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「もののけ姫」と「猫の恩返し」が12月にBD化

MGVC対応で高画質再生可能。各7,140円

もののけ姫
(C)1997 二馬力・GND

 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンは、スタジオジブリ作品の「もののけ姫」と、「猫の恩返し」を12月4日にBlu-ray化する。価格はいずれも7,140円。「猫の恩返し」には、同時上映された「ギブリーズ episode 2」も収録する。

 なお、両ソフトは最大36bitの高階調映像を実現するパナソニックの新技術「マスターグレードビデオコーディング(MGVC)」に対応。パナソニックのBDレコーダ最上位モデル「DMR-BZT9300」(MGVC対応ファーム適用)で再生することにより、最大36bitの高階調映像を再生できる。

タイトル仕様音声品番価格
もののけ姫本編約133分
片面2層
16:9
MPEG-4 AVC/MGVC
日本語字幕
英語字幕
フランス語字幕ほか
日本語
(リニアPCM 2.0ch)
日本語
(DTS-HD MasterAudio 5.1ch)
英語/フランス語/イタリア語/スペイン語/
ポルトガル語/フィンランド語
(ドルビーデジタル 5.1ch)
ドイツ語/韓国語/広東語/北京語
(ドルビーデジタル2.0ch サラウンド)
VWBS-14907,140円
猫の恩返し/
ギブリーズ episode2
本編約75分
(猫の恩返し)
本編約25分
(ギブリーズ episode2)
片面2層
16:9
MPEG-4 AVC/MGVC
日本語字幕
英語字幕
(猫の恩返し:フランス語字幕なども収録)
日本語
(リニアPCM 2.0ch)
日本語
(DTS-HD MasterAudio 5.1ch)
(猫の恩返し:英語/フランス語/ドイツ語/
韓国語/広東語/北京語も収録)
VWBS-14917,140円

もののけ姫

 映像特典として、絵コンテを本編映像とのPinP(子画面表示)で収録。また、アフレコ台本や、「もののけ姫 in USA」(約20分)、予告編集も収めている。

 森を侵す人間たちと、荒ぶる神々との対立を背景に、山犬に育てられた“もののけ姫”と呼ばれる少女・サンとアシタカとの出会いを描いた作品。構想に16年、制作に3年を掛け、'97年7月に公開。同年の映画興行収入No.1で、公開から16年経った現在でも洋画を含めた日本歴代興行成績5位となっている。原作/脚本/監督は宮崎駿。

 中世・室町期の日本。いまだ人を寄せ付けぬ太古の深い森の中には、人語を解する巨大な山犬や猪などの神獣たちが潜み、聖域を侵す人間たちを襲い、人々から恐れられていた。エミシの末裔・アシタカは、人間への怒りと憎しみによってタタリ神と化した猪神に呪いをかけられ、それを解くために訪れた西の国で、数奇な運命に巻き込まれていく。森を切り開こうとするタタラ製鉄集団とその長エボシ御前、森を守る山犬一族、そして山犬に育てられた人間の少女・サン。アシタカはその狭間で、自分が呪われた理由を知り……。

 なお、BD化にあたり、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーから、「時代の転換点」と題した文章が寄せられている。以下に全文を掲載する。

時代の転換点(スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサー)

 自分のためじゃなく誰かのために戦う。子どものころから、主人公はそういうものだと思っていた。ナウシカは風の谷の500人のために戦った。だから、納得がいった。観客として、主人公に共感するのは、その一点だった。

 しかし、「もののけ姫」の主人公、アシタカは違う。アシタカは、誰かのためじゃなく、自分のために戦った。腕に痣の出来たアシタカは、体良く村を追い出される。痣は村人たちにとって忌まわしいものだった。

 その旅立ちの音楽は、当然、アシタカの複雑な心境を表現しなければいけない。宮さんは久石譲さんに、そう依頼した。悩んだ。それでいいのだろうか。たとえそうだったとしても、ぼくは、主人公の旅立ちはいつだって、勇壮さが必要だと思った。

