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オンキヨーのホームAV事業、シャープらに33億円で売却

オンキヨーホームエンターテイメントは26日、シャープとVOXXが合弁で設立する新会社に、オンキヨーのホームAV事業全てを譲渡する契約の締結を当社取締役会で決議した。譲渡額は約33億円。

オンキヨーは2019年5月に、デノンやマランツなどのオーディオブランドを持つSound Unitedのグループと、オンキヨーのホームAV事業の譲渡契約を締結し、譲渡対価で得た資金によって支払遅延の解消及や既存借入金の返済を進める予定だったが、交渉が難航し、譲渡を中止。

その後、新株式発行などで資本の増強を図り、2020年10月にはグループを再編。主力のホームAV事業に再注力して経営を立て直す体制を整えていたが、新株発行の調達金額が予想を大きく下回った事などが影響し、債務超過が解消できず、東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触。7月末頃に上場廃止となる予定。

上場廃止の見込みになったことを受け、オンキヨーは事業を継続するため、昨年から米国販売代理店となった11 Trading Companyの親会社であるVOXX、そしてオンキヨーとの合弁工場であるS&O Electronics(Malaysia)を通じて以前より取引のあったシャープを相手に、事業譲渡に関する協議を実施。ホームAV事業のビジネスにおいて、既に両社と協力関係にあり、事業譲渡のパートナーとして適任であると判断。VOXXとシャープが合弁で設立する譲渡先新会社に対し、ホームAV事業を譲渡することを決めたという。

その上でオンキヨーは「ホームAV事業の将来的な発展も見込まれ、その対価も、当社の事業の評価からみて公正なものといえるが、厳しい契約条件を伴う」という。

また、譲渡による対価の大半はホームAV事業に関連する債権者の弁済に充てられるが、それでもオンキヨーの経営状況や資金繰り、現在生じている営業債務の支払遅延の全てを解消できないという。

一方で、「このまま自らの力のみで事業運営を続けていくことはもはや困難」とし、「このまま法的整理手続等に移行し、今日まで支えていただいた債権者の皆様の債権がカットされるような状況に陥ることは是が非でも避けなければならない」とし、「本事業譲渡が唯一のとり得る方策であり、これを選択するに至った」と説明。

今後については、「残存する事業においても協業先やスポンサーを継続して探すとともに、構造改革やスリム化によるコスト削減を早期に実現し、小規模でも確実に収入を確保できる体制を整えていく」としている。