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マランツ、HDMI入力を備えた78,000円の“2ch”アンプ「NR1200」

マランツは、HDMI入力を5系統備えたステレオアンプ「NR1200」を10月中旬に発売する。価格は78,000円。カラーはシルバーゴールド。

HDMI入力を5系統備えたステレオアンプ「NR1200」

「NR」(ニューレシーバー)という型番がついた製品は、2009年に登場した薄型AVアンプ「NR1501」から、スリムなAVアンプに使われており、現在は最新モデル「NR1710」が発売されている。しかし、「NR1200」はAVアンプではなく、2chのHi-Fiアンプとして開発されたもので、そこにHDMI入力を搭載。“テレビやリビングなどとマッチする2chのHi-Fiアンプ”という、新しいジャンルの製品となる。

NR1710などの同社薄型AVアンプは、もともと省スペースで気軽に使えるアンプとして登場。Hi-Fiの2chアンプと、ホームシアターのAVアンプ、2つの世界の“橋渡し”をするような立ち位置の製品となる。しかし、実際に店舗に「ゲーム機やFire TV Stickなど、映像機器との接続性が高い2chアンプがほしい」と入店した人が、AVアンプ売り場にたどり着かないケースも多い。そこで、Hi-Fiアンプ売り場でも、映像機器との接続性の高い製品として存在感を発揮できる製品として作られたのが、NR1200となる。

なお、筺体はNR1710のものをベースとしている。そのため、外見だけ見ると「7.1chAVアンプのNR1710から、5chアンプを省いて安くしたモデルがNR1200」と思いがちだが、中身は大きく異なっており、NR1200は完全な2chアンプとして、改めて開発されたものとなっている。

NR1710と同じ筺体を使っている理由

筺体の高さは105mmと薄型になっている。NR1710と同じ筺体を使っているのは、薄型である事に加え、剛性が高く“良くできた筺体”だからだという。具体的には、内部にNR1710の7chパワーアンプを搭載・冷却するための、巨大なヒートシンクが搭載されている。

このヒートシンクは筺体内部を左右に横断しており、筺体のメインシャーシの両サイドと、底側に強固にネジ止めされている。ヒートシンクはアルミ製であるため、これが“梁”としても機能し、筺体の剛性を高める役目を果たしている。それをヒートシンクを含め、そのまま活用したのがNR1200となる。

NR1200のパワーアンプの定格出力は75W×2ch(8Ω)で、NR1710の50Wよりも大きい。対応するスピーカーインピーダンスは4~16Ω。

AVアンプでは、ヒートシンクに抱かれる形で、多数のパワーアンプが取り付けられるが、NR1200の場合は、大型ヒートシンクに、フルディスクリートパワーアンプのL/Rチャンネルを、左右対称に配置するシンメトリカル・レイアウトを採用。左右の電源ライン、信号ラインを等長とし、チャンネル間の音質差を排除した、2chのHi-Fiアンプらしい設計となっている。

電源のトランスには、NR1710と同じ大きさのEIコアトランスを採用しているが、巻線はNR1200専用に変更、回路ごとに独立させ、繊細なアナログオーディオ回路やパワーアンプ回路へのノイズの回り込みを排除。

NR1200専用の新しいブロックコンデンサ(6,800μF×2)も開発。「AVアンプのNR1710も、世代を重ねて改良してきたが、コストの制約があるのはいかんともしがたいところ。NR1200は2chなので、製品の価格としてはNR1710より安いものの、コストメリットを活かし、Hi-Fiアンプで使っているような高音質フィルムコンデンサーも使えた」(マランツの尾形好宣サウンドマネージャー)という。

マランツの尾形好宣サウンドマネージャー

DACは、NR1710で採用している旭化成エレクトロニクス製の8ch DAC「AK4458VN」を搭載。L/Rそれぞれに2ch、合計4chのDACを、2ch再生に使う、ダブル・ディファレンシャル構成のDAC回路となっている。これにより、ノイズの低減や、高SN比、透明感の高い空間表現を追求した。

ダブル・ディファレンシャル構成のDAC回路

HDMI入力は、NR1710から技術的なものを流用しており、最新技術にも対応。なお、受けられるのはPCMの2chデータのみ。Blu-rayプレーヤーなどと接続する場合は、プレーヤー側がドルビーデジタルなどのサラウンドサウンドをPCMに変換して出力し、NR1200に入力する形となる。NR1200にサラウンドのデコーダーや、バーチャルサラウンド化して再生する機能は無い。

