キヤノン、実売6万円の無線LANビデオカメラ「HF R32」

-スマホやテレビに撮影データを伝送。MP4録画も


「HF R32」のレッドモデル

 キヤノンは、ビデオカメラ「iVIS」シリーズの新製品として、ファミリー向けの低価格なモデルながら、無線LAN機能を内蔵し、スマートフォンやタブレット端末との連携機能も備えた「HF R32」を6月7日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は6万円前後。カラーはブラックとレッドの2色。

 ビデオカメラとしての機能は既発売の「R31」とほぼ同じ。R31との違いとして、上位モデルに搭載されている無線LAN機能を、低価格モデルながら採用している。さらに、同梱バッテリがR31の「BP-709」から「BP-718」に変更されており、連続時間がR31の約60分から、R32では約125分と、2倍近く伸びている。


「HF R32」のブラックモデル

 スマートフォンやタブレットとの連携を強化しており、AVCHDの動画撮影に加え、スマートフォンやタブレットでの視聴を想定したMP4ファイル形式での撮影にも対応している。MP4撮影時は1,280×720ドットで、MPEG-4 AVC/H.264のMain Profile、記録レートは9/4Mbps。フレームレートは30p/24pから選択可能。音声はAACとなる。最大記録時間は30分で、最大ファイルサイズは4GB。拡張子は.mp4で記録される。

 AVCHDで撮影する場合は、1,920×1,080/1,440×1,080ドット、記録レート24/17/12/7/5Mbpsから選択。MPEG-4 AVC/H.264のHigh Profileで、音声はAC3。フレームレートは60i/30p/24pから選択。最大記録時間は12時間、最大ファイルサイズは2GBとなる。ファイル拡張子は.MTS。なお、AVCHDとMP4を同時に記録する事はできない。

 さらに、IEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能を内蔵。DLNAにも対応しており、ビデオカメラ内の撮影動画(AVCHD)を、対応テレビから直接ネットワーク経由で視聴する事が可能。

 また、PCに付属ソフト「Network Utility」をインストールする事で、無線LANを介してPCに動画を保存でき、PCからYouTubeなどにアップロードする事も可能。前述のMP4モードで撮影した動画であれば、iPhoneから視聴・保存ができ、iPhoneからYouTubeなどにアップロードする事もできる。

 そのためのアプリとして、iOS用の「Movie Uploader」を無償提供。YouTubeだけでなくFacebookへのアップロードにも対応している。なお、AVCHDで撮影した動画の場合、Webへのアップロードに適したMPEG-2形式に、カメラ内でダウンコンバートする機能も備えている。

 また、上位モデル「M52」が3月のファームウェアアップデートで対応した、ビデオカメラ本体からの直接アップロードにも後日対応予定。MP4動画や静止画を「CANON iMAGE GATEWAY」のオンラインアルバムに無線LAN経由でアップロードできる。さらに、CANON iMAGE GATEWAYに保存した動画/静止画に対し、FacebookやTwitterからリンクを貼った投稿も可能。さらに、カメラからYouTubeへ直接動画をアップロードする事も可能になる。

 無線LANはWPSに対応し、3ステップで簡単に接続やセキュリティ設定が可能。接続先は3カ所保存でき、一度設定すれば、次回からは接続先を選ぶだけでネットワークにアクセスできる。

 ソフトは2種類あり、AVCHD用にピクセラ製「VideoBrowser Ver.2.0」を用意。YouTubeやFacebookへのアップロードに対応するほか、M52のみ、ビデオカメラから外付けHDDに直接保存した動画のフォルダを自動検出し、PCのライブラリに登録できる機能も備えている。対応OSはWindows XP/Vista/7。

 MP4ファイル向けには「ImageBrowser EX」というソフトも同梱。MP4動画と静止画を1つのブラウザで管理・編集・共有できるもので、MP4のカット編集にも対応。YouTube/Facebookへのアップロード機能も備えている。対応OSはWindows XP/Vista/7、Mac OS 10.6/10.7。

 有効約207万画素の1/4.85型CMOSセンサーを採用。独自のオンチップノイズリダクションによりクリアな画質を実現したという。さらに、フォトダイオードの上にあるマイクロレンズの透過率を改善する事で、約3%の感度向上を実現している。

 撮影状況に応じて、4種類のブレ補正制御をカメラが自動的に切り替える「マルチシーンIS」に対応。デフォルトでは、歩き撮りでもブレを抑える「ダイナミックIS」モードだが、望遠時には、体の揺れなどの低周波の手ブレを強力に補正する「パワードIS」、角度ブレやシフトブレを補正する「マクロIS」を用意している。さらに、三脚撮影を検知すると、自動的に三脚モードとなり、手ぶれ補正機能は停止される。

 35mm換算で38.5~1,232mmの光学32倍ズーム。撮像素子の有効エリアを効率的に使用する事で、ズーム領域を拡大させるアドバンストズーム使用時では51倍の33.9mm~1,729mmとなる。なお、AUTOモードでは光学ズーム+マルチシーンISで、アドバンストズームはマニュアルモードで使用可能。デジタル併用では1,020倍のズームも可能。

 シナリオモードも用意。学校行事やイベントなど、13のテーマから目的の物を選び、ガイダンスに沿って撮影していく事で、本格的な動画ができるというもの。例えば「旅行」のテーマを選ぶと「ワクワク・ドキドキ・準備万端!」、「旅のスケジュール紹介」、「旅の仲間を紹介!」など、撮り忘れを防ぐ撮影シーンの提案が行なわれ、「旅の仲間の表情を順番に撮影しましょう」、「相手の目線の高さにカメラを合わせて構え、固定すると良いでしょう」、「おすすめ撮影時間は4秒」など、撮り方のコツや、具体的な撮影アドバイスも表示される。

 付属のスタイラスペンを使い、映像にデコレーションできる「タッチデコレーション」機能も強化。27種類の合成フレームが選べ、従来は番号で表示されていたアニメーション効果が、アイコンで表示されるようになり、よりわかりやすくなっている。

 液晶モニタは3型、23万画素相当のフルフラットタイプ。タッチした被写体にフォーカスを合わせるタッチフォーカス機能や、タッチ追尾、タッチ露出も可能。外形寸法は54×115×55mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約250g。

液晶モニタは23万画素相当のフルフラットタイプ

[AV Watch編集部 山崎健太郎]