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麻雀をプロスポーツ化「Mリーグ」。“ゼロギャンブル宣言”で五輪正式種目へ

 サイバーエージェントの藤田晋社長を代表理事(チェアマン)とする、麻雀の国内プロリーグ「Mリーグ」が発足。2018年10月1日の開幕に向けて記者会見が行なわれた。最高顧問に就任した川淵三郎氏や、藤田チェアマンのほか、ゲストとして俳優の田中圭さん、本郷奏多さんも来場した。

Mリーグが10月に開幕。田中圭さんと本郷奏多さんがゲストで登場

 オンライン麻雀の普及や、対戦の視聴が可能なインターネット動画配信の登場、eスポーツのプロ化などを背景に、競技麻雀の普及と発展へ向けて、麻雀のプロスポーツ化を目指して一般社団法人のMリーグ機構が設立。サイバーエージェント傘下のAbemaTVで24時間配信している「麻雀チャンネル」は、AbemaTVの根幹となる人気チャンネルに成長したという。なお、麻雀は2022年の北京冬季オリンピックに向け、国際麻雀連盟がIOCへ室内競技の正式種目として申請している。

Mリーグのロゴ
リーグの目的

 10月のMリーグ開幕に向けて、発足時点で7チームが加盟。コナミアミューズメントによる「KONAMI 麻雀格闘倶楽部」や、サイバーエージェントの「渋谷ABEMAS」のほか、テレビ朝日、セガサミーホールディングス、電通、博報堂DYメディアパートナーズ、U-NEXTが参加している。

現在加盟している7チーム/企業
ユニフォームの例
上映されたイメージビデオは、スポーティーで躍動感のある印象

 試合数は初年度1チームにつき80試合。赤牌、裏ドラありで、自動配牌卓を使用。リーグ戦で上位4チームが勝ち上がり、クライマックスシリーズ(プレイオフ)で優勝を決定する。Mリーグは全試合AbemaTVで配信する。初年度優勝の賞金は5,000万円。詳細なルールはMリーグのサイトで案内する。

 登録選手は各チーム3人。主要5団体いずれかに所属するプロ雀士から、ドラフト会議を経て所属選手(Mリーガー)を決定する。選手は試合でユニフォームを着用する。ドラフト日は8月7日で、その模様はAbemaTVで生中継される。なお、参加選手の賭博行為は禁止されている。

【参加企業・チーム】
コナミアミューズメント「KONAMI 麻雀格闘倶楽部(ファイトクラブ)
サイバーエージェント「渋谷ABEMAS(アベマズ)」
セガサミーホールディングス「セガサミーフェニックス」
テレビ朝日「EX風林火山(イーエックスフウリンカザン)」
電通「TEAM RAIDEN/雷電」
博報堂DYメディアパートナーズ「赤坂ドリブンズ」
U-NEXT「U-NEXT Pirates」

「ゼロギャンブル」でオリンピック正式種目化へ

 藤田氏はリーグ発足の理由について、自身の麻雀との深い関わりに触れつつ説明。大学生の頃にのめり込み過ぎて留年してしまった過去や、サイバーエージェントを立ち上げた後も企業対抗戦などを経て、プロも参加する「麻雀最強戦」で優勝したことなどを振り返り、「ゲームとしての面白さもさることながら、仕事や人生における多くの気付きを得た。極限の集中力、判断力、論理的思考、勝負勘、精神力など、会社経営のスキルにも通じる。ビジネスに必要なことは全て麻雀から学んだと言っても過言ではない。その育ててくれた麻雀に恩返ししたい」と述べた。

藤田晋チェアマン

 Mリーグが目指すのは「麻雀のプロスポーツ競技化」と「麻雀のパーセプション(認知/イメージ)チェンジ」。

 現在プロ団体に所属するプロ雀士は国内で数千人とされるが、博打のイメージが強いことやルールの複雑さなどで社会的地位の向上が進まないという課題があった。一方で2017年4月に麻雀が、チェスや囲碁と同様に「国際マインドスポーツ」として認定されたほか、高齢者などの認知機能低下予防や能力開発に役立つ可能性があるという研究も発表されている。

