パナソニック、世界初3DプラズマTV「VIERA VT2」

-54/50型。階調表現など2D画質も向上。メガネ同梱


4月23日発売

標準価格:オープンプライス


 パナソニックは、世界で初めてフルハイビジョン3D映像に対応したプラズマテレビ「VIERA VT2シリーズ」を4月23日より発売する。54型の「TH-P54VT2」と50型の「TH-P50VT2」が用意され、価格はともにオープンプライス。店頭予想価格は54型が53万円前後、50型が43万円前後の見込み。 

TH-P54VT2TH-P50VT2

■ 3D対応フル・ブラックパネルで、世界初のフルHD 3D表示に対応

 パネル解像度は54/50型ともに1,920×1,080ドットのフルHD。最大の特徴は、薄型テレビとして世界で初めてフレームシーケンシャル方式のフルHD 3D表示に対応したこと。同時発表のブルーレイDIGA「DMR-BWT3000/2000/1000」や、Blu-ray 3Dソフト、同梱の3Dメガネを組み合わせて、家庭内でのフルHD 3D体験を可能とする。

 フレームシーケンシャル方式による3D映像の表示には、左眼、右眼用の映像を、従来の2D表示の2倍となる1/120秒で交互に表示。その映像を3Dで見るために、左/右の各映像表示に同期して、メガネの左右の目のシャッターを同期して開閉する「アクティブシャッターグラス」を利用する。

3D利用イメージVIERA VT2シリーズ

 VIERA VT2シリーズでは、インパルス発光方式のプラズマの特性を生かし、高画質の3D表示を実現するために3D対応「フル・ブラックパネル」を開発。新開発の3D対応駆動回路と組み合わわせ、3D表示を実現した。

 動画解像度1080本という応答性能に加え、新パネルに導入した新しい蛍光体などにより、3Dの高画質化が図られている。3D画質において問題になる2重像(クロストーク)は、左目/右目の各画像が交互の表示で残像が重なり合ってしまうため見える場合があるが、高速な画面書き換えが可能というプラズマの特徴を新パネルでさらに徹底することで、クロストークを抑制し、3D高画質化を実現している。

フレームシーケンシャル方式の3D表示に対応PDPの特性を生かし、クロストークの少ない3D表示を可能としたプラズマ発光の全ステップで効率改善

 ディスプレイ側だけでなく、3D視聴に必要な「メガネ」についても、独自の改良を図っている。VT2シリーズに1個同梱される「TY-EW3D10W(実売価格1万円前後)」は、ディスプレイの発光に合わせて3Dグラスのシャッターの開閉動作により不要光をカットし、クロストークを抑制する仕組みを導入。また、可変ノーズパッドの採用や、重量を63gに軽量化することなどで、視聴者の負担を抑制している。

 ディスプレイとメガネの間の間の信号伝送は赤外線を利用。バッテリはコイン型のリチウム電池「CR2032」を利用する。連続駆動時間は現在計測中とのことだが、「数十時間は利用できる(説明員)」としている。

新開発のシャッターメガネ「TY-EW3D10W」ツルの部分に下部に設けられたスイッチを長押しして電源をON/OFFできる-
3Dメガネ「TY-EW3D10W」は1台同梱3Dメガネの改善ポイント

 3D対応フル・ブラックパネルでは、3D表示の実現以外の高画質化も図られている。短残光の「高密度蛍光体」の採用と、新発光制御の導入による予備放電の排除などにより、「放電で紫外線を発生」、「紫外線で蛍光体発光」、「発光の光をパネルの外に取り出す」の3つのプラズマ発光のステップの全てで効率を改善。ネイティブコントラスト500万:1を実現している。

フル・ブラックパネル(右)と従来パネルの比較従来パネル(右)から空気層やガラス層を省いたことで光の透過効率が大幅に向上している

 紫外線変換効率については、新放電ガス(高キセノン)ガスを採用することで、セル内のキセノン濃度を増大。さらに新開発の誘電体材料を採用した新「ダイナミックブラックレイヤー」により、キセノン衝突による電子放出量を増加し、効率向上を図った。

 キセノン放電のためには、多くの電力が必要となり、省電力化が困難であったが、新ダイナミックブラックレイヤーにより、電極間の電界強度を高めることで、少電力での放電を可能としたほか、ハイブリッド放電駆動の搭載により、放電効率を向上。高輝度化/省電力化を実現した。

