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初の5G「Xperia 1 II」。21:9有機ELと20fps連写、ヘッドフォン端子復活

ソニーモバイルコミュニケーションズは24日、5G対応のフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 II(マークツー)」を発表した。日本を含む国と地域で2020年春以降に発売する。カラーはブラック、パープル、ホワイトの3色を用意。

Xperia 1 II

6.5型でアスペクト比21:9の4K/HDR対応有機ELディスプレイを搭載。静止画/動画カメラや、オーディオ、ゲームなどに関するソニーの技術を結集した新たな最上位モデルとなる。機能強化しながら、サイズは既存のXperia 1よりも小型化。外形寸法は166×72×7.9mm(縦×横×厚さ)、重量は181gで、Xperia 1(167×72×8.2mm/178g)よりもやや薄く、縦が短くなっている。なお、ステレオミニのヘッドフォン端子が再び搭載されている。

Xperia初の5G通信対応で、Sub6をサポート。「ソニーの専用機器/先端技術と5Gを組み合わせ、コンテンツをさらに高品質でリアルタイムに届ける」としており、高品位なコンテンツを制作(上り通信)と視聴(下り通信)の両面で対応する点をメリットとして挙げている。

サポートする5Gの周波数帯はn1、n3、n28、n78のほか、ソフトウェアアップデートでn77にも対応予定(時期未定)。国/地域によってDual SIMとSingle SIMの2種類を展開する。

なお、同じく24日に開発が発表された映像制作などのプロ向けモデル「Xperia PRO」とは異なり、5Gのミリ波帯(mmWAVE)には対応しない。

従来比2倍のAF/AE追従20コマ連写。静止画用の本格アプリが新たに

16mm/F2.2、70mm/F2.4、24mm/F1.7の3つの1,200万画素センサーを搭載。いずれも像面位相差AF対応で、16mmと24mmカメラはデュアルAF仕様。さらに、3D iToFセンサーも備える。ツァイス(ZEISS)レンズ採用で、T*(ティースター)コーティングにより、レンズ内反射を低減したクリアな撮影を実現する。

カメラの構成

ソニーのデジタル一眼αで培った高速撮影性能も備え、スマホで世界初とするAF/AE追従で最高20コマ/秒の連写に対応。従来機Xperia 1は最高10コマだったが、IIでは2倍に強化された。シャッター半押し状態で毎秒60回のAF/AE演算を行ない、動きが速い被写体にもフォーカスが追従。撮り逃したくない一瞬を捉えるという。AFエリアカバー率は70%を実現している。

AF/AE追従で20コマ

暗所での撮影にも強く、デュアルPDセンサーと3D iToFにより、暗い場所で動く被写体にも追従。Xperia 1比で約1.5倍の高感度撮影が行なえるという。

新たに静止画撮影用のアプリ「Photography Pro」も搭載。撮影モードダイヤル設定の追加や、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスなどをマニュアル設定できる。

右が新しいPhotography Proアプリ

また、人物と動物に対応したリアルタイム瞳AFを搭載。素早く動く動物の瞳にもフォーカスが追従し、躍動感のある写真を撮影可能としている。なお、瞳の左右はマニュアル指定できず、どちらに合わせるかはオートで判別される。

瞳AFのイメージ

Xperia 1から引き続き搭載するシネマ撮影専用アプリ「Cinematography Pro」の機能も強化。4K/HDRの24/30pに加え、新たに60pや、欧州規格の25pをサポート。さらに、水準器、タッチAF、ホワイトバランスのカスタム設定、メータードマニュアルの各項目も用意された。動画の音声に関しても、AI採用の「インテリジェントウィンドフィルター」によりノイズを低減。「マイクに風防を着けた時のような効果が得られる」としている。

Cinematography Pro画面

ディスプレイは6.5型/4K(3,840×1,644ドット)有機ELで、パネルはXperia 1から継承しているが、新たに90Hz相当の残像低減技術を採用。駆動は60Hzだが、入力される映像信号が白から黒、黒から白へフレームが変わる瞬間にディスプレイの電圧を上げて素早く表示することで残像を抑えるという。

ディスプレイは4K/HDR対応有機EL

そのほか、標準光源/色温度からホワイトバランスをカスタム設定する機能も追加。D50/D55に設定することで印刷した写真の色味を忠実に再現するなど、ディスプレイの色味を用途に合わせて変更できる。

