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第149回:“最後の大物”、ようやくDVDに
「スター・ウォーズ トリロジー DVD-BOX」

怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 箱絵のダース・ベイダー最高!!
スター・ウォーズ トリロジー
DVD-BOX

C)2004 Lucasfilm Ltd. & TM.
Used Under authorization.
価格:9,975円
発売日:2004年9月23日
品番:FXBA-27233
仕様:片面2層4枚組み
収録時間:本編約389分(3作品)
     特典約241分
画面:シネマスコープサイズ(スクイーズ)
音声:ドルビーデジタルEX(英語)
   ドルビーデジタルEX(日本語)
発売元:20世紀フォックス

 「ようやくDVD化されたか」……多くの方が同じ思いではないだろうか。かつての大作が次々とDVD化される中、スター・ウォーズ旧3部作だけはいつまでも音沙汰がない。このままだと次世代パッケージメディアが発売され始めてからおもむろに出るのでは……とAVファンがやきもきする中、米国から伝わったのは「2004年9月発売」のニュース。こりゃ久々に米国盤でも予約するかと考えていると、すぐに日本でも発売日が9月23日と決定、胸をなでおろしたものだ。

 発売された「スター・ウォーズ トリロジーDVD-BOX」は、いわゆる旧3部作と特典ディスク1枚をセットにした4枚組み。税込みで9,975円と気軽に手を出せる価格ではないが、1枚あたり約2,494円と考えると、ほどほどに廉価といえる。

 BOXは内箱と外箱で構成され、外箱の片面、背表紙から見て右側の面には、主要キャラクターたちがレリーフ調にデザインされている。細かいエンボス加工も施され、高級感は十分。一方、反対側はダース・ベイダーのアップ。こちらもすばらしい出来で、ファンならこのデザインだけで惹かれることだろう。

 ただし、ビニールを破ると内箱、外箱ともに紙が薄く、ペラペラなのが気になった。無造作にディスクの出し入れをすると、すぐに端が破れそうだ。意匠が優れているだけに、箱の劣化が気になって仕方がない。エイリアントリロジーなど、大作のBOXにはガッシリした外箱のものが多いが、それらに比べると、取り扱いには多少気を使いそうだ。指紋が残りやすいのも、人によっては気になるかも知れない。

 ディスクはデジパックではなく、1枚ずつトールケースに入っている。ケースはクリア素材で、すわ「単品発売、またはレンタル用への布石か?」と勘ぐったものの、よく考えるとエピソードI/IIにそっくりなデザインでもあり、並べて置くことを考慮したものだろう。制作側のこだわりを感じた。

 結局、弱々しいBOXから各巻を出し、エピソードI/IIと並べることにした。エピソードIIIも同じようなデザインで発売してほしいところだ。

各巻のジャケット



■ 丁寧なリマスターでよみがえった高画質

 今回はDVD-A11とLP-Z2をDVIで接続、100型16:9スクリーンで鑑賞した。映像は各話ともシネマスコープサイズでスクイーズ収録となっている。

 各話ともCGや音声を追加した'97年公開の「特別篇」をもとにしているようで、さらにDVD版ならではの変更もいくつか見受けられる。特別篇と見比べたわけではないのではっきりと断言できないが、何点かの変更が確認できた。これから見る人のためにも明言は避けるが、ファンなら細かくチェックするのも楽しいだろう。

 まず、エピソードIV「新たなる希望」について。'77年の公開とあって画質には期待していなかったが、これが驚くほどきれい。最近の作品に比べるとにじみやダイナミックレンジの狭さが気になるが、撮影された時代を考えると、十分シャープでクリアだ。MPEGノイズもほとんど気にならない。CGで書き直されたジャバ・ザ・ハットも重厚感になり、ライトセーバーの色も以後の作品のイメージに近い修正が施されている。

 ストーリー展開は'70年代の作品とは思えないほどテンポが良く、スリムで無駄のないストーリー運びに恐れ入った。その後のアクション作品に大きな影響を与えた部分だ。また、多くの映画やゲームに影響を与えた最大の山場、デス・スター攻略における一連のシーケンスは見せ方がすばらしく、改めて感心した。動きの早いシーンだが画質面でも特に問題なく、初めて見たときの感動を呼び覚ましてくれるだろう。DVD Bit Ratge Viewerで見た平均ビットレートは7.64Mbps。

