ソニー、画質と装着感を改善した新HMD「HMZ-T2」

-2D/3D画質を全面刷新。20%の軽量化も


HMZ-T2

 ソニーは、有機EL採用で720p/3D表示対応のヘッドマウントディスプレイ「HMZ-T2」を10月13日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は7万円前後。2011年11月に発売した「HMZ-T1」の後継機となり、装着性の改善や画質や音質の強化を図っている。

 ソニー製の0.7型/1,280×720ドット有機ELパネルを2枚採用したヘッドマウントディスプレイ。装着する事で、750インチのスクリーンを20mの距離から視聴したような大画面が楽しめる。3D映像表示にも対応。左右の目にそれぞれ別々の映像を表示できるため、3Dテレビなどにように左右の映像が混ざり合って二重に見える「クロストーク」が原理的に発生しない。また、偏光板やシャッターを介する必要も無いため、明るくてクリアな3D表示ができる。

 システムはヘッドマウントユニット部と、プロセッサや入力端子を備えたプロセッサーユニットで構成し、独自のケーブル1本(3.5m)で接続。プロセッサユニットにHDMI入力を1系統備えており、BDレコーダやPlayStation 3などを接続できる。HDMIスルー出力も1系統備えており、リニアPCM音声のほか、新たにドルビーデジタルとDTSにも対応した。


HMZ-T2
上部側面。イヤフォンの着脱を可能とした0.7型有機ELを採用
ヘッドパッドの装着感を改善左右独立して目幅調整が可能に
プロセッサユニット

 画質も従来モデルから全面刷新。パネルの主な仕様は共通ながら、レンズ特性を考慮した新エンハンスフィルターと14bitリニアRGB 3×3色変換マトリクスエンジンを採用し、画質モードのチューニングを全面的に見直した。新エンハンスフィルターは、光学レンズの周波数特性を考慮した特性とし、立体感を向上。デフォーカス部分(フォーカスが外れている部分)については強調せず、精細感重視でフルHDの印象を目指したという。

 また、14bitリニアRGB3×3色変換マトリクスエンジンにより、リッチな色ノリや画質モードを考慮したきめ細やかな色づくりを図った。パネルの応答特性を最大限に活かした発光制御を行なうことで動画ボケを抑える「パネルドライブモード」も搭載し、スポーツやアクション映画、ゲームなど動きのあるコンテンツでのボケを抑制。ゲームモードも新たに搭載した。

 また、24コマ映像をそのまま再現する「24p Ture Cinema」に対応したほか、色温度ナチュラルモードを採用。人間の視覚特性にあわせた自動映像調整を行なうようになった。従来同様に8bitの映像を14bit相当の階調表現でパネルに出力する独自のSBMV(スーパービットマッピング)技術も採用している。


0.7型有機ELを採用光学系

 「没入感」を高めるHMDというコンセプトは共通だが、本体重量は330gと、従来比20%、約90g軽量化。前方が重かった重量バランスも改善し、装着感を向上。また、額の部分にあてるヘッドパッドはワイド化することで分圧して、装着した際に額に痕がつくことを抑制したほか、グリップ感の高い素材の採用で安定性を向上。ヘッドパッドの位置調整も可能で、ヘッドバンドの長さ調整は装着しながら調整できるようになった。

 目幅調整も新たに左右独立で調整できるようになり、より快適な視界を実現できるとする。音量操作ボタンを左側、カーソルキーを右側に配置するなど押し間違えの防止にも配慮した。

イヤフォン

 また、新モデルではインナーイヤー型のヘッドフォンを採用。同社のMDR-EX300(6,175円)相当のイヤフォンが付属するほか、好みのイヤフォンに変更できるようになった。'11年モデルのHMZ-T1の本体と一体化したヘッドフォンは装着感への不満が出ていたほか、他のヘッドフォンが利用できないなどの意見が多かったという。

 そこで、イヤフォンを着脱可能とすることでこの課題を改善。これにより再生周波数帯域も5Hz~24kHzに向上(従来は12Hz~20kHz)するなど、音質面でも磨きをかけたとする。さらに、ハーモニクスイコライザーを搭載し、圧縮によって失われた情報を補間。消え際の微小な音を再現し、深みと伸びのある音場を実現するという。インナーイヤー/オーバーヘッドの「ヘッドフォンタイプ選択」にも対応。サウンドモードはシネマ/スタンダード/ミュージック/カスタムの4種類。


型番HMZ-T2HMZ-T1
(参考)
パネル0.7型/1,280×720ドット
視野角/
仮想画面サイズ
約45度
750インチ(仮想視聴距離20m)
パネル
ドライブ
モード
標準/クリア-
24p True
Cinema
-
画質モードダイナミック
シネマ
ゲーム
スタンダード
カスタム
ダイナミック
シネマ
スタンダード
カスタム
色温度ナチュラル
高/中/低1/低2
高/中/低1/低2
レンズ
間隔調整
5段階
(左右独立)
5段階
ヘッドフォン密閉型
インナーイヤー
オープンエア
ダイナミック
再生周波数5Hz~24kHz12Hz~20kHz
音声入力LPCM
ドルビーデジタル
AAC
LPCM
ヘッドフォン
タイプ選択
インナーイヤー
オーバーヘッド
-
消費電力15W
(0.25W)
15W
(0.35W)
外形寸法
(ヘッドマウント部)
187×254×104mm210×257×126mm
重量
(ヘッドマウント部)
330g420g
実売価格7万円前後6万円前後

HMZ-T2(右)とHMZ-T1(左)
HMZ-T2(右)とHMZ-T1(左)イヤフォンを脱着可能

 光の侵入を防ぐために、上部にライトシールドを追加したほか、下部のライトシールドも改善。遮光性を向上し、没入感を高めている。ヘッドマウント部の外形寸法は187×254×104mm(幅×奥行き×高さ)。

 プロセッサユニットの外形寸法は180×168×36mm(幅×奥行き×高さ)。消費電力は15W、待機時消費電力は0.25W。イヤフォンやS/M/Lの3種類のイヤーピースが付属する。

 なお、「子どもの成長過程への影響等を考慮して、小中学生と幼児(15才以下の子ども)には使用させないよう、お願いする」 としているほか、乗り物酔いの症状が出やすい揺れの激しい環境(車の中など)などでは利用しないよう要請している。


利用イメージ

■ 東京ゲームショウ2012で限定仕様のHMD展示も

 また、9月22日、23日に千葉県 幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ 2012(TGS 2012)」では、「人はどこまで没入できるか? 」をテーマとした特別企画ブース「HMZ没入快感研究所」を開催。特別に開発したヘッドマウントディスプレイ「PROTOTYPE-SR」を展示する。

 PROTOTYPE-SRは、ヘッドトラッキングシステムと、ライブカメラを内蔵したTGS 2012限定仕様のプロトタイプで、「映画の世界、音楽の世界が、現実世界に飛び込んでくる360度新感覚没入エンタテインメント」と説明している。TGSでPROTOTYPE-SRを体験するためには、9月13日までにFacebookページ「HMZ没入快感研究所」より申し込む必要があり、抽選となる。体験可能なのは最大44名(16才以上)とのこと。

 また、SCEのブースでは、「HMZ-T2」を使ったゲーム体験会も開催する。

【HMZ没入快感研究所「公開実験」動画】

(2012年 9月 11日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]