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カドカワの川上量生社長辞任。ドワンゴ新社長に夏野氏。niconicoの動画投稿数は増加

カドカワは13日、臨時取締役会において、川上量生社長が辞任し、取締役に就任。現代表取締役専務である松原眞樹氏が、社長に就任すると発表した。川上氏は、子会社のドワンゴの取締役も辞任し、顧問に就任。ドワンゴの荒木隆司社長も辞任し、後任の代表取締役社長には夏野剛氏が就任する。

2017年11月28日にniconicoの新バージョン「く」を紹介する川上量生氏

ドワンゴの事業計画に対する進捗が当初計画を大きく下回る推移となり、特別損失を計上する事になったため。2018年11月にドワンゴがリリースした位置情報ゲーム「テクテクテクテク」が期待値を大きく下回る見込みとなり、その他のオリジナルゲームについても、開発の遅れによりサービス開始時期が来期に後ろ倒しとなっている。Webサービスにおいても「テクテクテクテク」による収益計上を見込んでいたが、期待値を大きく下回ることになる見通しだという。

また、動画配信のniconicoにおいて、「ギフト」などの新サービスによる都度課金の収益貢献を見込んでいたが、想定を下回る見込みになっている。

これらにより、通期連結業績予想の売上高は、期初予想比10.4%減となる2,070億円、営業利益は同76.3%減の19億円、経常利益は同68.1%減の29億円、純利益は54億円の黒字を予想していたが、43億円の赤字になる見通し。

カドカワの出版事業においては、電子書籍・電子雑誌が成長し、業績は堅調に推移。映像・ゲーム事業においても、国内外を問わず豊富なIPを活用したビジネス展開を拡大させている。その一方で、ドワンゴが事業主体となるWebサービス事業においては、競争環境の激化等により近年業績が低迷。

動画サービスのniconicoでは、回線強化や画質向上を中心とした動画・生放送サービスの視聴環境改善を進め、新バージョン(く)や、生放送アプリ「nicocas」をリリースしたほか、VRコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」のリリースや3Dアバター作成アプリ「カスタムキャスト」におけるアイテム課金の導入など、収益拡大に向けた施策が進められているが、「投資が先行する中、いまだ業績貢献には至っていない」という。

また、Webサービス事業及びゲーム事業において大きな業績貢献を見込んでいた位置情報ゲーム「テクテクテクテク」においても、「そのゲームクオリティはユーザーから高い評価を得ているものの、収益貢献が期待値を大きく下回った」という。

そこで「グループのさらなる融合を図りドワンゴの新たな創業を成すための体制を整えることがグループ全体の喫緊の経営課題」とし、4月1日付で、子会社管理事業の一部を吸収分割によりKADOKAWAへ承継させ、ドワンゴ、Gzブレイン、大百科ニュースをKADOKAWAの完全子会社にする。

グループ再編図

niconicoの動画投稿数・投稿者数は増加

一方で、動画サービスのniconicoでは、ログイン不要で動画を視聴可能にするなど、多数のサービス改善を行なった結果、これまで前年割れが続いていた動画投稿数・動画投稿者数が、2018年12月時点で前年比約105%と増加したと発表した。また、1月29日には、ニコニコ動画の総再生数が1,000億回を突破した。

2月13日までにニコニコ動画では「ログイン不要で視聴可能になる」、「動画再生時、回線環境に応じて最適な動画画質への自動切り替え」、「フルHD画質(1080p)動画の投稿・視聴対応」、新カテゴリ「ASMR」、「MMD」、「バーチャル」、「鉄道」、「TRPG」の追加など、様々な改善を実施。

ニコニコ生放送でも、「ログイン不要の視聴」や「HD画質(720p)での配信・視聴対応」、「番組内容が一目で分かるように、配信映像を自動的に番組サムネイルとして表示」、「配信枠の自動延長機能実装」、「HTML5版プレーヤーの実装」、「タイムシフト視聴時の画質改善」なども改善を行なってきた。

この結果、前年割れが続いていた動画投稿数・動画投稿者数が、増加に転じた。また、2018年6月28日からは、一般会員でもスマートフォンブラウザから動画投稿ができるようになっており、スマホブラウザからの動画投稿本数はリリース前と比較し、約247%(リリース前後6カ月同士で比較)になったという。

カテゴリ「バーチャル」、「MMD」の新設や、音楽系カテゴリ「歌ってみた」、「VOCALOID」、「音楽」、ゲーム系カテゴリ「ゲーム」、「実況プレイ動画」も人気だという。ドワンゴでは「これからもniconicoは、ユーザーの皆様のご意見を取り入れながら、再成長に向けて更なる改善を続けていく」とコメントしている。

「ニコニコチャンネル」月額有料会員数が90万人突破

2008年3月にサービスを開始した、企業・団体・一般ユーザーが動画や生放送、記事コンテンツを配信できるプラットフォーム「ニコニコチャンネル」では、2018年も音楽やエンタメなど幅広いジャンルの新チャンネル群の好調が寄与。月額有料会員数は1年間で約24万人増加、5年間で約6.5倍に増加し、2月時点で90万人を突破した。

「ニコニコチャンネル」月額有料会員数が90万人突破

ニコニコチャンネル月額有料会員数1位の『メンタリスト DaiGo の「心理分析してみた!」』は、月額有料会員数が2月時点で8万人を突破。累計収益は総額2億5,000万円、単月収益でも3,000万円以上になるなど、「企業コンサルティングや講演と並び、ニコニコチャンネルが同氏の新たな活動の場となっている」という。

月額有料会員数の増加に伴い、チャンネル運営者が受け取れる収益も増加。2018年12月時点で、5年前の約20倍となる212チャンネルが累計収益1,000万円を達成。「ニコニコチャンネル」の全チャンネル合計では5年前の約30倍となる累計収益100億円を突破した。

全チャンネル累計収益受領

さらに、オンライン寄せ書きサイト「yosetti(ヨセッティ)」とのサービス連携も開始。URLをチャンネル会員に共有するだけで寄せ書きを無料で作成できるもので、「ニコニコチャンネル」とサービス連携を開始したことで、「ユーザーがより積極的にチャンネル内の企画に参加できるようになるなど、配信者とファンの関係性がより深まりやすい仕組みが強化された」という。

実際に、バーチャルYouTuberの「ときのそら」のデビュー1周年のお祝いに、「ときのそらチャンネル」会員が寄せ書きを贈るなど、チャンネル内のコミュニティ活性化に利用されている。