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ソニー、商号を「ソニーグループ」へ。PS5ゲームは「強力なラインナップをお届けする」

代表執行役 社長兼CEOの吉田憲一郎氏

ソニーは19日、2020年度の経営方針説明会を開催。2021年4月1日付で、グループ本社を担うソニーグループ株式会社を発足させると発表。さらに、金融事業に対する経営力をさらに強化し、グループ全体の企業価値向上につなげるため、ソニーが約65%の株式を保有しているソニーフィナンシャルホールディングスの完全子会社化に向け、同社株券などに対する公開買付けを実施する事を明らかにした。

現在のソニーは、ソニーグループの本社機能と、エレクトロニクス事業の本社間接機能を備えている。この機能を分離・再定義し、2021年4月1日付で発足するソニーグループ株式会社が、グループ本社機能に特化した会社となる。

また、このソニーグループ株式会社発足に伴い、“ソニー株式会社”の商号は、ソニーグループの祖業であるエレクトロニクス事業を行なう、ソニーエレクトロニクス株式会社が継承する事になる。

各事業の進化の方向性

経営方針説明の冒頭、代表執行役 社長兼CEOの吉田憲一郎氏は、コロナウイルス感染症の影響が広がる社会の中で、長期視点に基づく経営の重要性を説明。ソニーのPurpose(存在意義)を「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」、経営の方向性を「人に近づく」と定義していると、改めて紹介。

その上で、ソニーグループの事業ポートフォリオは、「人」を軸とし、「人の心を動かす」コンテンツ事業とDirect-to-Consumer(DTC)事業、「人と人を繋ぐ」ブランデッドハードウェア事業とCMOSイメージセンサー事業、「人を支える」車載センシング、メディカル、金融の各事業で構成されていると説明。各事業の進化の方向性も紹介した。

ゲーム&ネットワークサービスでは、2020年年末商戦期に発売を予定している新型ゲーム機「プレイステーション5」の導入により、コンソールでのイマーシブなゲーム体験をさらに進化させるという。

ゲームの「スピード」の向上、コントローラーの進化による「触感」、そしてプレーヤーの周囲を音が飛び回るような3Dオーディオによる「音」が一体になることで、「これまでにない次世代機にふさわしいゲーム体験を提供する」という。さらに、ゲームタイトルもファーストパーティー、サードパーティーともに準備が進んでおり、「近々、強力なラインナップをお届けできる」と、自信を見せた。

音楽事業については、EMI Music Publishingの買収による音楽出版事業の強化や、ストリーミング市場の伸長により、安定成長を見込んでいる事を紹介。海外の音楽事業では、昨年8月に音楽制作と音楽出版を合わせたSony Music Groupを発足。「Most Talent Friendly Music Company」をビジョンとして掲げ、レーベルと出版がアーティストを全方位からサポートする体制を構築していくという。

また、音楽、アニメ、キャラクタービジネスなど多様なIPの軸でヒットを創出する日本の音楽事業でも、アーティストマネジメントを強化していくという。

映画事業では、DTCサービスが続々と立ち上がり、コンテンツ需要が以前にも増して高まっているという。こうした中で、独自IPの展開とクリエイティブ強化に投資、「幅広いジャンルで優れた映像エンタテインメントの製作を継続する」という。

一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による映像コンテンツ消費行動の変化も注視。作品公開の再開に向けてクリエイティブコミュニティや劇場などのサプライチェーンパートナーと連携していくという。

アニメに関しては、DTCサービスを通じて日本のアニメを世界中に届けることにグループを挙げて推進。成長が見込まれる中国でのデジタルエンタテインメントに関しては、既にbilibiliとのアニメ、ゲームを中心とした資本・業務提携を実施しているが、こうしたアニメ、ゲーム、音楽などの領域で現地企業との関係を強化していく姿勢を示した。

また、社会現象的な人気となっている「鬼滅の刃」については、アニメに加え、同作品のモバイルゲーム、PS4向けゲームも展開していく。

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業では、音・映像・通信の技術によってリアリティ・リアルタイムを極める商品・サービスを引き続き展開。「遠隔で人と人、人とモノをつなぐリモートソリューションへのニーズの高まりにも貢献していく」という。

メディカル事業では、長年培ってきたイメージング、ディスプレイ、メカトロニクスの技術を活かし、長期視点で人々の健康に貢献する取組みを一層強化。新型コロナウイルス感染症拡大による商品需要やサプライチェーンへの影響に対しては、環境変化に応じた体質の強化に取り組むという。

イメージング&センシングソリューションズ事業では、現在の不透明な市場環境を踏まえ、2021年度以降の需要に向けた設備投資計画は慎重に見極めるという。しかし、「イメージングでのグローバルNo.1を堅持し、センシングでも世界No.1をめざすという目標は維持する」という。

また、「人と人を繋ぐ」モバイル機器でのセンシングに加え、長期での成長が期待される「人を支える」車載センシングなどの分野にも注力。イメージセンサーは、AI時代のキーデバイスになるとし、14日に発表した、イメージセンサーにAI処理機能を搭載した世界初の「インテリジェントビジョンセンサー」や、19日に発表した同センサーにおける、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure AI」との協業も説明した。

吉田社長兼CEOは「ソニーの社会的使命は“感動”を創り、届け続けること」とし、人々が感動で繋がるためには、“人”、“社会”、“地球環境”が健全であることが前提。それを実現するために、さまざまな環境への取り組みを実施。新型コロナウイルス感染症に関する支援としては、1億ドルのグローバル支援基金を立ち上げるなど、医療、教育、クリエイティブコミュニティへの支援を実施している事を紹介した。