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カロッツェリア、自宅BDレコーダの録画番組をネット経由で再生できる新時代カーナビ

パイオニアは、カロッツェリアブランドの新カーナビを発表した。サイバーナビ「AVIC-CQ910-DC」は、市販ナビとして初めて車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」に対応。YouTube動画やBDレコーダーで録画したコンテンツを遠隔再生する「レコーダーアクセス」など、ネットワークを介して映像を楽しむ新機能を搭載している。11月発売で価格はオープンプライス。店頭予想価格は21万円前後。より低価格なモデルもラインナップする。

サイバーナビ「AVIC-CQ910-DC」

「docomo in Car Connect」は、付属(-DCモデル)、もしくは別売のネットワークスティックをナビに接続し、ドコモのLTEデータ通信を定額で、容量制限、速度制限なく使用できるもの。料金プランは1日500円、30日1,500円、365日12,000円の3プランから選択可能。サイバーナビがWi-Fiスポットとして機能する。ネットワークスティックが付属するDCモデルを購入した場合は、通信料が1年間無料となる。

サイバーナビ「AVIC-CQ910-DC」。左端にあるのがネットワークスティック
AVIC-CQ910-DCのホーム画面

Webブラウザ機能を使い、YouTube動画を簡単に再生できる「ストリーミングビデオ」機能を搭載。動画は全画面表示もできるほか、YouTubeのIDにログインして、スマホやPCで楽しんでいる動画にカーナビからアクセスする事もできる。なお、現時点ではYouTube動画へのアクセスだけだが、他の動画配信サービスにも将来的には対応できるような設計はされているという。

YouTube動画を再生しているところ

また、前述の通りサイバーナビ自身がWi-Fiスポットとして機能し、HDMI入力も備えているため、AmazonのFire TV StickをナビにHDMI接続し、Wi-Fiにも接続させる事で、Fire TV Stickの画面をナビに表示させながら、映画やゲームなどを楽しむことも可能。

AmazonのFire TV Stickも車内で楽しめる

なお、AVIC-CQ910-DCはラージサイズの9型ディスプレイ搭載で、ネットワークスティックが付属するモデル。付属しない「AVIC-CQ910」の店頭予想価格は19万円前後、8型の「AVIC-CL910-DC」は19万円前後、8型でネットワークスティックが付属しない「AVIC-CL910」は17万円前後。他にも、7型ディスプレイで200mmワイドメインユニットタイプの「AVIC-CW910-DC」、「AVIC-CW910」や、2Dメインユニットタイプ「AVIC-CZ910-DC」、「AVIC-CZ910」もラインナップする。

これらのモデルは地上デジタル放送のチューナーや、FM/AMチューナー、DVDプレーヤー機能なども備えている。

自宅のBDレコーダーに録画した番組を、カーナビから視聴できる

「レコーダーアクセス」機能は、自宅のBDレコーダーに録画した番組を、カーナビから視聴できるようにする機能。使用前に、ペアリング専用アプリ「DiXiM Play for carrozzeria」をインストールしたスマホと自宅のBDレコーダーをペアリング。そのスマホをサイバーナビとペアリングすることで、DVDなどにダビングする事なく、ネットワークを介して、自宅レコーダー内の録画番組をカーナビからストリーミング視聴できる。

ペアリング専用アプリ「DiXiM Play for carrozzeria」をインストールしたスマホ

遠くに出かけた際でも、自宅エリアの放送局のテレビ番組が観られるほか、BS、CS放送の視聴も可能。

この機能は、デジオンが新たに開発した、自宅内のレコーダーの録画番組や放送中の番組を車載器で再生するソリューション「DiXiM Play Automotive Edition」を使ったもので、その初の対応製品がサイバーナビ 2019年モデルのAVIC-CQ910/CL910/CW910/CZ910シリーズとなる。

これまでスマホアプリやPCアプリなどで展開してきた「DiXiM Play」を、車載器向けに開発したもの。「DLPAリモートアクセスガイドライン」に準拠させるために、アプリ「DiXiM Play for carrozzeria」をインストールしたスマホとカーナビをまとめて「1つのデバイス」と扱っており、ユーザー宅のBDレコーダーの情報や番組再生に必要な認証鍵の情報を、レコーダーからスマホへと転送。そのスマホとカーナビをBluetooth接続すると、鍵などがナビに渡り、ナビからBDレコーダーの番組が再生できるようになる。

レコーダー内にアクセスしているところ。メニューまわりはお馴染みの構造だ
ペアリング専用アプリ「DiXiM Play for carrozzeria」をインストールしたスマホを使い、自宅のBDレコーダーや認証鍵の情報をナビとやりとりする。ナビとスマホの接続にはBluetoothを使う

