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UHD BDの推奨表記は「4K Ultra HDブルーレイ」。2020年にUHD世界最大市場へ

 デジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン(DEGジャパン)は21日、「4K Ultra HDブルーレイ コンベンション」を開催し、Ultra HD Blu-ray(UHD BD)推進に向けて業界横断の取り組みを説明。“推奨表記”として、「4K Ultra HDブルーレイ」を提案した。

 DEGジャパンは、映像コンテンツメーカーや機器メーカーら32社がデジタルエンターテイメント普及において協力する業界団体。これまでも、Blu-rayやデジタルコンテンツ配信における共同プロモーションやロゴの統一などに取り組んでおり、例えばBDの共通スローガンの策定やBD/DVDのコンボ商品のアイコンを各社で統一するなどの活動を行なってきた。

 DEGジャパンの川合史郎会長は、DEGの活動を紹介しながら、2015年に日本国内におけるBDの売上高がDVDを超えたことに言及。「日本だけが、BDがDVDを超えたマーケット」と語り、DEGの活動の成果を強調し、2019年にはBDレンタルも世界一に、20年にはBDのセルも世界一になるとの見通しを示した。

DEGジャパン 川合史郎会長
加盟企業

 その根拠として挙げたのは、サッカーワールドカップやワールドカップラグビー、元号の変更、東京オリンピックなど“43兆円”規模の特需があり、そのすべてが映像に関わる、ということ。「2020年に(日本を)世界最大の4K Ultra HDブルーレイ市場にする」と意気込みを語った。

BDシェアがDVDを超える
世界最大市場に

 GfK Japanの合井 隆人アナリストは、UHD BD関連の市場動向について説明。テレビ市場は2020年に向けて拡大基調で、1,000万台規模となると予測。その起爆剤が4Kで、'17年には薄型テレビ販売の1/3が4Kとなる見込みだ。また、画面サイズも拡大傾向で、55型以上はほぼ4Kとなっており、「この伸びはコンテンツにも影響を与える。4K、大画面化によりUHD BDの潜在ユーザーが拡大している」と語る。

GfK Japan 合井隆人アナリスト

 タイトル数も10月末時点で120を超えて、ハードウェア、ソフトウェアともに大きな伸びを見せている。合井氏は、「この関係はハイレゾイヤフォンとコンテンツの関係に似ている」として、近年大きな伸びを見せたハイレゾ関連市場と同様の拡大が、4KテレビとUHD BDにおいて見込まれるとした。

4K Ultra HDブルーレイディスク一覧

 DEGジャパン コンテンツ部会 4K Ultra HD ブルーレイ推進委員長の久保田啓文氏は、UHD BD推進の取り組みとともに、推奨表記を発表。「4K Ultra HDブルーレイ」という表記をDEGジャパンでは推奨していく。久保田氏は、「ULTRAが大文字だったり、ブルーレイが英文だったりと、各社で異なっている。すでに表記を決めて展開してる会社もあるので、あくまで推奨例として、この表記を決めている」とした。なお、AV Watchでは現時点では、「Ultra HD Blu-ray(UHD BD)」という表記にしている。

4K Ultra HDブルーレイを推奨表記に

 また各社の一押しコンテンツも紹介した。

 ワーナーブラザーズは、22日発売の「銀魂」をアピール。「SDRで作っていたが福田雄一監督とカラーグレーダーの方に集まっていただき4K/HDRで作品化。すべてのシーンがより広い明るさの幅をもった。殺陣のシーンは100nitsから、500nitsまで効果を高め、シャープさを強調した」とコメント。

銀魂

 KADOKAWAは同社初のUHD BDとして、小松左京原作、深作欣二監督による大作「復活の日 Ultra HD Blu-ray」を12月20日に発売。20世紀FOXは、コブラ、あしたのジョー2などの名作アニメ作品のUHD BD化を紹介し、「名作が鮮やかによみがえる。これまでで最も美しい矢吹 丈、生きているアニメーションを体験いただけるはず」と語った。