HDMIは5入力、1出力を備えており、ARCにも対応。対応テレビとHDMIケーブル1本で接続し、NR1200からテレビの音を再生できる。

背面
HDMIは5入力、1出力

HDMI CECもサポート。HDMI接続したテレビとの電源連動動作や、テレビのリモコンからNR1200の音量調整も可能。全HDMI端子はHDCP 2.3に対応。4K対応チューナーなどからの映像もパススルーでき、4K/60p/4:4:4/24bitや、4K/60p/4:2:0/30bit、4K/60p/4:2:2/36bitなどもサポートする。HDR10、HLGにも対応。HDMI 2.1の新機能ALLMにも対応する。

独立型のセレクターとボリュームICを採用。アナログオーディオ回路には入力セレクター、ボリューム、出力セレクター、それぞれの機能に特化した高性能カスタムデバイスを用いて、信号経路を最短化。不要な回路の引き回しを排除し、透明感が高く、情報量豊かなサウンドになったという。

ネットワークオーディオ機能も搭載

HEOSテクノロジーによるネットワークオーディオ機能も搭載。ストリーミングサービスや、インターネットラジオ、LAN内にあるNASなどに保存したハイレゾファイルの再生も可能。USBメモリーに保存した音楽ファイルも再生できる。

44.1kHz/16bitのロスレスHD音質で6,500万曲以上、最大192kHz/24bitのUltra HD音質で数百万曲をラインナップした音楽配信サービス「Amazon Music HD」にも対応している。

ハイレゾファイルは、PCMが192kHz/24bitまで、DSDは5.6MHzまでの再生が可能。DSD、WAV、FLAC、Apple Losslessのギャップレス再生も可能。

Bluetoothにも対応し、スマートフォンやタブレットから手軽にワイヤレスで音楽再生も可能。同一ネットワークに接続した、他のHEOSデバイスに、NR1200で再生中の音楽を配信する事もできる。AirPlay 2にも対応する。

将来的にはファームウェアのアップデートにより、Bluetooth送信機能も搭載予定。NR1200で再生中の音楽を、ワイヤレスで送信し、Bluetoothヘッドフォンなどで受信して聴く事ができる。深夜の映画鑑賞などで活用可能。ただし、NR1200からのBluetooth送信は固定出力であるため、ボリューム調整機能の無いBluetoothヘッドフォンなどは非対応となる。

Bluetooth送信機能も搭載予定

Amazon Alexaもサポート。話しかけるだけで、再生、停止、スキップや音量調整、Amazon Musicの音楽から、楽曲名やアーティストなどを指定しての再生も可能。

ネットワークやUSBなどのデジタル回路への電源供給用に、専用のトランスを使い、アナログ回路との相互干渉を排除。また、デジタル電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化し、スイッチングノイズを再生音に影響の及ばない可聴帯域外にシフトさせている。また、シールドする事で、回路間のノイズの飛び込みを抑え、電源ラインに流入するノイズはデカップリングコンデンサーで除去。エルナー製オーディオグレード表面実装コンデンサーを使うなど、挿入するコンデンサーの種類や定数は、サウンドマネージャーの試聴の末に選定されている。

M-DAX、トーンコントロール、左右バランスの調整を行なわず、入力信号に一切加工しないでそのまま増幅する「ダイレクトモード」、ノイズの発生源となるディスプレイ回路を停止する「ピュアダイレクトモード」も備える。

スピーカーターミナルはスクリュータイプで、金メッキ仕上げ。2系統備えており、バイワイヤリング接続や、2組のスピーカーの切り替えに対応。

2.2chプリアウトも備えており、外部パワーアンプを追加する事で、フロントスピーカーの音質向上や、パワーアンプダイレクト入力のあるプリメインアンプとの組み合わせによる、Hi-Fiオーディオシステムとのフロントスピーカーの共有も可能。サブウーファーを2台追加し、低音を補強する事もできる。

MMカートリッジ対応のPhono入力も搭載。AM/FMチューナーも備え、ワイドFMにも対応する。

Phono入力も備え、レコードプレーヤーとも連携できる
テレビを含め、様々な機器と親和性が高いという

2.4/5GHzのデュアルバンドWi-Fiに対応。スマホ・タブレットのアプリ「Marantz 2016 AVR Remote」からの操作も可能。

なお、セットアップ時、AVアンプはテレビに接続して画面に表示されるナビゲーションなどを見ながら設定を行なうが、NR1200でも、テレビ表示を使ったセットアップモードを用意。スピーカーの接続と設定、ネットワークの接続、テレビや入力機器の接続までを、画像とテキストでガイドする。

また、テレビに接続しない人を想定し、本体のディスプレイだけで設定できるモードも用意。本体ディスプレイで「Setup on TV:NO」を選ぶと、テレビを使わない設定モードとなる。

HDMI以外の入力端子として、アナログ×3、Phono×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1を搭載。出力は、2.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドフォン×1、LAN×1、フロントUSB×1などを用意する。

消費電力は210W。外形寸法は440×378×105mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.9kg。

付属のリモコン