ニュース
AbemaTVは209億円の赤字も「'18年度はもっとコストを使い、売上を増やす」
2017年10月27日 07:45
サイバーエージェントは26日、2017年度通期連結決算を発表した。売上高は過去最高の3,713億円、営業利益は307億円となったが、同社が注力している映像配信サービス「AbemaTV」の'17年度赤字は209億円となっている。なお、AbemaTVを除くと、既存事業の営業利益は516億円で過去最高。
AbemaTVは成長への「投資期」と位置付けており、「ゲーム事業の収益が好調なうちに、積極的に投資していく」と説明。2018年度も200億円規模の投資を続けていく。
'18年度の通期売上高予想は、4,200億円、営業利益300億円。AbemaTVの赤字も'17年度と同じく200億円を見込む。「社内ではパンプアップと言っているが、コストはもっと使うが、売り上げも同時に増やしていく。結果的に赤字額を横ばいとしている」(藤田晋社長)。
AbemaTVを中心としたメディア事業の売上高は256億円。マッチングアプリの好調により増収基調になっているという。営業損益はマイナス185億円で、うち、AbemaTVがマイナス209億円となっている。
AbemaTVのアプリダウンロードは2,200万。「広告費はほとんど使っていないが大きな番組や動員力のあるタレントのキャスティングで、ユーザーが増えている。順調に拡大している」とのことで、月間アクティブユーザー(MAU)が1,000万弱に迫っている。同社では週間アクティブユーザー(WAU)1,000万を「メディアとしてビジネスが成立する規模」と目標に掲げているが、「ヤマはあるが500万前後まで来た。“亀田に勝ったら”、“藤井棋士”などで大きく伸びたが、来週の元SMAPの3人の“72時間ホンネテレビ”で、大きくベースアップすると考えている」(藤田社長)という。
サービスレベルは安定してきたため、今後はコンテンツ編成を強化。21時台を「ゴールデンナイン」と位置づけ、リアリティショーなどを強化。10月8日には安倍総理がAbemaTVに出演。「メディアに社会性を付ける意味でも大きな出来事になった」と語った。
また、18～24歳、25～34歳などの若者だけでなく、全年代でユーザーが増えていること、さらに、女性比率もほぼ4割まで向上したことを紹介。「あと10%女性を伸ばしたい。恋愛リアリティショーやドラマに力を入れている」とした。
藤田社長は「開始から1年半。なんとかなりそうだと手ごたえを感じている。さらに製作費を増やして、収入も増やしていくパンプアップ時期。減益予想を出しつつ、引き続き投資していく」と、'18年度もAbemaTVに投資を続ける方針を強調した。
コンテンツ強化策としては、話題性のある番組を続々投入。11月2日からは72時間生放送を行ない、「AbemaTVの記録を更新するのは間違いない」とする。また、テレビ朝日と協力し、「報道STATION」や「羽鳥慎一モーニングショー」などを継続放送する。
オリジナルドラマの制作にも着手。「コストがかかるうえに簡単に当たる分野ではないが、期は熟した。第1弾の“#声だけ天使”を'18年1月から放送する。第2、3弾も決まっているが、キャスティングから全てオーディションで選ぶので、今のテレビのドラマとは違ったものになる」とした。また、「今日、好きになりました」、「恋する❤週末ホームステイ」、「田村淳の100日で青学一直線」など、若者向けのリアリティショーを続々投入する。
広告展開もいよいよ強化。現在のCM完全視聴率は80%で、AbemaTVは「テレビを見ていない層にリーチできるメディア」として、広告主からの反応も良く、手ごたえを得ているという。またAbemaTVを軸に、アニメファンドへの投資やプロレス団体DDTの買収など、M&Aも強化。AbemaTVとのシナジーが見込めそうなもののに投資を続ける。e-spotrs配信もその一環で強化していく方針。
藤田社長は、「同じようなビジネスモデルはもう出てこない。パイオニアとしてAbemaTVを確立して、マスメディアを目指す」とした。また、新たな事業領域としてはマッチングアプリなども強化していくほか、esportsに注力。esports大会の「RAGE」やゲーム配信プラットフォームの「OPENREC.tv」(CyberZ運営)のユーザー数(MAU)も160万を突破した。
中長期的な柱としてAbemaTVを育てるという方針は、2018年度も継続。好調な広告や、人気タイトルをもつゲーム事業もシェア拡大を目指す。