復活の日
コブラ
彩(IRODORI)にっぽん 4K HDR紀行 Vol.1

 ビコムは、4K/HDR収録の「彩(IRODORI)にっぽん 4K HDR紀行 Vol.1」を12月20日に発売。4K/HDRで東北や沖縄の豊かな自然や街並みを収録し、“UHD BDのみ”で発売する。

各社の4K/HDRテレビで、4K Ultra HDブルーレイを体験

UHD BDは300点と堀田さん。「我々が死ぬまではパッケージを」と樋口監督

 会場では、映画監督の樋口真嗣さんとAV評論家の麻倉怜士さん、女優やモデルとして活躍中の堀田茜さんによる4K Ultra HD ブルーレイ鑑賞のためのトークショーも開催された。

樋口真嗣監督

 麻倉氏は、「UHD BDでは、すべての画質要素が向上している。解像度だけでない、色再現性、コントラスト、階調がよくなった。4K/HDRの映像配信も始まっているけれど、画質は全く違う。配信のビットレートは10数Mbps、一方のUHD BDは最大108Mbps。画面が大きくなれば大きくなるほど、画質に違いが出てくる。大画面時代にはUHD BDが必要」と語った。

 樋口監督は、「いままさに『精霊の守り人』を4K/HDRで制作していますが、麻倉さんがいっているように、情報量が多くて、処理するのに時間がかかるので、無理やり抜け出しきた次第」と制作側の苦労とともに挨拶。

 映画好きという堀田さんは、「最近BDで見たのはラ・ラ・ランド、マリアンヌなど。ブルーレイですが、本当にリアリティある映像で、繊細でおどろいた」とコメント。

堀田茜さん

 樋口監督の事務所を訪れた麻倉氏は、「天井のスピーカー、Dolby Atmosとか、マニアですよね?」と問いかけると、樋口監督は「残念ながらそうですね。いろいろ買うわけですよ。一生懸命仕事したら監督になっていた。高画質だったり、高音質とか、LDの時代から、30年間、稼いだお金つぎ込んでいますから。昔は、レーザーディスクじゃないとワイドスクリーンのスターウォーズが見れなかった。昔は左右が切れていた」などと語ると、麻倉氏も「サウンド・オブ・ミュージックの左右が切れて子供が5人だと思っていた……」と、マニアックな昔話をして、堀田さんが困惑の表情に……

 樋口監督は、「何回スターウォーズを買えばいいんだ。もう買わないぞ、と思っていたけれど、ブレードランナーが出たので、プレーヤーを持っていないのにUHD BD付きのソフトを買った。ラ・ラ・ランドも買ったら付いていた。どんどん出てきたので、とうとう観念してプレーヤーを買った。そうしたらまたディスクを買いなおさなければいけない(笑)。年末には(クリストファー)ノーランの旧作がガンガン出るし……」と続け、「ラ・ラ・ランドは8回映画館に行ったけれど、UHD BDで見ると、エマ・ストーンがここまで細かく“目”で演技しているのか、とかがわかる。細かいところが、劇場より見えてしまう。顔の芝居の情報量が違う」と監督目線でもUHD BDの魅力を解説した。

 堀田さんが「昨日見たばかり」というマリアンヌのBDとUHD BDを比較視聴。映像が表示されるや否や、堀田さんは、「すごい。浮き出て見える。街灯の光りが全然違いますね。全然。さっき、BDがすごい精細で、といったばかりですけど……」と驚いた様子。映画とBD/UHD BDの比較では、「衣装とかがかわいいと写真を撮るので、家で見たほうがいいですね。UHDだと、素材とか布の反射とかが全然違います」と語り、映画を100点とすると、「BDが120点、UHD BDは300点」と評価した。

マリアンヌのUHD BDを体験

 樋口監督は、「人を家に呼んだ時に、これ持っているんだとか、この映画をどれぐらい好きかをアピールするためにパッケージを買う。廉価版じゃなくて、初回限定BOXを買う。なので、素晴らしいものを出して続けてほしい。我々が死ぬまでは、パッケージを出し続けていただいて、出る以上は買い続けたい。映画を作る側でも、ごまかしがきかずに、映像づくりの取り組みが変わってきている。ちゃんとしたものじゃないと残らないので、作る側からも刺激になる」と語った。

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