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ソニー、裏面照射型グローバルシャッター搭載CMOS「Pregius S」。工場をスマート化

ソニーは18日、裏面照射型のグローバルシャッター機能を搭載した産業機器向けの積層型CMOSイメージセンサー技術「Pregius S(プレジウス エス)」を開発したと発表した。産業の高度化、工場のスマート化や自動化などの生産性向上に貢献するという。2019年夏よりサンプル出荷を開始予定。

チップ断面イメージ図。左が従来のグローバルシャッター搭載表面照射型構造、右が新開発の積層型構造

画像の歪み(フォーカルプレーン歪み)を防ぐグローバルシャッター機能搭載のCMOSイメージセンサーには、従来は表面照射型を採用していたが、フォトダイオード上部の配線が入射光の妨げになることが、画素の小型化において課題となっていた。

ソニーは、感度特性の高い裏面照射型で、グローバルシャッター機能を実現する独自の画素構造を開発し、小型化の課題を解決。画素を微細化しても感度や飽和特性を維持しながら、画素サイズを2.74µmに微細化。従来の表面照射型CMOSセンサー(1.1型/有効1,200万画素のIMX253)に比べて約1.7倍の高解像度化を実現した。これにより、製造/検査/物流などの現場で、対象物をより広範囲、高精度に測定・検査可能になるという。

また、裏面照射型画素構造が持つ配線レイアウトの高い自由度により、従来比約2.4倍の高速性を実現。測定や検査工程の時間短縮など大幅な生産性向上に貢献するとしている。

左は従来構造での撮像画像イメージ(1,200万画素×3枚)、右は新構造のイメージ(2,000万画素×約4枚)

さらに、様々な信号処理回路を搭載できる積層型構造を活用することで、測定/検査画像の必要な部分だけの信号処理などを従来よりも小型で実現。後段処理の負荷軽減や、保持するデータ量の削減などができ、省エネで高効率なシステムを実現可能にする。

ソニーは今回開発したCMOSイメージセンサーを、積層する信号処理回路の派生展開も含めて、様々な産業機器や高度道路交通システムなどへの採用に向け開発を進めるという。今回の技術は、3月20日から中国・上海で開催される「Vision China Shanghai 2019」で紹介される。