ニュース

国内地上波初、フジテレビがクラウド活用の送出マスター。編成効率化

フジテレビは、送出マスターのシステムを6月10日より更新。日本のテレビ局の地上波放送で初となるクラウドサービスを活用した新マスターでの送出を開始した。

6月10日から稼働した新しい送出マスター

送出マスターは、放送信号をテレビ局から、電波に乗せる送信所(フジテレビの場合は東京スカイツリー)やネット局に送る場所。放送信号の最終段を受け持つ重要性から“放送局の心臓部”とも呼ばれる。番組やCMを時間通りに放送するほか、ニュース速報/地震速報の表示、急な報道特番にも対応。送出マスターは一度稼働したら10年以上、止まることなく番組やCMを視聴者に届けるため、システムを3重化するなど放送を継続するための様々な工夫をしている。

同社は2019年2月から、以前VTRで管理していた番組素材をクラウドサービス上のデータファイルとして管理する「総合コンテンツ管理システム」を稼働させている。この管理システムでは、これまで放送済みの素材のみを管理していたが、今回の送出マスター更新に伴い、放送前の素材も管理。送出マスターと総合コンテンツ管理システムを連携させることで、日本で初の地上波放送にクラウドサービスを活用した送出マスターとなった。

新マスターでは、総合コンテンツ管理システムにある番組データファイルを、放送前日にマスターに取り込み、スケジュールに合わせて放送。データファイルを使ってコンテンツ管理から送出管理までをシームレスに連携させ、緊急放送対応や急な番組変更などの編成作業も、いままでのVTR管理に比べて容易に行なえるという。

放送サービスだけでなく、動画配信など放送以外のサービスでも番組コンテンツをそのまま活用できるのも特徴。

従来の送出
新しい送出

フジテレビは、地上波放送を皮切りに今後随時、BSやCS放送も新しいマスターからの送出に切り替えていく予定。すべての放送番組をデータファイル管理に変更することで、いままで放送波ごとにVTR納品しなくてはならなかった番組コンテンツを、データファイル一本の納品でき、番組制作/編集作業の大幅な効率化を図る。また、送出作業も複数様式の番組コンテンツ管理が必要だった前マスターと比べて送出作業の効率も大幅に上がる見込みだという。

新送出マスター稼働開始スケジュール
2019年6月 地上波デジタル放送 送出開始
2019年10月(予定) BS2Kデジタル放送 送出稼働スタート
2020年2月(予定) CS ONE/TWO/NEXT 送出稼働スタート