JEITA、アナログ非搭載録画機の補償金問題で文化庁に反論

-SARVHへの「対象である」旨の回答撤回を求める


10月16日発表


 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は16日、「地上アナログチューナ非搭載のDVD録画機器を、私的録画補償金の対象機器とする」との文化庁著作権課の見解に反論し、「大変遺憾に感じている」との声明を発表した。

 JEITAでは、「無料デジタル放送の録画については、著作権保護技術(ダビング10)によりコピーが一定回数にコントロールされていること、さらに後から見るための録画(タイムシフト)であるため、権利者に大きな経済的損失を与えていないと考えられ、私的録画補償金の対象とすべきではない」という主張を行なってきた。

 一方、権利者団体においては、「(文部科学省と経済産業省の両大臣合意において)ダビング10の早期実現のための環境整備であることが明言されている」ことなどを理由に、アナログチューナ無しの機器でも補償金の対象機器となると主張しており、JEITAでは「ここ数年にわたり補償金をめぐる論点として関係者の合意が得られないまま現時点に至っている」との現状認識を示している。

 しかし、9月に文化庁著作権課がSARVH(社団法人 私的録画補償金管理協会)の照会に対し、「『無料デジタル放送録画は対象』と受け取れる回答を権利者側に伝えた」ため、JEITAでは「看過できるところではない」と言及。主婦連合会や、一般社団法人インターネットユーザー協会からも、同様の意見や要望が出されていることに触れ、「大変に遺憾に感じているところ」とする。

 このため、JEITAではこれまでの経緯と現在の見解をまとめている。JEITAは2月の意見書の中で、「無料デジタル放送の録画に対しては、課金されないことを明確に修正すべきである」と主張したが、文化庁は政令の形で応えることなく、施行通知の最終段階で「今後、関係者間の意見の相違が顕在化する場合には、その取扱いについて検討し、政令の見直しを含む必要な措置を適切に講ずる」としていた。

 しかし、9月にSARVHが「アナログチューナ非搭載DVD録画機器」が政令の対象かどうかを文化庁に照会したところ、検討すらなされず、照会の翌日に対象である旨を回答。JEITAは、9月14日に「関係者の合意のないまま、なぜ対象といえるのか」と文化庁に照会したところ、9月30日付で「文化庁として現行法令の解釈を示したものであり、5月22日の文化庁次長通知に則ったもの」との回答を受けたという。

 このため、JEITAでは「今回の著作権課長の見解は、平成20年6月の文部科学省と経済産業省で出された『ダビング10の早期実施に向けた環境整備について』の中で、『無料デジタル放送の録画の取扱等私的録音録画補償金制度のあり方については、早期に合意が形成されるよう引き続き努力する』との約束を反故にされるものであると受け止められる。消費者の方々も含め、これまで議論に参加してきた関係者も決して了解できるものではない」とし、文化庁に対し「誰もが理解出来るような合理的説明を求めていく。まずは著作権課長の『アナログチューナ非搭載のDVD録画機器は補償金の対象である』旨の回答については撤回していただくことが必要。その上で改めて、関係者の合意を得るための議論に積極的に参画したい」と訴えている。


(2009年 10月 16日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]