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動画に特化した新スタイルLUMIX「BGH1」、ネット配信やドローン空撮にも

LUMIX「BGH1」

パナソニックは、デジタルカメラLUMIXシリーズの新製品として、マイクロフォーサーズ規格のセンサーとマウントを搭載し、動画撮影に特化させた新機軸の「BGH1」を11月19日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は25万円前後。

静止画撮影に加え、高い動画撮影能力も備えたマイクロフォーサーズの「GH5S」をベースとしながら、動画撮影に特化させ、さらにフルサイズのSシリーズで培ったソフトウェアまわりの進化を投入。GH5Sがベースでありながら、Sシリーズにも近い動画撮影能力を備え、それでいてコンパクトなボディとなり、ジンバルへの設置やドローンへの搭載にも対応できる動画用カメラとなっている。

なお、モニターは本体に搭載していないため、外部ディスプレイと組み合わせて使用したり、アプリ経由で遠隔操作するといった使い方が基本となる。また、ジンバルや三脚との組み合わせを想定し、ボディ内手ブレ補正は搭載していない。外形寸法は約93×78×93mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約545g。

新型コロナウイルスの影響もあり、スポーツや料理、家庭教師、音楽教室の指導など、オンラインレッスンが盛況になったり、イベントのオンライン配信も増加。音楽ライブの配信では、多くのカメラを設置して様々なアングルの映像や、演出を加えた映像を配信するニーズが高まるなど、ライブ配信市場が活性化している。

そうした市場に向け、コンパクトなサイズながら、記録時間無制限の動画撮影能力や、編集にも耐える高画質・高音質、より確実な接続や、長距離配信にも対応できるSDI端子の採用など、業務用カメラに近い高信頼も実現。小規模のプロダクションや、カメラオペレーターなど、幅広い配信業務に対応、「映像の仕事を増やしたい事業者」が主なターゲットだという。

活用イメージ
上から見たところ

GH5Sと同様の、有効1,028万画素の4/3型Live MOSセンサーを搭載。GH5Sと同様に、高解像度化をあえて抑える事で、センサーのセルサイズをGH5よりも約1.96倍大きくしたもので、高感度性能に優れている。

「デュアルネイティブISOテクノロジー」も搭載。一般的なセンサーでは、ピクセルの受光部1つに対して、1つのゲインアンプを搭載するが、そのアンプでISO感度を上げると、ノイズも一緒に増えてしまう。

そこで、1つの受光部に対して、ゲインアンプの前段に「低ISO感度回路」と「低ノイズ・高ISO感度回路」を配置。「低ノイズ・高ISO感度回路」は、ISO800までの低い感度は不得意だが、それよりも高感度域を得意とする回路で、設定にあわせてこの2つ回路を切り替える事で、ノイズを抑えた高感度撮影を可能にしている。

ここまでの性能はGH5Sと同等のものだが、さらに進化したポイントとして、Cinema4K(4,096×2,160ドット)60p/4:2:0/10bitの映像を、BGH1は内部記録可能。GH5やGH5Sでは、4K60p/4:2:0/8bitまでの内部記録だった。

Cinema4Kではない、4K(3,840×2,160)/60pでの撮影も可能。対応コーデックはMOV/MP4。

10bit V-Log Lにも対応。高い編集耐性のある映像を撮影できるほか、LUT表示機能も搭載。V-Log Lビューアシストによる利便性も両立している。

ハイライト耐性も高く、GH5Sを超える13ストップのダイナミックレンジを実現。Log撮影やポストプロダクションでのカラーグレーディングを行なわなくても、シネマカメラVARICAMやS1Hの絵作りの思想を反映したルックを再現するシネライクガンマを使うことで、シネマライクで印象的な絵作りが可能。ダイナミックレンジを優先した「シネライクD2」、コントラストを重視した「シネライクV 2」をフォトスタイルから選択可能。

