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ソニー、音質・NC強化の完全ワイヤレス「WF-1000XM3」。接続性も向上

ソニーは、完全ワイヤレスイヤフォンの新モデルとして、業界最高クラスのノイズキャンセリング(NC)性能を謳う「WF-1000XM3」を13日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は26,000円前後。カラーは、ブラックとプラチナシルバーを用意する。

WF-1000XM3(ブラック)

'17年10月に発売された、ソニー初の左右分離型Bluetoothイヤフォン「WF-1000X」の後継機種。独自プロセッサーとデュアルマイクによるNC性能の強化や、DSEE HX技術によるハイレゾ相当サウンド、独自BTチップとアンテナ改良による接続安定性向上、などが主な強化ポイントとなる。

WF-1000XM3(プラチナシルバー)

独自開発の高音質NCプロセッサー「QN1e」を搭載。これは、同社のハイエンドBluetoothヘッドフォンWH-1000XM3に搭載されたプロセッサー「QN1」をベースに新開発したもの。ボディの小さな完全ワイヤレス用にチップサイズを小型化したほか、処理性能の最適化と高い省電力性能を実現。ノイズに対して、高精度かつ高精細な逆位相信号を生成するという。

高音質NCプロセッサー「QN1e」

ハウジング外側のフィードフォワード(FF)マイクと、内側のフィードバック(FB)マイクによる、精密なノイズ集音を可能とした「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を採用。また密閉度が高く外れにくいハウジングの3点支持構造(エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー)と、耳に接する部分に高摩擦のラバーを使用することで物理的なノイズ遮断性能を向上している。

「高いNC性能の実現には、ノイズを物理的に遮断する構造、集音する性能、そして処理する性能が必要になる。新モデルでは、これらの要素を高度に組み合わせることで、完全ワイヤレスとして最高クラスの“圧倒的な”NC性能を実現した」とのこと。

高い密着性を実現したという3点支持構造のハウジング
高摩擦で外れにくいラバー素材を採用

ユニットサイズは1000X同様、6mm径ドームを採用。ボイスコイルはCCAW。新たに磁気回路を外磁型にして駆動力を向上させたほか、振動板形状の最適化、新ハウジングに合わせた各パーツの最適配置を行なうなど、音質をブラッシュアップ。またプロセッサーQN1eの24bitデジタル処理や、プロセッサー内蔵のDAC・アンプによる高SN・低歪みなクリアサウンドの実現なども音質の底上げにつながっているという。

WF-1000XM3の分解イメージ

完全ワイヤレスモデルでは初となる「DSEE HX」を搭載。CD・圧縮音源を高ダイナミックレンジ(16bit→24bit)・高サンプリングレート化(44.1kHz→96kHz)するアップスケーリング技術で、ハイレゾ“相当”の高解像度化を実現する。

Bluetooth 5.0準拠で、対応プロファイルはA2DP、AVRCP、HFP、HSP。対応コーデックはSBCとAAC。LDACの対応については「完全ワイヤレス機でもLDACは技術的に可能だが、バッテリー消費が大きく見送った」という。

前モデル(1000X)とのサイズ比較。基盤の2層化、高機能化によりボディサイズは一回り大きくなっているが「2つのマイク位置や基盤などのパーツ配置を最適化することで、ボディサイズの肥大を最小限にとどめた。装着時の見た目も大きく変わらないようにデザインした」という
装着イメージ

独自開発のBluetoothチップを初採用。接続安定性も大きく向上

1000XM3では、独自のBluetoothチップと最適化したアンテナ構造により接続安定性も改善されている。

Bluetoothチップは製造メーカーとソニーが共同で開発したという新チップを採用。Android端末やiOS端末に関わらず、音声信号の左右同時伝送を実現した。再生端末はLとRのイヤフォンに対して、LR信号をそれぞれ伝送し、イヤフォン側で各信号を出力する仕組み。従来に比べ、動画再生時の音声遅延もほぼ気にならないレベルにまで改善されているという。

Bluetoothにおける左右同時伝送技術はQualcommのTWS Plusが有名だが、ソニーは「新チップを採用することで、再生端末(のSoC)に縛られることなく、左右同時伝送できることが大きなメリット」と説明する。なお同チップの新製品展開については未定であり、また同チップはソニー独占ではない、としている。

写真中央付近のやや大きいものが独自Bluetoothチップ
アンテナを見直し安定性と感度を向上させている

イヤフォン本体で最大6時間(AAC/NCオン/DSEE HXオフ)の音楽再生に対応。付属ケース3回分の充電と併用すれば、最大24時の長時間再生が可能になる。イヤフォンの充電時間は、約1.5時間。USB-C接続の充電ケースは、10分充電で90分再生できる急速充電にも対応する。

ケースには、新たにマグネットを内蔵し、イヤフォン本体をケースに近づけるだけで正しい位置に収納され、利便性を向上させた。イヤフォン本体の重量は左右とも、約8.5g。

周囲の音が聴けるクイックアテンション搭載。タッチセンサー操作も

完全ワイヤレスイヤフォンでは初採用となる「クイックアテンション」機能を搭載。同社ヘッドフォンWH-1000XM3に搭載されているもので、イヤフォンを外すことなく、会話や車内のアナウンス音を拾うことができるもの。本機ではL側のハウジング部をタッチしている間起動し、周囲の音を聴くことができるようになっている。

クイックアテンションに対応
ハウジングの丸い部分がタッチセンサー

前モデルのボタン操作から、タッチセンサー操作に変更。タップや長押しで、モード切替やクイックアテンション、再生/停止、曲送り/戻し、Googleアシスタントのボイスアシスタントなどの各種操作が行なえる。

スマホアプリ「Sony Headphones Connect」を使い、タッチ操作のカスタマイズ(操作割り当て)や、外音取り込みレベル調整(20段階)、LRのバッテリー残量確認などが行える。

スマホアプリ「Sony Headphones Connect」画面。LRのバッテリー残量や、モード選択、DSEE HXのオン・オフ、タッチセンサーの操作カスタマイズが行なえる

左右同時伝送により、L/R単独の使用スタイルも拡大。両側のイヤフォンでハンズフリー通話したり、R側での通話が行なえるようになった。「片方を充電中でも、もう片方で音楽再生や通話ができる」という。なおGoogleアシスタントを割り当ててる場合は、割り当て側のみ片耳使用が可能になる。

イヤフォンの装着検出にも対応。両側を装着した状態で、片側を外すと停止、再び装着すると再生、といった動作を自動で行なう。

ハイブリッドイヤーピース4サイズ(SS/S/M/L)と、トリプルコンフォートイヤーピース3サイズ(S/M/L)を付属する。

なお、トリプルコンフォートイヤーピースのSSサイズ「EP-TC50SS」は、8月3日に単品発売される。4個入りで、店頭予想価格は1,500円前後。

セット内容