諏訪東京理科大の篠原菊紀教授などによる、麻雀に関する研究

 Mリーグの調査によれば、麻雀をプレイする場所・ものについて、スマホアプリが47.3%で最も多く、続いてネットゲームが38.6%となり、雀荘(25.2%)や自宅(22.3%)を大きく上回っていることから、賭け事とは異なる「e-麻雀時代の到来」と説明。同調査では若者や高齢者の方が、30~50代に比べて関心が高いことも示しており、最近では子供向けの麻雀教室や地域のコミュニケーションも注目されているという。

 健全化への施策として「Mリーグゼロギャンブル宣言」も発表。Mリーグと選手は賭博行為に一切かかわらず、賭博行為への関係が判明した場合は解雇などの厳重な処分を科すという。ギャンブルに関わらないことと、プロスポーツ化を進めることで、将来のオリンピック正式種目化を目指す。

Mリーグの調査結果
若者や高齢者が高い関心
麻雀の魅力
ゼロギャンブル宣言
リトル/シニア世代の育成なども掲げる

 最高顧問には川淵三郎氏が就任し、これまでサッカーのJリーグやバスケットボールのBリーグなどの設立で培った経験を活かす。麻雀や法律などの専門家らで構成するMリーグ運営諮問委員会も設立する。

 川淵三郎氏は発足にあたり「麻雀を競技としてプロスポーツにするというMリーグ設立の考えに、長年の麻雀ファンとして強く共感している。これまでのJリーグやBリーグの立ち上げ、リーグ運営を通して培った経験を活かして、新たなプロスポーツとして麻雀を大きく盛り上げていきたい」とコメントしている。

藤田晋チェアマンと川淵三郎最高顧問

川淵氏「賭けなくても麻雀は楽しい」

 17日の会見で川淵三郎最高顧問は、Mリーグからの申し出を受けた当時「麻雀は大好きですから、是非やらせてくださいと即答した」とのこと。学生時代、サラリーマン時代も麻雀を愛好していたという川淵氏は当時を振り返り「世の中で賭けをしないで麻雀をする人がいるとは思っていなかった。しかし、1988年にJリーグの前身であるJSLの総務主事になった時に、自分は合法と思っていても非合法だと言われるとサッカー界に迷惑が掛かるので、一切麻雀そのものをやめてしまった」という。

 それでも「3、4年前からは、地元の集会所で毎週水曜日に賭けのない麻雀をするようになってからは『お金を賭けなくても麻雀はこんなに楽しいんだ』と思い、水曜はなるべく予定を入れず、朝9時から4時5時までずっと麻雀をやっている。Mリーグによって、麻雀のクリーンさが伝わり、多くの人にゲームとしてもっと楽しんでもらえるようになれば」とした。

川淵三郎最高顧問

小学3年生で麻雀に目覚めた田中圭。本郷奏多“チームの広告”に意欲

 麻雀の実力の高さでも知られる俳優の田中圭さんと本郷奏多さんが、サポーター代表として登場。麻雀との出会いや、Mリーグへの期待を語った。

田中圭さん、本郷奏多さんが藤田氏とトーク

 麻雀との出会いは小学3年生の頃で“勝っている限り続けられて、コンピュータの女の子が服を脱ぐ”ゲームに衝撃を受けてルールを勉強したという田中さん。現在は共演者らと麻雀を楽しむこともあるとのことで、麻雀の魅力について「4人でやると毎局違うことになるし、一人が良い状態でも、ある人に乱されたりと、一緒に囲む人によってゲーム性や雰囲気が変わる」と語った。

田中圭さん

 藤田氏と対局経験もある本郷さんは「覚えることがたくさんあるが、運の要素も絡んでくるから1回勝負だと初心者がトッププロに勝つこともある。でも100回重ねると経験ある人が強いのが知的スポーツとしての魅力」とした。

 田中さんは、本郷さんが藤田さんと対局したエピソードを聞いて「(藤田氏と)仕事でも仕事じゃなくても一緒に牌を打ちたい」とコメント。本郷さんは「チャンスがあれば麻雀に関する仕事をたくさんしたい。チームの広告に使っていただきたいです(笑)」と藤田氏にアピールした。

本郷奏多さん