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NHKとパナソニック、世界初145型スーパーハイビジョンPDP開発

−新駆動方式でちらつき抑える。5月の技研公開で展示


スーパーハイビジョン(SHV)表示用の145型プラズマディスプレイパネル

 日本放送協会(NHK)とパナソニックは27日、スーパーハイビジョン(SHV)表示用の145型プラズマディスプレイパネルを共同開発したと発表した。自発光、直視型のSHV(7,680×4,320ドット)ディスプレイの開発は世界初となる。

 PDPは大画面化が比較的容易であり、早い動きにも追従できる動画表示性能、高いコントラスト、高視野角などの特徴がある一方で、走査線数が増大すると画面がちらつくなど、不安定になりやすい課題があった。

 具体的には、セルに封入した希ガスに高い電圧をかけて発光させているPDPの原理上、秒間60フレームの映像を表示する際の走査線数が増えると、1本のラインが光るための時間が減っていく事になる。発光も高速で行なう必要が生じるが、そのために電圧を高めるなどすると、別のラインが発光してしまったり、上手く光らないなどの問題が起こり、映像がちらついたり、安定した表示ができない問題が発生するという。

 そこでNHKとパナソニックでは、これを解決する新たな駆動法を共同で開発。走査線が4,000本級のパネルにおいても、ちらつきのない、安定した映像表示を可能にしたという。

横から見たところ。視野角も広い デジタルカメラでズームして画面を撮影。細かなディテールまで確認できる

 パネルは145型(横約3.2m×縦約1.8m)で、解像度は7,680×4,320ドット。画素ピッチは0.417×0.417mm(横×縦)で、セルのサイズはフルHDテレビなど、従来のものより1割程度小さなものになっているという。フレームレートは秒間60フレーム。蛍光体配列はRGB縦ストライプ。アスペクト比は16:9。

 この大型パネルを作るにあたっては、大量のセルを綺麗に、均一に発光させるため、パナソニックが大型パネルの量産化技術で培ってきたセルの微細加工技術や、大画面均一形成技術も導入。専用のLSIなども開発されたという。

 なお、液晶では、NHKとシャープが7,680×4,320ドットに対応した85型の液晶ディスプレイを2011年5月に開発しているが、今回のPDPは、自発光の直視型SHVディスプレイの開発としては世界初となる。




■民生用製品の高精細化に技術を活用

左からパナソニックの役員で、AVC ネットワークス社の上席副社長の伊藤好生氏、NHKの久保田啓一理事・技師長

 パナソニックの役員で、AVC ネットワークス社の上席副社長の伊藤好生氏は、開発の経緯について「オリンピックのタイミングで、100インチ級のSHVパネルを作ろうと、2007年からNHKさんと取り組んできた。2009年5月には103型の高精細PDP、2010年5月には58型高精細PDPを開発し、NHK技研公開で展示もした。その間、パナソニックとしても103型のフルHDモデルや、152型の4Kモデルなど、大型プラズマの量産化技術を確立してきており、その技術と、NHKさんとの共同研究の成果が融合して、今回の145型SHV PDPが生まれた」と説明。

 商品化については、「このパネルをすぐに民生用としてビジネス化する事は考えていない。PDPの技術進化を極めるためのもので、高精細化ができれば、理屈上は例えば75型相当の4K2Kパネルも可能になる。42型フルHDパネルの高精細化も可能であり、そうしたパネルを作る上での克服すべき課題を、乗り越えられる技術が、今回のパネル開発で確立できた」とした。


 NHKの久保田啓一理事・技師長は、「家庭向けには80型クラスが良いところだと思っているが、145型などのサイズも、このサイズで用途は存在する。例えばパブリックビューイングなどだが、自発光・直視型であるため、(プロジェクタのように)シアターを作らず、大きな画面で見てもらえる」と説明。

 さらに、10年後を目処に実用化を目指しているスーパーハイビジョンについて、表示デバイスだけでなく、カメラや記録・再生装置、中継車、スイッチャー、映像符号化装置、伝送システムなど、関連機材の開発にも注力している事を紹介。また、SHVの規格を国際標準化するため、7,680×4,230ドット、アスペクト比16:9、フレームレート120Hz、走査方式プログレッシブ、ビット深度12/10bit、音響24ch(22ch+2ch LFE)という規格で、ITU-Rに提案・審議中だという。

開発までの経緯 SHV番組制作用の機材や、番組を伝送する機材などの開発も進められている NHKでは、SHVの規格を国際標準化すべく、ITU-Rへ提案している

 なお、今回開発されたPDPは、5月24日〜27日まで行なわれるNHK放送技術研究所の一般公開で展示するほか、6月3日〜8日まで米国で開催される国際会議 The SID International Symposiumでも報告される予定。



(2012年 4月 27日)

[ AV Watch編集部 山崎健太郎]