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シャープ、有機ELテレビ初参入。8K映像技術応用の4Kプレミアムモデル「CQ1」

シャープ初の4K有機ELテレビ「CQ1シリーズ」

シャープは、新4K衛星放送チューナーを搭載した4Kテレビの新製品として、有機ELパネルを採用した「CQ1シリーズ」を5月23日より発売する。55型と65型の2サイズを用意し、どちらも価格はオープンプライス。店頭予想価格は55型「4T-C55CQ1」が28万円前後、65型「4T-C65CQ1」が42万円前後。

CQ1シリーズは、シャープ初の有機ELテレビ。数年前から、LGを始めとしたテレビメーカー各社では有機ELモデルが投入されていたが、液晶テレビを代表するブランド・AQUOSを有するシャープは液晶方式以外のパネルをテレビで採用していなかった。

有機ELテレビの初導入について、同社は「大画面テレビにおける有機ELテレビの広がりとともに“シャープの有機ELテレビもほしい”というユーザーの声に応えた」と説明。またCQ1シリーズにAQUOSのブランド名は付かないが、「有機ELならではの漆黒の表現と、8Kで培った映像技術で圧倒的な映像美を目指した“4Kプレミアムモデル”」と位置付けている。

シャープではスマートフォン用有機ELパネルの製造や、中型サイズのフレキシブル有機ELパネルを開発しているが「CQ1シリーズは自社製パネルでは無い」とのこと。他社同様、LGディスプレイ製造の有機ELパネルを採用しているものと思われる。

なお、同時発表の4K液晶テレビ「AQUOS CN1/CL1シリーズ」は、別記事で紹介している。

65型4K有機ELテレビ「4T-C65CQ1」

CQ1シリーズでは、4K/3,840×2,160ドットの有機ELパネル(倍速対応)と、8Kテレビの開発で培った映像技術を応用した新開発の4K画像処理エンジン「Medalist S1」を組み合わせることで、シャープならではの有機EL画質を追求している。

新開発の4K画像処理エンジン「Medalist S1」

今回新たに、コントラストを緻密に表現する独自アルゴリズム「スマートアクティブコントラスト」機能を搭載。映像信号に含まれるシーンごとの輝度分布を解析し、SDRの放送や、各方式のHDR映像に応じて明暗描写を最適化。光の煌めきや白飛び、闇夜の漆黒の黒潰れを抑え、メリハリある映像を表現できるという。

コントラストを緻密に表現する独自アルゴリズム「スマートアクティブコントラスト」

また有機ELパネルの採用と合わせ、パネルの輝度性能を最大限に引き出す独自制御「Sparkling Drive(スパークリングドライブ)」を新開発。

前述のスマートアクティブコントラストによって処理した映像をベースに、パネル特製に応じた輝度制御を実施。画面全体が暗く一部だけが明るいシーンでは、漆黒から煌めきまでを緻密にコントラストを表現し、自然な立体感を再現。一方、画面全体が明るいシーンでは、ハイライトでも白飛びを抑えた忠実な色表現とし、明るく色鮮やかな映像を表示するという。

ほかにも、コンテンツの解像度や映像フォーマットを判別し、地デジや動画配信、4K放送も独自のアルゴリズムで高精細化する「4K Masterアップコンバートプロ」や、広色域技術「リッチカラーテクノロジープロ」を引き続き搭載。

リッチカラーテクノロジープロに関しては今回、有機ELパネルの広色域性能と8Kパネルのカラーマッピングを応用した色彩表現力の組み合わせにより、4K放送で使われるBT.2020色域を豊かに表現。RGB各色の階調を描き分け、10億色以上の色を表示するとしている。

独自のアルゴリズムで高精細化する「4K Masterアップコンバートプロ」
広色域技術「リッチカラーテクノロジープロ」

HDR規格は、4K Ultra HD Blu-rayなどのHDR10と4K放送のHLG、そしてDolby Visionをサポート。従来よりも広い輝度情報を画像処理エンジンで忠実に復元し、映像本来の風景の奥行き感や素材の質感までをリアルに再現するという。