 また、粒径を小さくし、蛍光体密度を高めるとともに残光時間を従来の1/3に短くした新蛍光体を採用。蛍光体に効率よく紫外線を当てることで、高輝度/省電力化とともに、短残光特性を向上。3D表示でもクロストーク(2重像)を抑えたキレイな映像表示を可能とした。さらに前面パネルに配置していたブラックストライプを無くすとともに、電極構造もストレート化し、光の利用効率を向上し、省電力化を実現している。

 さらに、プラズマパネル前面板と一体となった新開発の「低反射ディープブラックフィルター」を採用。フィルタの光学性能を進化させている。これにより、明所コントラストも従来のV1シリーズと比べ、2倍に高まっており、明るい空間でも黒の質感表現が向上した。

3D映像の項目から、3D方式を選択可能

 3DはBlu-ray 3Dだけでなく、放送で利用しているサイドバイサイド方式やトップアンドボトム方式などのフレームシーケンシャル以外の方式に対応。サイドバイサイドで入力した映像をフレームシーケンシャル用の3Dメガネで視聴できるよう変換し、再生できる。VIERAのらくらくアイコンの「3D映像」の項目から、3D方式を選択可能となっている。


 

3D映像の項目から3D/2D変換切替で設定できる。ただし通常は3Dオートで問題ないサイドバイサイドの3D映像にも対応3D視聴時の注意も表示
 

■ 3D対応にあわせ、2D画質も大幅向上

3D対応のための新蛍光体導入などで、2D画質も向上

 同時発表のV2シリーズも、新パネル「フル・ブラックパネル」を採用し、コントラスト500万:1を謳う。VT2シリーズの3D対応「フル・ブラックパネル」は、3D表現のために蛍光体をより短残光化していることで、2D画質においても一層の向上が図られているという。

 2D表示時には、この短残光性能を階調表現に利用することで、階調表現力を2倍に向上。わずかな色やグラデーションの違いをしっかりと描き分ける。ここが、V2シリーズとの大きな違いとなり、3D対応のVT2シリーズが2Dの画質においてもフラッグシップモデル、と位置付けられる。

 

TH-P54VT2階調表現を大幅に向上している
 

 自動画質調整モードも搭載。視聴環境をセンサーで検知し、明るさ、黒レベルを自動調整するAI機能と連動し、周囲の明るさにあわせた色温度補正やコントラスト補正も行ない、最適な画質での表示を可能とする。また、HDMI 1.4で新たに定義されたコンテンツタイプフラグに対応。これは、出力機器側のコンテンツ情報を検出し、ディスプレイ側の画質を自動調整する機能で、例えばDIGAで映画を再生している際は、VIERAも映画モードに自動調整。また、デジタルカメラを接続した際は、写真表示用の「あざやか」に変更するなどの自動画質調整が行なわれる。

 SDコンテンツやゲームなどの低解像度コンテンツの高解像処理も独自のアルゴリズムで高画質化する機能を搭載。世界最高レベルという最大18bitの信号処理により、階調表現力を高めている。

 また、BDソフトでも色域圧縮されてしまう映画オリジナルの豊かな色をリマスターする「ハリウッドカラーリマスター」も搭載。DIGAの「ハリウッドクリアカラー」と組み合わせて利用することで、一層色の豊かな映像を楽しめるとする。インテリジェントエンハンサーやHDオプティマイザーなどの高画質化機能も備えている。


 

■ HDMI 1.4のARCやお部屋ジャンプリンクなど付加機能も充実

 チューナは全モデル地上/BS/110度CSデジタルを各2系統、地上アナログチューナを1基搭載。番組表はG-GUIDEで、最大12時間分の番組表が一覧表示できる「インテリジェントテレビ番組ガイド」に対応。1カ月先までの注目番組を写真付きでチェックできる「注目番組」機能や、ジャンル検索機能などを装備している。

 HDMI入力は4系統装備。VIERA Linkも強化し、DIGAやラックシアターとの連携を強化している。リモコンの「らくらくアイコン」ボタンを押すと、テレビでネット、ディーガ録画一覧、注目番組、3D映像、ジャンル検索、スライドショー、ビデオ一覧の5つのアイコンが現れ、各機能をすぐに呼び出し可能。