21:9の縦長を活かして2画面で別のアプリを使えるマルチウィンドウ表示にも対応。新機能として上下のアプリをスムーズに切り替えられる「21:9マルチウィンドウスイッチ」も搭載した。

SoCはQualcommのSnapdragon 865で、CPUとGPUが従来比約25%高速化。バッテリー容量は4,000mAh。最短30分で50%の急速充電(21W以上の急速充電器利用)も可能。独自の充電最適化技術と「いたわり充電」により、2年使っても劣化しにくいという。本体はIP65/68の防水防塵仕様。インターフェイスはUSB Type-C。

底面
側面

「DSEE Ultimate」初搭載。AmazonのUltra HDネイティブ再生、ヘッドフォン端子復活も

音質面では、圧縮音源をハイレゾ相当にアップコンバートする機能が強化された「DSEE Ultimate」を初めて搭載。大きな特徴は高い周波数帯域におけるダイナミックレンジの拡大で、AI技術により、高域の表現力や微細な音の再現性が向上。

同機能はON/OFF切り替えが可能で、ONにすると基本的にXperia 1 IIで使えるストリーミングサービスなどに対応。また、LDACなどの高音質コーデックをサポートしたBluetoothイヤフォンと組み合わせれば、ワイヤレスでもDSEE Ultimateの効果が得られるという。
DSEE Ultimateの搭載に合わせて、ハイレゾ再生に関連する機能の見直しも実施。これにより、音楽配信サービスAmazon Music HD利用時の「Ultra HD」など高音質楽曲も、ダウンコンバートせずネイティブで再生できるようになったのも大きなポイント。

また、一時は廃止されていた3.5mmのヘッドフォン端子が復活。有線ヘッドフォンが使えることで、Xperia 1(スピーカー再生)に比べて左右のクロストーク(音の混ざり)を約1/10に低減できる。

ヘッドフォン端子が復活

ソニーが手掛ける立体音響「360 Reality Audio(360RA)」にもスマートフォンで初めて対応。海外で展開されている音楽配信のTIDALや、deezer、nugs.netの各サービス利用時に360RAコンテンツの立体感をヘッドフォンで楽しめる。また、Dolby Atmosにも引き続き対応する。

映像/音楽制作者の意見をとり入れた音質チューニングも実施。ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントとの協業による独自のDolby Atmos効果のチューニングにより、音の定位感や立体感の再現性を強化した。

また、ソニー・ミュージックエンタテインメントとの協業で、ボーカルや楽器の定位感、その場にいるかのようなリアルな空気感など、クリエイターの制作意図を忠実に再現するためのチューニングも行なった。

前面のステレオスピーカーは左右均等(横画面時)に配置したことでステレオのバランス感を向上させている。

左右均等配置のステレオスピーカー内蔵

ゲーム向け機能も拡張

ゲーム向けの機能として、PlayStation 4のゲームをコントローラーのDUALSHOCK 4で遊べるPS4リモートプレイに引き続き対応。

また、ゲームモード機能も拡張され、ディスプレイのタッチパフォーマンスを3種類のモードから選択して指定できる。さらに、誤操作を防止してゲームへ集中するために、通知やナビゲーションバーなどを無効化する「コンペティションセット」も追加された。

Qualcommのブランド「Snapdragon Elite Gaming」とのコラボレーションにより、独自のチューニングを実装。FPSゲーム「Call of Duty:Mobile」を21:9画面で快適に遊べるという。

オプションのカバー2種類

別売カバーも2モデル発売。前面カバーを閉じたまま通知などを確認できるViewタイプの「Style Cover View」と、横置きで動画視聴などができるBackStandタイプ「Style Cover with Stand」をラインナップする。

Xperia 1 II Style Cover View
Xperia 1 II Style Cover with Standの背面スタンド利用時

ViewタイプはXperia 1 IIのほか、別記事で掲載するXperia 10 II用も発売。BackStandタイプはXperia 1 II専用。Viewタイプはスマホ本体に合わせた3色(ブラック、グレー、パープル)を用意するが、BackStandタイプはブラックとパープルの2色のみ。

Xperia 1 II Style Cover with Standの背面スタンドを収納した状態