動きの速い映像で発生しがちな動画ぼやけを低減する応答技術「スキャンスピード」も搭載している。

音声を前方に導くリフレクター構造を採用した「FRONT OPEN SOUND SYSTEM PLUS」

4Kプレミアムモデルとして、サウンドシステムにも力を入れている。

搭載するサウンドシステムは2.1ch・7スピーカー構成の「FRONT OPEN SOUND SYSTEM PLUS」で、総合出力65Wを実現。音声を前方に導くリフレクター構造と、スピーカーネットを排した独自設計・FRONT OPEN SOUND SYSTEMの強化バージョンで、左右に10Wのツイーターシステムを搭載することで、高音質に磨きをかけた。

15Wのミッドレンジスピーカーは、薄型ながら大容量を確保したBOXになっており、ツインスピーカーユニットによる高音圧化とバスレフ構造の工夫などにより、豊かな音域を広範囲に放射。テレビ筐体の薄型化と高音質化を両立させ、音声の聞き取りやすさと臨場感を高めたという。

2.1ch・7スピーカー構成の「FRONT OPEN SOUND SYSTEM PLUS」

搭載チューナーは、BS/CS 4K×2基と、地上/BS/110度CS×3基。外付けUSB HDDを接続することで、2K/4K放送の裏番組録画や、2K放送+2放送のW録、4K放送+2K放送のW録が行なえる。

最新のAndroid TV OSを搭載。AIが家族のよく見る番組や利用した時間帯を学習し、好きなジャンルの番組やよく見るタレントが出演する作品を教えてくれる「COCORO VISION」や、ビデオ配信の「COCORO VIDEO」、音楽配信の「COCORO MUSIC」、ゲームの「COCORO GAME」などの各種サービスが楽しめる。

リモコンのGoogleアシスタントボタンからの音声検索に対応。見たいジャンルや俳優の名前から番組検索や天気の確認などの操作に加え、Googleアシスタントからの操作に対応したエアコンなどの家電操作も行なえる。

対応する映像配信サービスは、COCORO VIDEOのほか、Netflix、Amazon Prime Video、dTV、Hulu、TSUTAYA TV、TELASA(旧ビデオパス)、GYAO!、DAZN、ABEMA(旧AbemaTV)、U-NEXT、、クランクイン! ビデオ、YouTube、スカパー! オンデマンドなどのほか、TVerやParaviなどの見逃しサービスに対応。

新モデルのリモコンには、従来ボタン(COCORO VIDEO/Netflix/YouTube)に加え、新たにAmazon Prime Videoのダイレクトボタンを搭載している。

リモコン

5月下旬配信予定のAndroid TVアプリ「COCORO HOME VIEWER」(無料)も対応し、スマホアプリCOCORO HOMEと連携したシャープ製家電がテレビで確認できるようになる。例えば洗濯機の運転状況や料理の出来上がり時間などの情報に加え、子供部屋の室温などもテレビの大画面で1度に確認できるという。

Android TVアプリ「COCORO HOME VIEWER」(無料)

CQ1シリーズでも、定評ある回転式スタンドを採用。外光の映り込みを避けたい場合や、視聴位置に合わせて画面を向きを変える場合などに有効で、左右計30度までスイーベルできる。

スイーベルが可能な回転式スタンドを採用

有機ELパネルの薄型筐体を活かした、壁寄せ設置も可能。ハヤミ工産製の壁掛け金具を専用オプションとして用意する。55型用の壁掛け金具「MH-651B/W」は1.5万円、65型用「MH-851B/W」は1.7万円。

HDMI入力は4系統で、いずれもHDCP 2.2対応、18Gbps(4K/60p/HDR)をサポート。入力2のみARCに対応する。ほか、ミニジャックのAV入力、ヘッドフォン/アナログ音声出力、光デジタル音声出力を用意。USB端子はメモリー用と、USB HDD用の2系統。LAN端子は100BASE-TX。

消費電力は65型が約490W、55型が約370W。年間消費電力量は65型が235kWh/年、55型が198kWh/年。

スタンドを含む外形寸法/重量は、65型が144.9×29×89.5cm(幅×奥行き×高さ)/約34.5kg、55型が122.8×29×77.1cm(同)/約28kg。

65型の側面
背面端子
側面端子