大阪でのデジタルラジオ試験放送が6月で終了

-「一定の成果。東京の試験に資源を一元化」


2010年6月30日終了

初のデジタルラジオ携帯として2006年12月に発売された、auの「W44S」
 社団法人デジタルラジオ推進協会(DRP)は29日、2003年10月から実施してきた、大阪における実用化試験放送を2010年6月30日で終了すると発表した。これにより、auの対応携帯電話などでのデジタルラジオ試験放送の聴取が6月をもって行なえなくなる。なお、東京での試験放送は継続される。

 大阪では現在、NHK(9102ch)と、NHK/朝日放送/毎日放送/ラジオ大阪/FM802/DRP大阪が番組提供するDRP大阪(9201/9301/9401/9501ch)が放送されている。


 試験放送終了の理由としてDRPは「番組制作の手法開発など一定の成果を得られたため」と説明。今後は「マルチメディア放送の実現を目指し、東京での実用化試験放送に人的資源等を一元化し、東阪一体となって各種試験を行なう」としている。

 DRPは、2011年7月のアナログテレビ放送終了後のVHF帯を利用したデジタルラジオの実用化を目指し、2003年10月から、東京と大阪で実用化試験放送を開始。映像配信やデータ配信など、新たな放送サービスの開発や技術試験を実施している。

VHF-LOW帯マルチメディア放送推進協議会が2009年6月の発表会で表示した周波数帯の説明図
 その後、情報通信審議会などでの具体的な審議により、アナログ停波後のVHF帯の利用方針が定まり、VHF-LOW帯(1~3ch)が地方ブロック向けマルチメディア放送、VHF-HIGH帯(10~12ch)が全国向けマルチメディア放送に利用されることが決定。HIGH帯では、フジテレビやNTTドコモなどが設立した「マルチメディア放送」が、地上デジタル/ワンセグで利用しているISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式を拡張したISDB-Tmm方式を提案。同じくHIGH帯にはKDDIやクアルコムが推進する「MediaFLO」も参加を表明している。

 一方、LOW帯では、伝送方式としてDRPで実施しているISDBTsbと呼ばれる方式を採用していることから、DRPの実用化試験放送は将来的に、LOW帯での放送のサービスの一つとして生まれ変わる事が見込まれている。

 また、現在実用化試験放送が実施されているVHF7チャンネルは、「警察・消防等の自営通信」のための帯域に割り当てられることになっているため、実用化試験放送の免許は2011年7月24日で終了。東京での実用化試験放送も終了となる。


(2010年 3月 30日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]