DVD Bit Ratge ViewerでみたエピソードIVの平均ビットレート

 エピソードV「帝国の逆襲」では、エピソードIVよりピントがしっかりとあい、抜けもよくなっている。階調も豊かで、ダース・ベイダーの黒いコスチュームの微妙な階調差も美しい。雪一面の惑星ホスでも、ダイナミックレンジの狭さはさほど感じない。シーンによっては最近の洋画ディスクを見ているかのような錯覚に陥ることも。今回のBOXでは最も画質の良いディスクだ。DVD Bit Ratge Viewerで見た平均ビットレートは7.5Mbps。

DVD Bit Ratge ViewerでみたエピソードVの平均ビットレート

 最も近作のエピソードVI「ジェダイの帰還」だが、総合的な画質はエピソードVに劣る印象。若干ピントが甘く、解像不足に感じるシーンも多い。また、ダイナミックレンジが狭く、普通の設定で見ると、スター・デストロイヤーなどのメカは白とび気味で、暗い部分はべたっとしてにじみが目立つ。

 しかし、DVD-A11でガンマカーブを変更すると、それなりに階調が残っていることが判明。納得いく立体感を出すことが可能だった。MPEGノイズもあまり感じられず、念入りに調整すれば、それなりに満足できる画質が得られる懐の深さは持っている。平均ビットレートは7.18Mbps。

 特別篇との違いがはっきりしているのもこの作品の特徴。ランコアはリアルになり、素顔のベイダーはエピソードIIのアナキン・スカイウォーカー役、ヘイデン・クリステンセンを思わせる青い瞳に。ヘイデン自身も重要なシーンに出ているので確認してほしい。

 ちなみに、今回のBOXでは、サブタイトルが正式に「ジェダイの帰還」になった。邦題としては「ジェダイの復讐」の方が馴染み深いが、これは米国公開時のプロモーション開始時の原題が“Revenge of the Jedi”だったため。米国では公開までに現在の“Return of Jedi”に変更されたが、国内では「復讐」で通ってしまったらしい。

DVD Bit Ratge ViewerでみたエピソードVIの平均ビットレート

 音声は英語、日本語ともにドルビーデジタルEX。オリジナルはステレオあるいはモノラルで、エピソードIVはいち早くドルビーステレオ(Aタイプ)を採用、普及を加速させたという。DVDファンには、劇場版エピソードIにおけるドルビーデジタルサラウンドEX(SRD-EX)の採用がよく知られているが、最新の劇場音声フォーマットとスター・ウォーズの結びつきは昔から強かったようだ。

 DVD-BOXのディスクリートサラウンドは、オリジナルトラックを使用し、THX準拠に編集したという。作業には、オリジナルの音響効果を担当したベン・バートも関わっている。

 サラウンドとしては平凡で、最近のアクション大作のようなあざとさはあまりない。もちろん、ライトセーバーやブラスターの独特の音は健在。ただし、エピソードI/IIに比べると切れがなく、移動感はもう1つ。特にライトセーバーは「こんなものだっけ?」と拍子抜けするかもしれない。それだけエピソードI/IIの音響効果が派手かつ緻密になったということだろう。それでもミレニアム・ファルコン号が頭上を抜けるシーンなど、サラウンドの威力を感じる場面も多い。

 本編ディスクには音声解説も含まれている。出演は、3作品ともジョージ・ルーカス(監督、製作総指揮など)、ベン・バート(音響効果)、デニス・ミューレン(視覚効果)、キャリー・フィッシャー(レイア・オーガナ姫役)。加えて、エピソードVには監督のアービン・カーシュナーが参加する。聞き所はルーカスが披露する新3部作への複線だろうか。数々のシーンで新3部作との関連を明かす。また、いまや大御所中の大御所となったデニス・ミューレンが、手探りでストップモーションを工夫した話など、アクション映画のファンなら興味は尽きないだろう。



