバックを選択しておく。次に、オーディオインターフェイスの選択および設定画面が出てくるので、測定したオーディオインターフェイスのドライバを選ぶとともに、その右側で、再生時および録音時のサンプリングビット、サンプリングレートを設定する。
また、下には「Use WDM drivers(if possible)」、「Use DirectSound」というチェックがあるが、通常はWDMを設定しておくといいだろう。もし、WDM対応でないドライバの場合には、DirectSoundにチェックしておこう。
WIZARDメニューにはレベル調整も含まれる | オーディオインターフェイスの選択と、サンプリングビットやサンプリングレートを設定する |
次に進むと、「ケーブルを入出力で直結させよ」といった旨のメッセージが出てくる。接続した後に次の画面に行くと、2つの画面が表示されるとともに、オーディオインターフェイスからは“1kHzのサイン波”とわかる音が左右順番にピピッ、ピピッ……と繰り返し鳴る。
ここでレベル調整を行なうのだ。レベル調整を行なう要素があるオーディオインターフェイスの場合、ここで手動で調整すると、レコーディングレベルが変化する。この際、このソフトでは-1dBになるように調整する。もし、そこを外れるようだと、下の「Done」というボタンがアクティブにならず、測定へと進めない。
1kHzのサイン波が鳴り、レベル調整を行なう。-1dBになるように調整しないと測定には進めない |
スロットと呼ばれる4つの保管場所に実験結果が並べられる |
これで準備は完了、Doneボタンをクリックすると、オーディオインターフェイスからはいろいろなテスト音が鳴り出すとともに、30秒もすると実験が終了し、どのスロットに結果を置くかの画面が表示される。
このRMAAでは、4つのスロットと呼ばれる保管場所があり、そこに複数の実験結果を並べられるようになっている。ここで、名前も付けてOKをクリックすると、もうこれで終了。結果が画面に表示される。
が、やはり、これだけでは何のことやらよくわからない。そこで、右側にあるグラフのボタンを押すと、それぞれの結果がグラフで表示される。これを見ると、かなりしっかりした結果表示がされている。周波数特性が瞬間的に測定できてしまっているのは、スウィープ信号ではなく、ピンクノイズを用いているためのようで、そのほうが速いし、ある意味では正しい結果なのかもしれない。
周波数特性 | ノイズレベル | ダイナミックレンジ |
THD:全高調波歪率 | IMD:相互変調歪率 | ステレオクロストーク |
■ カードの評価機能も搭載
さらに、このソフトがすごいのは、結果をまとめたレポートをHTMLファイルに生成できることだ。Make HTML reportというボタンを押すと、瞬時にグラフを埋め込んだHTMLファイルが作られ、それぞれの項目についてExcellent、Very Good、Poorなど、簡単な評価も得られる。いかにもベンチマークテストという感じで楽しむことができる。ここでは、先日扱ったEMU-1820mと、EDIROLのUA-1000で実験を行なってみたが、それぞれのHTMLファイルを見ると、その違いも見えてくるだろう。
EMU-1820mの結果 | UA-1000の結果 |
Audio.Rightmark.Orgのサイトにいくと、さまざまなオーディオインターフェイスでの結果が、このレポート形式で掲載されているので、自分のものと比較してみるのも楽しみ方の1つだ。
これまで、Digital Audio Laboratoryで行なってきた実験結果と比較すると、やはり近い結果になっているが、ノイズレベルなどは見せ方が違い、どちらにも一長一短ある。また、横軸のスケールのとり方にも違いがあるので、どちらが絶対的にいい方法だとはいえないが、RMAAの方式もかなりよくできていることは間違いない。今後、ほかのオーディオインターフェイスを評価する際には、両方の方式を使うことも検討したい。
□Audio.Rightmark.Orgのホームページ(英文)
http://audio.rightmark.org/
□RMAAのダウンロードページ(英文)
http://audio.rightmark.org/download.shtml
□テスト結果の掲載ページ(英文)
http://audio.rightmark.org/results.shtml
(2004年4月26日)
= 藤本健 = | ライター兼エディター。某大手出版社に勤務しつつ、MIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。最近の著書に「ザ・ベスト・リファレンスブック Cubase SX/SL」(リットーミュージック)、「MASTER OF REASON」(BNN新社)などがある。また、All About JapanのDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも勤めている。 |
[Text by 藤本健]
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