 ぼくの悩みを打ち明けると、久石さんは、だったら、二曲作ってみると言ってくれた。そして、ふたつの曲が出来あがった。いずれ劣らぬ名曲だった。さて、どっちがいいだろうか。どちらにするか決めるとき、久石譲さんがぼくに目で合図を送った。宮さんは、迷うことなく勇壮さを選んだ。

 この時期を境に、その後のヒーローたちは、自分のための戦いを繰り広げている。いま振り返ると分かることがある。「もののけ姫」のころに、大きな時代の転換点があったのだと。

猫の恩返し/ギブリーズ episode 2

 '02年に2本立てで劇場公開された「猫の恩返し」(森田宏幸監督)と「ギブリーズ episode 2」(百瀬義行監督)を収録。特典は、本編映像とのPinP(子画面表示)で収録した絵コンテのほか、アフレコ台本、「猫の恩返し」誕生物語(約34分)、予告編集を収める。

特殊パッケージ仕様となっており、表面は「猫の恩返し」
(C)2002 猫乃手堂・GNDHMT
裏面は「ギブリーズ episode 2」
(C)2002 TS・GNDHMT

 「猫の恩返し」は、どこにでもいる不器用な17歳の女子高生・ハルが、ひょんなことからトラックに轢かれそうになった猫を助けてしまったために、“恩知らず”で有名な猫たちの“恩返し”として、猫の国に招待されるというファンタジー作品。宮崎駿が新人監督の演出を想定して立ち上げた企画で、「耳をすませば」の原作者・柊あおいによる「バロン―猫の男爵」を原作に、森田宏幸が初監督した。

 「ギブリーズ episode 2」は、「スタジオギブリ」という架空のアニメーション制作会社を舞台に繰り広げられる、6つのショートストーリー。著作権管理室課長を務める38歳の独身男・野中くん、ギブリの出版部を仕切るキャリアウーマンのゆかりさん、ギブリ制作部部長の奥ちゃんなど、個性豊かな面々の日常を描く。

 スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーから、BD化にあたって寄せられた「宮崎駿と付き合う法」と題した文章を、以下に掲載する。

宮崎駿と付き合う法(スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサー)

 若い人で映画を作る。これは、ジブリにとって大きな課題だった。第一に、宮崎駿の作ったものと比較される。これは、若い人にとっては塗炭の苦しみとなる。第二に、近くに宮崎駿がいる。これは、経験したもので無ければ分からない大きなプレッシャーだ。随分と昔の話だが、ある企画で若い監督を抜擢したが、わずか2週間足らずで彼は十二指腸潰瘍になって入院した。

 「猫の恩返し」は、「千と千尋の神隠し」の次回作だった。あの超大ヒット作のあとを誰に任せるのか? 悩みに悩んで、抜擢したのが森田宏幸君だった。

 彼の特徴は、だれにも真似のできない粘りがあること。アニメーターとして、粘った絵と動きには定評があった。そんな彼の目標が演出であることをぼくは知っていた。

 彼が「猫の恩返し」に取り掛かると、宮さんが森田くんの机の横に張り付いた。不安が過った。森田くんが監督業を放り出す危険性がある。それどころか、逃げ出すかもしれない。

 宮さんは、思いつくことを言葉にし、また、絵を描いて見せる。しかも、それらは尋常なスピードじゃない。そこで、大概の人はついて行けなくなって逃げて行く。

 しかし、森田くんは違った。それどころか、疑問が生まれると、宮さんを探して捕まえて、延々と質問をする。自分がトコトン納得するまで。

 最初のうちこそ、宮さんも丁寧に答えていたが、回数が増えるにつれ、宮さんの方が辟易として来た。逃げ出したのは宮さんのほうだった。

 森田くんは、終始、マイペースで「猫の恩返し」を作り上げた。

もののけ姫猫の恩返し/
ギブリーズ episode 2

(中林暁)