 VIERA Link対応のDIGAやラックシアターをVIERAのリモコンで簡単に操作できるほか、画面に表示されるパネルで、SDムービーカメラなどをコントロールする「画面deリモコン」も搭載している。

 加えて、HDMI 1.4で新たに追加されたオーディオリターンチャンネル(ARC)に対応。テレビなどのHDMI入力側から、シアターなどのHDMI出力機器にHDMI経由でデジタル音声信号を送ることが可能となる。VIERA Linkによるドアホンやセンサーカメラとの連携機能も備えている。

お部屋ジャンプリンクに対応アクトビラやYouTubeも利用可能

別売の無線LANアダプタ「DY-WL10-K」も用意している
 ネットワーク機能はアクトビラ ビデオ・フルに対応。さらに、DLNAベースのAVリンク機能「お部屋ジャンプリンク」を搭載し、DLNA/DTCP-IPクライアントとしてVIERA VT2を利用可能。DIGAでハイビジョン録画した番組を、別室などに設置したVIERAからストリーミング再生できる。

 VIERAから離れた場所のDIGA内の録画番組を表示する場合、画面デザインがDIGAの録画一覧画面と同じようなデザインを採用しているのが特徴。離れた部屋にもDIGAが存在しているような感覚で操作ができるという。


お部屋ジャンプリンクの画面。居間に置いてあるDIGAに別の部屋のVIERAから接続まず、ビデオを見るか写真を見るかを選択VIERAからリビングのDIGA内の録画番組を見ているところ。わかりやすくするため、画面のデザインがDIGAの画面デザインと同じになっている

 SDXC対応のSDメモリーカードスロットも装備し、AVCHD動画やJPEG画像の表示も可能となっている。デジタルカメラ「LUMIX」で撮影した16:9の写真をテレビ画面にっぱいに表示する「フルハイビジョンテレ写」も搭載。BGM(3曲)にあわせたスライドショー表示も行なえる。新たに写真を一層奇麗に表示する「プロ写真」モードも搭載。フィルム画質の研究に基づいたノウハウをカラープロファイルとして搭載し、デジカメの撮影写真を鮮やかで深みのある色合いで表示できるという。

 

リモコン
 省エネ機能の「エコナビ」も搭載。部屋の明るさに応じて、明るさや画質を調整することで最大10%の消費電力削減を実現。省電力の度合いを画面のバー表示で確認できる。また、10分以上映像や音声の信号が無い場合は自動で電源オフして節電するほか、対応VIERAとDIGA、ラックシアターの接続時に、BDレコーダ利用後にVIERAでのテレビ視聴に切り替えた際に自動でDIGAやラックシアターの電源をOFFにする「こまめにオフ」や、VIERAを使っていない場合、DIGAの待機電力モードも最小にする「ECOスタンバイ」などの機能を搭載している。

 デザインは、ダークブラウンのメタリックキャビネットの採用により、プレミアム感を演出。据え置きスタンドも光沢仕上げとし、高級感を演出している。スピーカーは、16cn×4cmのフルレンジ×2と10cm径ウーファ×1の2.1ch構成で、総合出力は20W。バーチャル3Dサラウンドシステムも内蔵しており、左右2つのスピーカーでも立体的な音響再生が可能という。

 3Dメガネ「TY-EW3D10W」は1個同梱。2個以上の同時利用のためには別途購入する必要があり、価格はオープンプライスで、4月23日より発売する。店頭予想価格は1万円程度の見込み。

品番TH-P54VT2TH-P50VT2
サイズ54V型50V型
解像度1,920×1,080ドット
消費電力未定未定
年間消費電力量237kWh/年
(参考値)
227kWh/年
(参考値)
スピーカー16×4cm×2(フルレンジ)
10cm径ウーファ×1
音声最大出力総合20W
入力端子HDMI×4
D4×1
コンポジット×3
S映像×2
アナログ音声×4
アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1
出力端子コンポジット×1
S映像×1
アナログ音声×1
光デジタル音声×1
イヤフォン×1
その他の端子モジュラー
Ethernet
外形寸法
(スタンド含む
 幅×奥行き×高さ)
1,319×387×883mm1,224×335×810mm
重量
(スタンド含む)
約33.5kg約30.5kg

(2010年 2月 9日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]