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JASRAC vs 音楽教室の控訴審“生徒の演奏に著作権は及ばない”判決

音楽教室で教師や生徒が演奏した際に、著作権料をJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)に支払う必要があるかを、音楽教室事業者とJASRACが争っている訴訟の控訴審判決が18日、知的財産高等裁判所であった。一審判決は講師・生徒どちらの演奏にも著作権が及ぶとの判断が下っていたが、その一審判決を変更、生徒の演奏には著作権は及ばないという判断となった。

JASRACは、「この結果を承服することができないため、判決文を精査したうえで、上告を含めしかるべき対応を検討してまいります」とコメントしている。

JASRACは音楽教室での演奏について、2003年から最大手のヤマハ音楽振興会(当時)、その他音楽教室を運営する楽器メーカーに利用許諾手続きを求めてきたが、合意に至らなかった。

その後、2017年に音楽教室事業者で構成される「音楽教育を守る会」が設立されたが、同会との協議でも合意に至らず。JASRACは2017年6月7日、音楽教室での演奏等に関する使用料規程を文化庁長官に届け出た。

これに対して同月、音楽教室事業者がJASRACを被告とし、音楽教室での音楽著作物の演奏利用について、JASRACが請求権を有しない(著作権が及ばない)ことを確認するために提起したのが今回の訴訟となる。

音楽教室事業者側は、音楽教室事業における音楽著作物の利用主体は音楽教室事業の事業主ではなく「教師または生徒」と主張、JASRAC側は「演奏利用の態様(教師が演奏するか、生徒が演奏するか、録音物を再生するか)にかかわらず、音楽教室における音楽著作物の利用主体は音楽教室事業者」と主張。一審ではJASRACの訴えが認められた。

一方、今回の控訴審判決では「教師の演奏および録音物の再生については音楽教室事業者が利用主体である」としたものの、「生徒の演奏については音楽教室事業者が利用主体であるとはいえず、物理的に演奏行為を行なっている生徒が利用主体である」と判断され、この部分の原判決が変更された。