NHK、22.2マルチチャンネル音響を家庭で実現する技術

-8.1ch/3.1chで22.2ch相当の音響再現。技研公開に出展


5月20日発表


 NHKは、スーパーハイビジョン(SHV)の映像にマッチした音響システムとして研究を進めている「22.2マルチチャンネル音響」を家庭で利用可能にするための新再生方式を開発した。

22.2マルチチャンネル音響のスピーカー配置

 22.2マルチチャンネル音響システムは、上層に9チャンネル、中層に10チャンネル、下層に3チャンネルの3層に配したスピーカーと、2チャンネルの低域効果(LFE)スピーカーを利用。次世代テレビ規格としてNHKが研究しているSHV(解像度7,680×4,320ドット、フレームレート60Hzの映像)用の音響方式として取り組んでいる。

 一方、家庭に24個のスピーカーを設置することは非現実的で、家庭向けの展開を実現するためにはより少ないスピーカー数で同等の効果を得ることが求められる。そこで、今回8.1chと3.1chで22.2chシステム相当の音響を実現する方式を開発した。

 8.1chシステムは、8つのスピーカーと1つのLFEを利用。信号処理により聴取位置における再生音の大きさや方向を調整し、22.2chシステム相当の音響を実現する。

 3.1chシステムは3個のスピーカーと1つのLFEを利用。音が両耳に入るまでの伝達特性(頭部伝達関数)を用いて、聴く人の耳の入り口で22.2ch音響と同等の音を再現できるように信号処理するという。

音の大きさと方向再現に基づく8.1ch方式頭部伝達関数を用いる3.1ch方式

 また、あわせて22.2マルチチャンネル音響制作のための三次元音響ミキシングシステムを開発。最大で1,000個の音素材をミキシングでき、それぞれの音素材の聞こえる方向を、前後、左右、上下の好きな位置に設置できるという。これにより効率的に22.2chコンテンツを制作できるとしている。

 新システム音響システムやミキシングシステムは、2010年5月27日~30日に開催される「NHK技研公開2010」で展示する。

三次元音響ミキシングシステム三次元音響ミキシングシステムの処理

(2010年 5月 20日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]