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パナソニック、明るさ2倍のイメージセンサー向け新技術

マイクロ分光素子採用。CCD/CMOSカラーフィルタを不要に

従来の画素断面(左)と、マイクロ分光素子を用いた画素断面(右)の比較

 パナソニックは4日、従来比2倍の明るいカラー撮影を実現するという、イメージセンサー向けの高感度化技術を発表した。

 デジタルカメラ/ビデオカメラなどに使われているイメージセンサーに、光の回折現象を微細な領域で制御するマイクロ分光素子を配置するもので、カラーフィルタを使用せずに色配置が可能。これにより、従来方式と比べて約2倍の高感度化を実現するという。従来のイメージセンサーにおけるカラーフィルタの置き換えとして設計でき、CCD/CMOSなどの種類を問わず適用できる。マイクロ分光素子は、従来の半導体デバイスの製造で用いられている無機材料や加工プロセスを使って作ることができるという。

 現在、イメージセンサーにおけるカラーフィルタで広く用いられている「ベイヤー配列」は、赤、緑、青の各画素にそれぞれ赤色、緑色、青色のみを透過するフィルタを配置しており、入射光の50~70%の光量が失われている。今回の新技術は、スマートフォンの普及などで画素サイズの微細化が進む中、センサーの高感度化に対するニーズが高まっていることなどを受けて開発された。この技術に関する特許は国内で21件、海外で16件(出願中含む)持つという。

従来技術(左)と新技術(右)の撮影画像の比較。同じ感度のCCDを使用している

 開発された新しい要素技術は大きく3種類。1つめは「光波の振る舞いを高速、高精度で計算する波動解析/光学設計技術」で、光を波として高速/高精度に解析する光学設計技術を独自に開発。空間を光学定数の異なる領域に分類し、その領域毎にビーム伝搬法を適用することで、反射や屈折、回折などの光学現象を正確に表現できるようにした。マイクロ分光素子だけでなく、微細な領域での光学設計に広く用いることができるという。

 2つめは、「板状の高屈折率透明体を通過する光の位相を制御し、微細な領域で光を回折させて色分離するマイクロ分光素子を実現するデバイス化技術」。マイクロ分光素子で分光する際に、形状パラメータを工夫して伝わる光の位相を制御し、微細な領域で回折現象を生じさせて光を色ごとに分離。マイクロ分光素子の形状を変えることで、光量を失うことなく、光を特定の色とその補色に分離したり、プリズムのように青から赤に渡って分離することもできるという。

 3つめは「マイクロ分光素子で色分離した光を撮像素子上で組み合わせ、そこから得られる検出信号から高感度かつ高精細に色再現するレイアウト技術と独自アルゴリズム」。マイクロ分光素子で分離された光は混合した形で撮像素子の検出面に入射するため、対応した画素の配置設計が必要。その配置と、混色した色信号の演算処理技術を組み合わせて最適化することで、高感度/高精細なカラーの撮影画像を再現できるという。例えば、光を原色、補色に分離する場合、白+赤、白-赤、白+青、白-青の4つの色の画素が得られ、演算処理により解像度を損なわずに通常のカラー画像に変換できるという。

(中林暁)