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スカパー、サッカーW杯放映「ブラジル大会で我々の出番ない」

来春には低価格新プラン

スカパーJSATホールディングスの高田社長

 スカパーJSATは31日、2013年度第2四半期の連結業績(第1~2四半期累計)について説明会を開催した。その中でスカパーJSATホールディングスの高田真治社長は、FIFAワールドカップ2014ブラジル大会の放映について記者からの質問に答え、「ブラジル大会で我々の出番はないと思う」と述べた。

 高田社長は理由について、「2002年の日韓大会の際には全試合を生放送し、その後のドイツや南アフリカ大会でも放映を行なってきた。ブラジル大会においても放映を望んでいたが、放映権の価格や独占放送権などについて、望む条件での許諾を頂けなかった。また、2010年の南アフリカ大会で、新規加入者数が想定をかなり下回ったこともあり、費用対効果という意味で経営判断をした」と説明。「現状、再交渉についても考えておらず、ブラジル大会で我々の出番はないと思う」と述べ、ブラジル大会の放映を断念する見通しとなった。

 また、既報の通り、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)の参加企業として、2014年のワールドカップを目処に進めている4K放送環境の整備については、「衛星はスカパーのものを利用することになるが、コンテンツの権利は次世代放送推進フォーラムが取得することになるため、スカパーとして具体的な情報は持っていない。ただし、新しい放送技術の普及のために、大きなイベントを放送するというのは有効であると認識している。来年の早いうちには4K放送を開始できるよう準備を進めたい」と述べた。

 なお、4Kコンテンツの制作については、11月2日にアリスのコンサートツアーファイナル公演の4K映像ライブビューイングを実施する(BS スカパー!でもハイビジョンで放送される)ほか、日テレやTBSなど民放各社も4K番組の収録を進めているとした。

加入者減の打開策として、来春より低価格な新プランを導入

第2四半期の損益概要

 スカパーJSATの第2四半期(累計)の業績は、売上が前年同期比5.5%増の828億400万円、営業利益が同33.2%増の109億300万円、経常利益が同36.8%増の108億8,100万円、当期純利益が同31.2%増の65億2,700万円で、増収増益となった。このうち有料多チャンネル事業の売上は前年同期比7.4%増の610億9,100万円で、セグメント利益は前年同期比15億9,700万円増の15億8,000万円となった。

 加入件数は、5万4,163件の純減で、累計加入件数は377万5,246件となった。内訳は、110度CSのスカパーが50,857件の純増、124/128度CSのスカパープレミアムが91,615件の純減、プレミアムサービス光が13,405件の純減となっている。加入件数の減少が続いていることについて高田社長は、「かなり厳しい状況」との認識を示し、その要因について、「プレミアムサービス光(旧スカパー光)におけるMPEG-2放送の終了で強制解約があった。また、前年度に新規加入者獲得に注力したが、その結果、短期解約者が多数出てしまった」と説明した。

有料多チャンネル事業の業績概況
有料多チャンネル事業の主要指標
上期加入実績のレビュー

 加入者減の打開策として、2014年3月中旬より、スカパーで40チャンネル以上の中から見たい5チャンネルを選択できる新たなプランを導入。月額3,570円で45チャンネルが視聴できる基本パックより安い、月額1,980円の価格設定により、これまで獲得できなかった顧客層の取り込みを狙うという。

 また、インターネット配信の「スカパー!オンデマンド」については、「会員数が順調に増加し、10月には20万件に達した」と説明。11月に発売されるPlayStation Vita TVでも配信サービスを開始するなど、様々なプラットフォームと提携して会員増加に努めていくと述べた。このほか、B-CASカードの不正使用問題について、現在までに85名が刑事摘発されているなど、状況の説明を行なった。

新商品について
スカパー!オンデマンドの状況

(一條徹)