■ プロジェ○トXのような熱い特典

 特典ディスクには計240分ものコンテンツが収録されている。一部の静止画コンテンツを除き、すべてスクイーズ収録だ。

 圧巻は、2時間を越えるドキュメンタリー「夢の帝国 スター・ウォーズ・トリロジーの歴史」だろう。音声解説に参加した上記のメンバーに加え、スティーブン・スピルバーグ(映画製作者)、ゲイリー・カーツ(プロデューサー)、リチャード・チュー(編集)、ラルフ・マッカリー(コンセプト・アーティスト)、ハリソン・フォード(ハン・ソロ)、マーク・ハミル(ルーク・スカイウォーカー)、ピーター・メイヒュー(チューバッカ)、ケニー・ベイカー(R2-D2)など、そうそうたるメンバーが集う。

 主題は、ルーカスがいかにして「製作の独立を守り通したか」という内容。エピソードIVでスタジオとの折衝に懲りたルーカスは、ギャラよりも続編の権利を重視し、さらに当時効能が知られていなかったマーチャンダイジングの権利を得るなど、独自の手法で自分の物語を守ろうとする。次から次へと問題が降りかかる中、一作一作ごとの目先の利益ではなく、長期的視野に立った製作を貫くルーカスに感心してしまった。

 また、今をときめくILM、スカイウォーカーサウンド、ピクサー、THXといった、AVファンにはおなじみの名前が、スター・ウォーズシリーズから出立していることも解説されている。

 この種のドキュメンタリーとしては破格の長さだが、散漫さはなく、最後まで集中して観ることができた。すでにほかの資料で語られた内容も多いが、こうした形でまとまっているのは面白い。ファンなら一度目を通す価値はあるだろう。

 そして見逃せないのが、エピソードIIIのメイキング映像を収めた「エピソードIII プレビュー:ダース・ベイダーの誕生」。全エピソード中、最も重要なシーンと思えるアナキン対オビ=ワンの戦いをちょっとだけ見せてくれるもの。また、エピソードIIIをテーマにしたゲームのメイキングも収録されているが、これは今回のBOXで初めて公開されたものだという。

 そのほか動画コンテンツとしては、インタビュー中心の「フォースと共に:スター・ウォーズが遺したものの」、「スター・ウォーズのキャラクターたち」、「ライトセーバー秘話」などを収録。静止画としては、ポスター集、フォトギャラリーも収めており、ボリュームに不満はない。

 ただ、熱心なファンの多い作品なので、これまでの設定の集大成とも言える、思いっきりマニアックな図鑑のようなコンテンツ、例えばクリーチャーやドロイド、各惑星の解説コンテンツなどがあっても良かったと思う。また個人的には、やぼといわれようが、オリジナル、特別編、DVD版の違いを公式に解説したコンテンツもほしかった。



■ エピソードIIIの予習にもどうぞ

 あまり画質の向上が感じられないリマスターの多い中、ルーカスフィルムはこのBOXについて、「1作品あたり7,000万から1億箇所のごみを取った自信作」と、クオリティへのこだわりを強調している。

 実際に鑑賞したところ、確かにそれだけの手間ひまをかけた価値を認めざるを得ない。画、音、特典のクオリティは十分納得できる出来映えで、ファンなら文句なしで買いだろう。エピソードI/IIしか見たことのない若いファンにも、エピソードIIIを見る前にぜひ見てほしい。

●このDVDについて
 購入済み
 買いたくなった
 買う気はない

前回の「イノセンス」のアンケート結果
総投票数1,459票
購入済み
846票
58%
買いたくなった
488票
33%
買う気はない
125票
9%

□20世紀フォックスのホームページ
http://www.foxjapan.com/
□関連情報
【9月14日】20世紀FOX、「スター・ウォーズ トリロジーDVD-BOX」イベント開催
-THXディレクターやC-3PO役アンソニー・ダニエルズ氏も来日
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040914/20cfox.htm
【4月27日】「スター・ウォーズ」旧3部作のDVDが9月23日に日本発売
-4枚組みで9,975円、単品発売はなし
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040427/20cfox.htm
【2月13日】DVD「スター・ウォーズ トリロジー」日本盤も発売決定
-旧3部作を収めたDVD-BOX。米国盤と同じく9月に発売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040213/20cfox.htm
【2月12日】「スター・ウォーズ」旧3部作のDVDが9月21日に米国発売
-特典ディスクを加えた4枚組みのBOX、日本盤は未定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040212/starwars.htm

(2004年10月5日)

[AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]


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