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Arm、モバイルで8K/60fps再生対応のVPU「Mali-V76」。VR/ゲーム向けGPUも

 英Armは、モバイルデバイス向け最新CPU「Arm Cortex-A76」と、GPU「Arm Mali-G76」、ビデオプロセッサ「Arm Mali-V76」を発表した。ゲームや拡張現実(AR)/仮想現実(VR)、人工知能(AI)/機械学習(ML)などの処理性能向上に加え、モバイルデバイスで4K/8KのUltra HD映像視聴体験も向上させるという。

 ビデオプロセッサのMali-V76は、最大60fpsの8Kデコードに対応。4K/60fpsストリーミングの4倍の帯域幅が必要なため、AXIバスをさらに追加し、スループット能力を2倍に拡大した。ビデオ・パイプライン全体を通じ、ラインバッファも4,096から8,192へと2倍にした。ラインバッファは1直線のピクセルを取り扱い、8Kラインは4Kラインの2倍の幅としている。

 さらに、Mali-V76は初めて8Kのエンコードにも対応。現時点では30fpsとしており、「より素晴らしいリアリティをお見せできるのは、もう少し先のこと」としている。

 60fpsの4画面4Kストリーミングも行なえ、映画などの4Kコンテンツを4画面で同時再生できるほか、ビデオ会議をしながらの録画や、4つのゲームを4Kで視聴することなどが可能。フルHDの場合は最大16画面のストリーミングを同時に実行でき、中国市場などで人気の使用事例として、4×4のビデオウォール作成などに対応する。

 Cortex-A76は、前モデルと同じv8.2アーキテクチャをベースに、パフォーマンスと電力効率の両立を図った、新しいマイクロアーキテクチャを採用。DynamIQとbig.LITTLEの組み合わせによる、第2世代プレミアムコアと位置付けられている。

 現行世代比で35%増のパフォーマンスを達成するとともに、電力効率が40%向上。Cortex-A76ベースのラップトップPCは、現行世代のArmベース製品と比べて、2倍のパフォーマンスを実現しながら、バッテリ駆動時間も大幅に長くなるという。

 Mali-G76は、ハイエンドモバイルゲームからMR(複合現実)まで、最高のユーザー体験を実現できるよう設計。エリアサイズ当たりのグラフィックス性能を30%向上させると同時に、電力効率も30%向上。従来のMali-G72と比べて最大2.7倍の機械学習演算性能を発揮するという。「長時間のモバイルゲームや電力消費の激しいAR/VRも、これまで以上に現実的な選択肢となる」としている。