GH5Sと同様に、VFR(バリアブルフレームレート)撮影が可能で、クイックやスローモーション撮影に対応。

リアルタイム認識AFは、Sシリーズで培った技術を投入する事で、GH5Sから進化。ディープラーニングを応用した自動認識のアルゴリズムに、人体の「頭部認識」を加えることで、人物に対するAF追従性能を強化したリアルタイム認識AFを搭載。動く被写体や、人物の顔が隠れてしまうようなシーンでも、頭部と人体の位置やサイズ、画角により撮影意図をカメラが自動で判別し、背景抜けを抑えながらフォーカスし続ける。人の顔と瞳を検知し、自動でピントを合わせる「顔・瞳認識AF」も「頭部認識」により、遠くの小さな顔も認識し続けられる。強化された「人体認識AF」と「顔・瞳認識AF」の組み合わせで、人物へのより高精度なAF追従を実現。また「動物認識AF」も搭載しているので、動物に対しても高いフォーカス性能を発揮する。

動画の記録時間無制限を実現するため、高性能ながら省電力のヴィーナスエンジンを採用。独自の放熱設計シミュレーションも駆使し、動作保証温度内でのオーバーヒートを抑制したとする。これにより、GH5Sよりさらに小さな筐体でも、すべての動画記録モードにおいて動作保証温度内における記録時間無制限を実現。長時間撮影を可能にすることで30分を超えるノーカット撮影やドキュメンタリー撮影など、幅広いプロの撮影現場の信頼に応えるとする。

背面にはダブルのSDカードスロットを装備。UHS-II対応で、リレー記録や振り分け記録、バックアップ記録が選択可能。

Sシリーズにも搭載された撮影アシスト機能も投入。いずれも外部モニター接続時に利用するものだが、VLog Lビューアシスト、動画フレーム表示、録画中にモニター表示の周囲に赤枠が出る「赤枠表示」、アナモフィックデスクイーズ表示、ゼブラパターン(2つ同時表示)、スポット輝度メーターも備える。

LUMIXシリーズでは初となるBNC端子を装備

背面にはLUMIXシリーズでは初となるBNC端子を装備。SDI出力、TC/IN OUT、GenLock INを備えている。映像に時間情報を埋め込むタイムコードは、時間情報を用いて編集が簡単になる機能。GenLockはフレームの位相を同期させるもので、高速フレームレートのスポーツなど、複数カメラを完全に同期させる際に活用できる。これを両方組み合わせる事で、高精度な映像制作が可能。

さらに、USB-CやHDMI出力、LAN端子、マイク端子、ヘッドフォン出力を背面に備えている。

3G-SDIからは4K映像は出力できず、1080/60p/4:2:2 10bitまでとなるが、コネクタを強固に固定でき、ケーブルの長さも100m以下まで対応できるなど、業務用途に使いやすいSDIの特性を活かせる。なお、HDMIとSDIの同時出力も可能。メニュー表示はどちらか片方のみとなる。

LAN端子を用いて、最大12台のカメラを遠隔制御できる。LAN制御用のSDKも、今後一般公開予定。今後のファームウェアアップデートにより、LAN経由でのライブ配信にも対応予定。発売に合わせて公開する専用ソフト「LUMIX Tether for Multicam」をパソコンへインストールし、パソコン画面上でライブビューを確認できる。指定したカメラの絞り、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスなどの設定を変更することも可能で、マルチカメラ撮影時の細かな設定をスムーズに行なえる。また、USBケーブルを経由して同様の制御を行なうことも可能。USB用SDKも公開する。監視カメラのように、PoE+対応機器からLANでの給電にも対応。LANケーブル1本で、配信から電源供給もまかなえる。

これ以外の給電方法として、付属のACアダプターが使えるほか、別売で業務用バッテリーも取付可能。AG-VBR59/89G/118Gが利用できる。

また、別売の「DMW-XLR1」を接続する事で、XLRマイクからの音声入力が可能。

別売で業務用バッテリーも取付可能