そのため、再生時にはナビとスマホがBluetoothで連携している必要がある。ただし、録画番組データ自体は、スマホを経由せず、ナビが自宅のレコーダーへと直接アクセスしているため、スマホの通信機能のパケットを消費はしない。また、ナビで番組を再生しながら、スマホを遠くに持ち出してBluetooth接続が切れた場合は、ナビでの再生もできなくなる。

対応するレコーダーは、パナソニックのおうちクラウドディーガ、ディーガ、シャープのAQUOS 4Kレコーダー、AQUOSブルーレイ、東芝のレグザ タイムシフトマシン、レグザブルーレイ、アイ・オー・データ機器のテレビチューナー製品「HVTR-BCTX3」、「HVTR-T3HDTシリーズ」、「EX-BCTX2」、「GV-NTX2」、「GV-NTX1A」、NASの「HVL-DRシリーズ」。バッファローのNAS「LS411DXシリーズ」。細かい対応機種情報はデジオンのWebサイトで案内する。

発表会場には対応するBDレコーダーも展示された

ディスプレイは1,280×720ドットのHDパネルを採用し、HD解像度表示に対応。地図表示だけでなく、ネットワーク動画やテレビなど、さまざまな映像ソースを高コントラストかつ高解像度で描画できるという。

音質面は、ハイレゾ音源に対応するほか、CDや圧縮音源をハイレゾ音源相当にアップグレードする「マスターサウンドリバイブ」機能も備えている。

前述の「docomo in Car Connect」通信機能を使い、最新の道路や施設情報を自動でダウンロードし、地図を更新する「自動地図更新」機能を新たに搭載。「常に最新の地図でのドライブが可能」という。追加費用不要で、最大3年分の無料バージョンアップが利用できる。さらに、MapFanスマートメンバーズへ新規入会すると、最新データバージョンアップ期間が、最大3年から4年(2023年10月末まで)に延長される。

デザイン面も進化。車のコンソールと一体感のあるフルフラットデザインとなり、タッチキーもフラットになっている。UIデザインも新しくなった。

地図画面上にドライブに有用な情報やAV情報を表示し、操作できる「インフォガジェット」も新たに搭載。AVソースの再生画面を常時表示するほか、駐車場の満空情報などのドライブを便利にする情報を瞬時に地図画面上に引き出して操作できる。

なお、10月2日~3日の18時~20時30分にベルサール秋葉原へ行くと、発表された内容を体験できる。登録不要で入場は無料。来場者にプレゼントも用意されるという。

ベルサール秋葉原

「まったく新しいカーナビを皆さまにお届けする」

パイオニア常務執行役員モビリティプロダクトカンパニーの高島直人CEOは、車が真のオンライン化を実現し、コネクテッドカー時代が到来するにあたり、「我々がどうありたいかを考えた。そして“キー”として出てきたのが、今まで提供し続けてきたエンターテイメントだった。オンラインの力で、新たなコネクテッドを実現し、車室内をもっと快適にする。まったく新しいカーナビを皆さまにお届けする」として、新製品を紹介。

「docomo in Car Connect」の紹介に登壇したNTTドコモ 法人ビジネス本部 コネクテッドカービジネス推進室長の深井秀一氏は、自動運転が現実となる“今後の車”を考えた際に、「車内でどう楽しむか、空間をどう使うかが重要になる。docomo in Car Connectを使いながら、新たな市場を作っていく。そのために、価格も抑えて使い放題を実現した」と、魅力を紹介。

パイオニア モビリティプロダクトカンパニー 市販事業統括グループ 商品企画部 企画1課の橋本岳樹氏は、「レコーダーアクセス」機能について、「単にレコーダーにリモートアクセスできるソリューションを作るだけでは実現できなかった。親機となるレコーダーの側も、我々の方に対応してもらう必要があった。そこで、昨年秋に各メーカー様と実際にお会いして、家庭のレコーダーが車の中でも使える、映像の楽しさを広げていきたいとお伝えし、その考えに共感をいただいて機種対応が実現した。労力も多かったが、ここまで出来てよかった。車内で通信インフラが本当に大丈夫か? 料金は大丈夫か? といった心配の声もあったが、通信の課題は我々が解決するとお約束し、それが協業実現の後押しにもなった」と振り返った。

左からパイオニア モビリティプロダクトカンパニー 市販事業統括グループ 商品企画部 企画1課の橋本岳樹氏、パイオニア常務執行役員モビリティプロダクトカンパニーの高島直人CEO、NTTドコモ 法人ビジネス本部 コネクテッドカービジネス推進室長の深井秀一氏