ニュース

オンキヨー、債務超過を解消できず上場廃止へ

オンキヨーホームエンターテイメントは31日、債務超過が解消できず、2021年3月期において、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する見込みと発表。同社株式は31日から監理銘柄(確認中)指定となり、6月25日開催の株主総会後に提出予定の有価証券報告書により、東京証券取引所が上場廃止基準に抵触していることを確認した上で、整理銘柄に1カ月程度割り当てられた後、7月末頃に上場廃止となる見込み。

オンキヨーは、「上記の期間中は市場での売買は可能であり、また、株主様の権利につきましては、上場廃止後も株式を保有された場合は、当社の株主としての権利は従来どおりとなります。株主の皆様をはじめ、関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます」とコメントしている。

オンキヨーホームエンターテイメントグループは、経常損失が継続し、取引先に対する営業債務の支払遅延が発生。状況を解消するため、2019年5月21日付でホームAV事業の譲渡契約を締結し、譲渡対価で得た資金によって支払遅延の解消及び既存借入金の返済を進め、財務状態の改善を図る計画を準備していたが、譲渡の実行に必要な契約の締結や資金調達の確保など、様々な条件を達成することが難航。譲渡を中止した。

その後、大規模なエクイティファイナンスによる資金調達により、営業債務の支払い遅延の解消を目指したが、株価の低下により調達金額は計画を大きく下回り、新型コロナウイルス感染症の影響から生産及び販売活動も限定され、当初予定していた経常収入が得られなかったこと、米国の主要販売代理店の業績悪化に伴い債権の回収可能性が著しく低下したことから、2020年3月期において、33億5,500万円の債務超過となり、上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となった。

その後も、デット・エクイティ・スワップによる株式発行や、包括的株式発行プログラム(STEP)による新株式発行、米国における販売代理店の変更による米国市場での販売強化などで、2020年10月にはグループを再編。主力のホームAV事業に再注力して経営を立て直す体制を整えていた。

しかし、株価に連動したSTEPによる新株発行の調達金額が大きく下回り、各取引先との支払遅延の十分な減少や2021年3月末までの債務超過の解消が困難と見込まれる状況に。そこで、債務超過を解消し、上場廃止を回避することを目的としたEVO FUNDを割当予定先とする第三者割当による新株予約権の発行も決議。今年の3月15日には、各債権者との交渉を経て、第三者割当によるC種種類株式の発行も決議。割当先による新株予約権の行使により債務超過解消を目指すもので、行使は割当先の裁量によるものだが、3月30日にはその払込も完了していた。

しかし、支払遅延の解消の遅れや部品の供給状況の逼迫などによる売上、および利益の減少が見込まれることに加え、旧米国販売代理店の経営状況悪化による貸倒引当金の計上を見込んだことなどにより、当期純損失は59億8,000万円となり、結果として債務超過解消のための不足額が23億1,900万円残る見込みとなった。

第11回新株予約権、第12回新株予約権は合計50億円の増資を可能とするもので、その行使について割当先のEVO FUNDと協議を重ねていたが、「本日になって、EVO FUNDとしては、最終的にその行使をしない判断をされた」という。