「ひかりTV」契約数が50万件突破。録画機能などの計画も

-地デジ再配信は年度内17エリア、BSは第2四半期に


ひかりTVのキャラクター「ひかりカエサル」

3月23日発表


 株式会社NTTぷららは23日、運営する映像配信サービス「ひかりTV」の契約数が3月11日に50万件を突破したと発表。合わせて、サービス開始1周年を迎えた現状や今後のサービス拡大に関する計画などを説明した。

ひかりTVのメニュー画面

 ひかりTVは、NTTの「光ネクスト」と「フレッツ光」ユーザー向けの映像配信サービス。VOD型と多チャンネル放送型の2サービスを展開しており、東京と大阪の「光ネクスト」利用者向けに、多チャンネル放送サービスで地上デジタル放送のIPによる再送信も行なっている。

 板東浩二社長は1年間を振り返り、「ひかりTVの前に提供していた4th MEDIAでは、10万人集めることに苦労していたが、(オンデマンドTVやOCNシアターを統合した後の)9月以降は順調に伸びて、12月末には約39万人となり、3月末には約52万契約を見込んでいる」と説明した。

 プラン別の加入状況としては、多チャンネル放送(53ch)とVOD 5,000本の見放題がセットの「お値うちプラン」(月額3,675円)が最も多い58%で、多チャンネル放送(53ch)を基本とし、VODがオプションの「テレビおすすめプラン」(月額2,625円)が23%、VOD 5,000本見放題と基本放送(10ch)の「ビデオざんまいプラン」(月額2,625円)が13%。

 この結果について板東氏は「我々のミッションはVODのマーケット開拓だと思っている。約7割(お値打ち+ビデオざんまい)がVODを利用しているということは大きな意義がある」とした。また、ひかりTVの視聴実績(本数ベース)は、4th MEDIAの約7倍という結果を挙げ、「5,000本見放題というサービスが寄与しているのでは」と述べた。

板東浩二社長

年間のユーザー数推移

約6割が多チャンネル/VOD見放題両対応のプランに契約
4th MEDIAとひかりTVの視聴数比較(本数ベース)。4th MEDIAを100としている

 ユーザーを対象に2008年11月に行なったアンケート調査では、ひかりTVに契約する前、CATVやCSに加入していたかどうかについてCATVは75%、CSは80%が「一度も加入していない」と回答。坂東氏は「他サービスと競合すると言われていたが、大半のユーザーは新規」とし、マーケットの拡大に貢献したことを強調した。

 2009年度の目標ユーザー数は、サービス開始当初の79万から110万に大きく上方修正、損益分岐点は「約90万ユーザー」とする。2010年度の予定数を1年前倒しする形となる。昨今の経済状況悪化についても「ネガティブには捉えていない。土日も家で過ごす人が増えていることから、どちらかといえばプラスでは」とした。

 

ユーザーの大半は、CATVやCS加入経験がないという

ひかりTVのビジネスモデル

今後の目標ユーザー数


■ 録画機能、BS再配信などの計画も

主なサービス拡充計画の内容

 今後のサービス拡充計画としては、多チャンネル放送のHD化を4月から15chに拡大することを発表しているが、その後も10月に約30chまで増やす予定。VODのHD化についても現在の約2,000本から、映画やドラマなどを中心に約3,000本まで拡大するという。

 また、BSデジタル放送の再配信については技術や事業性などの面で検討を進めており、放送局などの同意を得ることで2009年度第2四半期のサービス開始を目指す。

 地上デジタル放送の再配信エリアについては、現在の東京・大阪のほか神奈川、愛知でも3月24日より再配信が開始される。なお、町田市など一部の地域についてはNTTの事業エリアの違いからこれまで地デジ再送信が行なわれていなかったが、町田市の大部分の地域では3月24日より提供を始める。

 そのほかにも埼玉と千葉で5月、兵庫と京都で8月からの地デジ再配信開始を予定。また、北海道、福岡、静岡、広島、宮城、新潟、栃木、群馬、茨城でも2009年度内の開始を検討している。

多チャンネル/VODのHD化についてのロードマップ

地デジ再送信の提供エリア拡大計画

 対応機器では、これまで専用STBのほか、液晶テレビでは東芝「REGZA」やシャープ「AQUOS」の一部機種が対応していたが、今後はAV機能を搭載したPCでも対応予定で、時期などを東芝、NECと調整中。PCでは、ソフトウェアベースで視聴が行なえるという。ただし、テレビ/PCとも地デジの再送信については非対応となっている。

 また、多チャンネル放送サービスについては録画機能も実装予定で、HDD搭載STBを投入する2009年度内の開始を計画。裏番組録画、追っかけ再生、ダビング10などの機能に対応予定とするほか、LAN内でのマルチルーム再生といった機能についても対応を進めるとしている。

現行のSTB

テレビの対応機種はREGZAとAQUOSの一部モデルNECと東芝のPCが対応予定として参考展示された
社内にあるスタジオも報道陣に公開。ひかりTVの自主チャンネルで放送される番組の収録や編集などを行なっている。視聴室も用意


(2009年 3月 23日)

[AV Watch編集部 中林暁]