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NANOCOMPOとELACのスピーカーをセットにした省スペースオーディオ「Mariage」

 東和電子は、OlasonicブランドのNANOCOMPOシリーズと、ELACの小型スピーカー「BS 72」のホワイトモデル、ケーブルやオーディオボードをセットにした「Mariage(マリアージュ)」システム2モデルを2月12日に発売する。価格は、USB DAC機能内蔵プリメイン「NANO-UA1a」と、CDトランスポート「NANO-CD1」とのセット「Mariage 1」が税込20万円、ここから「CD1」を省いた「Mariage 2」が同15万円。

USB DAC機能内蔵プリメイン「NANO-UA1a」、CDトランスポート「NANO-CD1」、ELACの小型スピーカー「BS 72」のホワイトモデルをセットにした「Mariage 1」

 Olasonicの直販サイトでの発売に先駆け、ステレオサウンドストアにて販売を開始。また、2月20日~24日には、東京銀座・松屋5階にて、発売記念販売会も開催する。

 インテリアショップや百貨店など、従来のオーディオ機器とは異なる販路に向けたモデルで、Olasonicの直販サイトでも販売する。NANOCOMPOはコンパクトでシンプルなデザインを特徴とし、気軽に音楽が楽しめる製品だが、販路を拡大する事で、従来のオーディオファンにとどまらないユーザー層開拓を狙う。

 単品コンポは好みや予算に合わせてスピーカーが選べるのが魅力だが、無数のスピーカーからどれを選べば良いかわからず、購入時に難しく感じる人もいる。それをナビゲートするのがオーディオショップだが、セットモデルを用意する事で、購入しやすく、なおかつオーディオの専門知識が無い店舗でも販売しやすいという特徴がある。

 Mariageセットに同梱するスピーカーは、ELACの「BS 72」。日本で発売されている同モデルのカラーはブラックのみだが、ドイツ本国ではホワイトモデルも販売されている。そのホワイトモデルをMariageのために取り寄せ、販売する形となる。

ELAC「BS72」のホワイトモデル
ターミナルはシングルワイヤ。リアバスレフとなっている

 セットに含まれるNANOCOMPOとスピーカーは、単品販売されているものと同じ。セットにするだけでなく、東和電子が音質を吟味したという接続用ケーブル「NA-SPC100」(1m×2本/バナナプラグ付き)と、ウォールナット仕上げのオーディオボード「NA-STD3」×3枚も同梱。さらに、ステレオサウンドストアでは、ピアニストのイリーナ・メジューエワさんのレコードアカデミー賞受賞CDも付属する。

接続用ケーブルとオーディオボードが同梱される

 「BS 72」は、2ウェイ・バスレフ型のブックシェルフスピーカー。ツイータは25mm径シルクドーム。ウーファは116mm径のコーンウーファ。クロスオーバー周波数は3.6kHz、再生周波数特性は56~28kHz。入力は定格40W、最大60W。能率は86dB/2.83v/1m。インピーダンスは4Ω。外形寸法は140×160×230mmで、重量は3.2kg。

 「NANO-UA1a」は、リニアPCMの192kHz/24bit、DSD 2.8/5.6MHzに対応するUSB DACを内蔵したプリメインアンプ。USB入力の44.1kHz系、48kHz系それぞれに対して、TCXO(温度補償型水晶発振器)を搭載。さらに、同軸/光デジタル入力を含めたすべての信号が通過するレートコンバータ用にもう1個、合計3個のTCXOを搭載し、ジッタを除去。

 DACはバーブラウン「PCM1792」。アンプの出力は26W×2ch(4Ω)、13W×2ch(8Ω)で、「BS72」ホワイトモデルのインピーダンスにも対応している。入力端子はUSB、光デジタル、同軸デジタル、ステレオミニのアナログ入力を各1系統装備。外形寸法は149×175×39mm(幅×奥行き×高さ/突起含まず)。重量は940g。

サランネットを取り付けたところ

セットモデル誕生の経緯

ピアニストのイリーナ・メジューエワさ

 セットモデルが誕生したキッカケは、ステレオサウンドのオーディオ誌の企画だという。ピアニストのイリーナ・メジューエワさんが、自宅のピアノの上に設置するオーディオセットを探しており、その希望にマッチするNANOCOMPOと、それに合ったスピーカーを探すために、多数のスピーカーを組み合わせて試聴した結果、BS 72に辿り着いたという。

 メジューエワさんは、過去のピアニストの名演奏や、ジャズなど他ジャンルの音楽を聴きながら、自らの演奏技術の練習や、音楽的エッセンスを取り入れる事を常日頃行なっており、ピアノの上という限られたスペースでも、そうした使用に耐える再生能力を備えたシステムとして、NANOCOMPO + BS 72が選ばれた。

 メジューエワさんは「機器の存在を感じさせずに、演奏者を目の前に感じることができるステレオ」と評価している。

音を聴いてみる

 BS 72とNANOCOMPOを並べて驚くのは、まるで最初からセットで訴求するために開発されたかのようにサイズ感がピッタリマッチしている事だ。BS 72は奥行きも短く、NANOCOMPOと並べて設置しても、著しくスペースを占有する事は無い。リビングやオーディオルームだけでなく、パソコンとデスクトップに設置してニアフィールドリスニングを楽しむのも良いだろう。

 色味はホワイトで同じだが、NANOCOMPOは若干クリーム色が入っているため、よく見比べると違いはある。しかし、天面など、光が当たる部分はほぼ同じカラーに見える。

 音を出すと驚くのは、小型スピーカーながら、非常にドッシリと量感のある中低域が、音圧豊かに再生される事。サブウーファでも繋がっているのではと思うほど、低い音が下まで伸びきり、堂々としたサウンドが展開する。

 同時に、高域は極めて抜けが良く、ELACらしい清涼感のあるサウンド。やや硬質で綺羅びやかなトーンも感じさせるが、決して色づけが濃すぎた感じではなく、サウンド自体は自然だ。エンクロージャの小ささを感じさせない、開放的な鳴り方。点音源的な音場の広さと、音圧豊かな鳴りっぷりの良さが同居しており、価格やサイズを感じさせない、満足度の高いサウンドだ。

 同時に、手のひらサイズの「NANO-UA1a」が、この4Ωスピーカーをキッチリとドライブし、量感のある中低域を実現している事にも関心する。NANO-UA1a自体は、色付けの少ない、ナチュラルなサウンドで、UA1からモデルチェンジした際に、低域の分解能や駆動力、中高域の見通しも良くなり、質感の描写力もアップしたが、その傾向がBS 72の硬さを和らげる方向に作用し、マッチングの良さを生んでいるようだ。

(山崎健太郎)