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Technics初の完全ワイヤレス。デュアルハイブリッドNC×グラフェンコート振動板

パナソニックは、Technicsブランド初の完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ70W」を4月中旬に発売する。アクティブノイズキャンセリング機能も搭載。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は31,000円前後。カラーはシルバーとブラックを用意する。

「EAH-AZ70W」ブラック

Technicsの音響技術を投入した完全ワイヤレスで、直径10mm径のダイナミック型ドライバーを採用している。一般的な完全ワイヤレスのユニットは6mm径や7mm径が多いが、豊かな低音や音場、空間性の広いゆとりのある音を目指し、大口径ユニットを採用した。

「EAH-AZ70W」シルバーモデル

大きいだけでなく、振動板にも工夫がある。PEEK素材を採用し、そこにグラフェンコートを施すことで、強度をアップ。振動板自体の不要な振動も抑制している。これにより、高域の伸びや抜けの良さ、艶のあるボーカル感も再現したという。

また、ドライバーの後端に、ドライバー前後の空気の流れを精密にコントロールする「アコースティックコントロールチャンバー」を用意。これは、Technicsの有線イヤフォン「EAH-TZ700」にも採用している技術で、空気の流れを最適化。ドライバーの持つ広帯域再生能力を引き出し、低域から高域まで、バランス良く再生できるという。

BluetoothのコーデックはSBC、AACに対応。プロファイルはA2DP、AVRCP、HSP、HFPに対応する。

ノイズキャンセリング機能は「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」を搭載。イヤフォンの外側にマイクを搭載し、外のノイズを集音、それと逆位相の音を再生する「フィードフォワード方式」と、イヤフォンの内側に搭載したマイクでノイズを広い、ノイズと音楽を足したものの逆位相を作るフィードバック方式を組み合わせている。

大きな特徴として、フィードフォワードをデジタル処理、フィードバックをアナログで処理している。これが「“デュアル”ハイブリッドノイズキャンセリング」の名前の由来。

外の騒音をキャンセルするフィードフォワード方式は、キャンセルするために複雑なフィルタが必要になるため、小さな筐体のイヤフォンで実現するためには、デジタル処理の方が有利だという。

一方、耳の内側にマイクを搭載してノイズをキャンセルするフィードバックは、デジタル方式で行なうと演算に時間がかかり、遅延として知覚できてしまうという。そこで、遅延を抑えられるアナログ制御を採用している。

飛行機のノイズをスピーカーから流してノイズキャンセル機能をテスト。低音の「ゴーッ」という騒音に加え、高音の「コォー」という音も消える
NC機能の効果も変更できる

また、外の音を取り込む機能も搭載。後述するアプリを使い、取り込む音の量を調整することもできる。

外音取り込み機能も調整できる

安定したBluetooth接続を実現するため、アンテナを工夫している。操作用に、ハウジングの外向きの部分に円形のタッチセンサーを備えているのだが、そのセンサー部分をBluetoothアンテナと共用にした「タッチセンサーアンテナ」を採用している。

この部分をアンテナとする事で、筐体の小型化や、イヤフォンを耳の穴に挿入した時でも外に露出し、安定した通信が可能という。このセンサーだけでなく、内部にある、メイン基板とバッテリーを繋ぐ配線もアンテナとして使うなど、接続性を高める様々な技術を投入している。

このタッチセンサーアンテナでは、パナソニックがデジタルコードレス電話機で培った無線技術を応用した電磁界シミュレーションによって、接続性をさらに安定させている。アンテナおよび基板に流れる電流分布をコントロールし、Bluetoothの電波が人体の影響を受けにくい方向で効率よく通信できるように無線の指向性を最適化したという。

Bluetoothの接続方式は、左右独立受信方式。スマホなどから伝送された音楽を、左右のイヤフォンがそれぞれ独立して受信する。スマホから左のイヤフォン、そこから右のイヤフォンへと伝送するリレー伝送と比べ、接続が安定するほか、動画視聴時に映像と音声のズレも低減できるという。

通話の品質にもこだわっており、ビームフォーミング技術を投入。送話の音声と、それ以外の音を区別してノイズを低減。さらに、2つの通話用マイクを使うことで、送話の音声を明瞭にした。

搭載するマイクは、高性能なMEMSマイク。このマイクが性能を発揮できるように、マイクまでの空気の通り道を複雑化し、マイクに直接風が当たりにくいラビリンス構造を採用。送話の際の風切音を低減し、屋外でもクリアな声で話ができるとする。

タッチセンサーでは、再生/一時停止、音量調整、曲送り/戻し、通話の操作、外音コントロールの切り替え、音声アシスタントの起動操作が可能。

スマホ向けアプリとして、Android/iOS向けに「Technics Audio Connect」を用意

スマホ向けアプリとして、Android/iOS向けに「Technics Audio Connect」を用意。ペアリング操作や、左右イヤフォンのバッテリー残量、接続コーデック、ノイズキャンセリングの調整や、外音取込みレベル調整、音質のカスタマイズ、紛失したイヤフォンを探す機能なども備えている。

イヤフォンの筐体は小型の円型デザインで、オーナメント部に「Technicsヘッドフォンの上質なデザインを象徴する」というスピン加工を施した。充電ケースはアルミ素材を活かした堅牢な作りで、TechnicsのHi-Fiオーディオを象徴する天面ヘアラインと刻印ロゴを施している。

バッテリーの持続時間は、イヤフォン単体で約6.5時間(NC ON/AAC時)、約7.5時間(NC OFF/AAC時)。充電ケースを併用すると、約19.5時間(NC ON/AAC時)、約22.5時間(NC OFF/AAC時)の使用が可能。充電時間は約4時間。充電ケースの端子はUSB-C。重量は、イヤフォンが片方7g、充電ケースが約65g。イヤフォン部のみ、IPX4の防水性能を持つ。付属のイヤーピースはS/M/L/XL。