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テレビ向け大型有機EL実現へ、JOLEDがパナ子会社らと提携。デンソーらが出資

 有機ELディスプレイを開発・製造・販売するJOLEDと、生産設備の開発設計を行なうパナソニック プロダクションエンジニアリング、ディスプレイ製造装置を手掛けるSCREENファインテックソリューションズの3社は、テレビ向けを想定した、印刷方式による大型有機ELディスプレイ製造のための印刷設備の開発・製造・販売・サービスについて、業務提携契約を締結した。

 JOLEDは、大型テレビ向け有機ELディスプレイ製造を目指すメーカーに向け、印刷方式の製造技術を提供する「技術ライセンス」を推進していく。その中で、顧客向けの印刷設備の開発・製造・販売・サービスにおいて、3社は共同でビジネスを展開する。

 3社は、効率的な生産を可能とする印刷方式を広く普及させるとともに、早期事業化を目指して精力的に取り組むとしている。

 有機ELディスプレイの製造方法のひとつである「印刷方式」は、有機EL材料を印刷により塗布・形成する技術。既存の「蒸着方式」に比べて生産工程がシンプルとなるため、特に大型ディスプレイの製造において、材料利用効率や設備投資の面で大きなメリットがあると期待されている。2015年のJOLED創立以降は、JOLEDとパナソニック プロダクションエンジニアリングが共同で印刷設備の開発を続け、JOLEDがプロセス等を含めて量産技術を確立。現在、パイロットラインで製造する21.6型4K有機ELを、医療用モニターやハイエンドモニター向けに出荷している。

 技術ライセンスを展開するにあたり、JOLEDは印刷方式有機ELディスプレイ製造技術の提供や、技術導入のサポートなどを行なう。パナソニック プロダクションエンジニアリングは、顧客ニーズに合わせた印刷設備の設計・開発を担う。SCREENファインテックソリューションズは、ディスプレイ製造工程で使われる各種装置やそれらに対するサービスを、パナソニック プロダクションエンジニアリングからのライセンスのもと印刷設備の製造を行ない、販売・メンテナンスなどのサービスをJOLEDと共に展開していく。

 また、JOLEDは470億円規模の第三者割当増資を実施。デンソー、豊田通商、住友化学、SCREENファインテックソリューションズが引受先で、出資額はデンソーが300億円、豊田通商が100億円、住友化学が50億円、SCREENが20億円。

 デンソーは、自動車用メーターやカーナビゲーションシステム、ヘッドアップディスプレイなど、様々なHMI(Human Machine Interface)製品への展開を予定。従来HMI製品には、主に液晶ディスプレイが使われてきたが、有機ELの特徴である高画質や発色の良さ、薄型、軽量で曲面化が容易といった特徴を生かし、HMI製品の視認性や意匠性、搭載性の向上を目指すという。